純粋無垢とは一種の罪であり
素直な賞賛を君に
俺はしがない大学生、煙道 空。実家暮らしとおさらばして念願の一人暮らしを初めて趣味というソロプレイに没頭をしているただの学生である。
趣味とは、小説を書く事。
悲しいことに自分が一番読みたいと思う内容は自分で書かないと見つからないという真実にたどり着いてしまったので高校生のころからずっと書いている。
王道ファンタジー。王道、やっぱり王道が一番楽しい。そして面白い。
俺的個人ランキング堂々1位のジャンルだ。他の人は知らん。
今日も今日とて日々、大学の勉強に励みながら、小説を書いている。
サイトに投稿を始めてから1年と少したったくらいに、メッセージが届いていた。嬉しいことに、DMでも感想が来たりするので、少し胸を弾ませながら内容を確認した。
今日この日、俺の心臓が早く鳴った。
サイトに上げていた小説、嬉しいことにランキングに乗ったりもした。そのおかげで見てくれる人が多くなって充実していた。
その小説を、本にしてみませんか?という打診のメッセージだった。
一瞬何かのドッキリなのか?と疑いもあったが、その話が本当だということがわかり流れるように話し合いが進んでいった。
うれしい、というよりも戸惑い。現実味がない、もしかして夢?
ありえてしまうな。俺は自分のことは大変甘やかす性格なのではちゃめちゃにハッピーな夢を見ているのではないか?と思う。いや実際そっちのほうが10倍くらい納得ができてしまう。
安易に頬をつねってみる。くっそイテェ!
夢ではない確認が取れた。なるほどね?
本になる。
俺の書いた物語が。
考えたこともなかった。ほとんど趣味だったし。
でも、だれかの目にとまって感想をもらったりするのは嬉しかった。
俺の好きな物語を打ち込み、それを良いと言われると実際気持ちがいい。うん、すげぇ気分がいいんだわあれ。たまに、批判のメッセージも来たが、まぁ、合わないやつもいるよなと案外すんなり受け流せる程度に俺の心は強かったようで、楽しいサイト作家ライフだった。
本になる。
嬉しい。時間をおいて実感が湧いてくる。
胸の中があっちぃ。照れくさくて嬉しい。小説を書いているのにこの喜びを言葉で表すのが難しい。
報告しよう。俺が落ち着くために。
それに、あいつに一番に報告をしたい。
暑い夏の日の夜。同じ物書きの友人の海に報告をした。
海は、自分のことのように喜び、祝ってくれた。気恥ずかしい。
発売日を教えて欲しい、自分で買いたいと真っ直ぐとした言葉で言われて一瞬息が詰まった。とても恥ずかしい。その恥ずかしさを隠すようにわざとテンションをあげて
「いやー!見本おくるから!それよんで!」
と、本を送りつけたのだった。
それから数日して本が届いたことと
「とても面白かった。当たり前の感想でごめんね!」
当たり前で一番嬉しい言葉が届いていた。
その後に、海も一つ俺に教えてくれた
「実は、私もサイトに小説を上げてて…」
「え!まじで?!読みたい!!」
「えぇ~…本を出す作家さんに見られるの恥ずかしい」
「いや俺も恥ずかしかったんだが?」
「はは、わかったよ…作家名だけ教えるね」
そう言って、恥ずかしそうに作家名を教えてくれた。
その後に、サイトでその名前を検索してヒットした小説をよんだ。
海の底みたいな重苦しさ、同じくらいの美しさと居心地の良さを感じる文字。
人の心や強い思いに重点を置いている。
その人の人生を追体験するような、不思議な心地になる。
───すごい。素直にそう思った。
心が揺さぶられるというのはこういうことなのだろうか。
言葉の一言、音の響き、世界という風景の美しさと残酷さ。
読んで良かった。
本当にそう思った。俺じゃ絶対に生み出せない物語。
たまに自分と重なるような考えをする主人公。
でも、やっぱり別人なんだなと、どこか遠い目線で主人公を見てしまう。
重苦しい、それでも前を見ていたい。
そんな…晴れた気持ちになる物語だった。
何度も目で文字を追っていく。呼吸を忘れそうな苦しさ。
読み返す度に心臓が早くなっていく。
短い物語だったけど、それ以上に深いと思った。
そのあとに、読んだことを報告して感想を送った。
直接送るのはずるいと思ったけど、やっぱり言いたかった。
既読がついたあとに返事が帰ってきた
「ありがとう、すごく嬉しいよ」
それを素直に受け取れないことに




