第40話 王都に帰還する・9
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俺の問いにリアンは生きたいと言った。
そして俺は何とかしてやると言った。
リアンはまだ泣き続けている。
ずっと耐えて来たのだろう……家族に愛されないなんてどれだけ辛いのだろうか。
それも産まれてからずっとだ。
俺には想像が出来ない。
しばらく抱き締めて頭を撫でていると、リアンは次第に落ち着いてきたのか顔を上げて俺と目が合う。
泣いた事で目が腫れているが、その目は透き通るような青色で吸い込まれそうになる。
「綺麗な目だな」
思わず無意識にそんな言葉が出てくる。
「ふぇっ!?」
リアンは顔を真っ赤にしながら目を逸らした。
俺は子供に興味は無いけれど、リアンはとても可愛らしいと思う。
将来リアンはきっと美人になるだろうな。
それはさておき、そろそろどうするか考えるか。
リアンをあの家に置いたままには出来ない。
だからまずリアンにはこれを確認する。
「リアンは今の家族と離れて新しい家で暮らすのはどう思う?」
つまりあの家から引き離して、別な家庭でリアンには暮らしてもらうという選択だ。
「……ん〜…わかんない…けど、お父様とお母様は……きっと私を要らない子だと思ってる」
まあ突然別な家で暮らすのはどうだと言われてもそうなるか…それに引き取ってくれる家にも宛はない。
最悪俺の家で引き取るつもりだけど…貴族のいざこざに発展したりするのが怖いよな。
そうなったら俺はきっと無力だろうし。
こういう時は師匠を頼ってみるか。
「繋がるかどうかわからないけど、ちょっと師匠に念話をしてみようと思う。それでリアンのさっきの話とか師匠にしてもいい?」
さっきの話とはリアンの家庭内での立ち位置と、母親の言葉だ。
リアンは頷く。
『師匠?今大丈夫ですか?』
『ん?ハヤトくん何か問題でもあった?』
執務か何か理由はわからないけど、繋がらないかと思っていたのに繋がって良かったな。
『ええとですね………』
俺はざっくりと師匠に説明する。
『噂で聞いてたよりも酷いわね…』
『それで俺はリアンをあの家から出したいと思うんですけど、どうすればいいと思います?ていうか出来ると思います?』
『ん〜……正直難しいわね…まあ私が引き取ってもいいんだけど…現状だと情報が足りないわね』
まじか。
師匠が引き取るって大丈夫だろうか。
この人かなり脳筋だしな。
『今失礼な事考えてないかしら?』
『考えてませんよ?』
相変わらず勘がいいなこの人。
『まあとりあえず直接ガナエリ家に話しに行ってみなさいな。それで私の力が必要になったならいくらでも使っていいわよ』
師匠ってかなり甘いよな。
子供が好きなのだろうか?
見ず知らずの子供の事でここまで言えるなんて、正直凄いと思う。
『師匠』
『なに?』
『師匠のそういう所、尊敬してます』
『ふっふ〜んもっと尊敬しなさいな』
師匠はきっと今ドヤ顔しているのだろう。
それが少し腹立たしいので下げておく事にする。
『そういう所はちょっと残念ですけどね』
『このっ……はぁ…まぁいいわ。もしもガナエリ家が何か見返りを求めるような事を言い出したならお金で済ませなさい。少し汚い話ではあるけれど、それで後腐れも無くなるでしょ』
『ぶっちゃけましたね…幾らまでなら平気ですか?』
『そうね〜………ギルドカードに入ってる残高が3000万ファジーくらいだからそこまでならいいわ』
相変わらずこの人の金銭感覚は凄まじいな。
見ず知らずの子供の為に日本円にして3億までなら払うって言うんだから。
リアンも念話を魔眼で視ているのか、目をパチクリさせている。
『わかりました。ちなみに今日は念話ずっと出来るんですか?』
『問題無いわね。昨日は駐屯所の会議でガナエリ家の当主も居たから念話は控えてたけど』
あ、なるほど。
ガナエリ家の当主も魔眼持ちで、傍受されるのを嫌って念話を控えてたのか。
これはガナエリ家で話す前に知れて良かったな。
『了解です。じゃあとりあえず話しに行って来ますね』
『何かあれば念話よろしく』
『わかりました』
師匠に確認して良かった。
ガナエリ家に行く前にリアンにも先にちゃんと確認しておこう。
「リアン、今の念話でのやり取りはちゃんと視てたよな?」
「うん視てた」
「ならこれからガナエリ家に行って当主と話をしてこようと思うけど、リアンは師匠と一緒に暮らすのが嫌とかあるか?」
リアンはう〜んとしばらく唸って考えていたが、何か決まったのか口を開いた。
「ハヤトくんはそのお師匠様の事を信じてる?」
師匠を信じているかどうか…ううむ。
少し残念な部分があるし、脳筋だよな。
それに初めて会った時なんか、いきなり試合させられたし。
8歳の子供にアホみたいな値段の魔瘴石を加工したネックレスに、バカみたいな値段の素材を使った黒刀・羅刹をくれたり。
色々と本当におかしい部分がある。
でも……根はとても良い人だし何より志というか、強さに尊敬している。
単純な戦闘力の話じゃなく、心の強さなような…自分でもよくわからないけど。
だからこう答えられる。
「信じてるよ」
その答えを待っていたのか、リアンの目から迷いが消えた。
「なら私も信じられる…だからハヤトくんのお師匠様と一緒に暮らす事になっても大丈夫だよ」
「そうか」
簡単な決断では無いだろう。
俺とそう歳の変わらない女の子が、家族と離れる事…そして知らない人と新たに生活をするという選択をしたのだ。
リアンは凄いな。
「よし、じゃあ早速リアンの家に戻るぞ」
リアンは少し緊張しながらも、力強く頷いた。
「うん!」
移動する為に俺はリアンの手を握って魔法を唱える。
「転移」
転移先はガナエリ家の門前だ。
突然転移で飛んで来た俺とリアンを見て門番が驚く。
しかし俺とリアンの顔を見て納得したのか、話し掛けてきた。
「事情聴取は終わりましたか?」
ああそういやそんな理由でリアンを連れ出したんだったな。
ここは適当に合わせてとりあえず当主を出してもらえないかな。
「はい…ですがまだ少し確認したい事もあるので当主様とお話をさせていただきたいのですが…」
それを聞いた門番は明らかに不味そうな顔をする。
「リアン様の件で当主様にお伺いを立てるのは少し問題があるというか…ご遠慮願いたいのですが…」
「問題ありません。むしろ当主様にとってはおそらく良いお話になると思いますよ」
本当にリアンがこの家で疎まれているのなら俺が持ってきた話は悪い話では無い。
胸糞悪い話ではあるけどね。
門番は何かを勘付いたのか、複雑な表情をして俺とリアンを交互に見る。
「……わかりました、ご確認して参りますので少々お待ちください」
そう言って門番は屋敷の中に入っていった。
待ってる間、俺はリアンの顔を見る。
どうやら緊張しているのか顔色がかなり悪い。
「大丈夫か?」
俺が声を掛けるとリアンはビクッと反応する。
「だ…大丈夫っ」
そう口にはするが、とても大丈夫そうには見えない。
俺は無言でリアンの頭を撫でる。
すると少し落ち着いたのか顔色が良くなってくる。
門番が戻ってくるまで俺はリアンの頭を撫で続けた。
門番は明らかに執事と見てわかる人物と一緒に戻ってきた。
そして門番と一緒にきた執事が口を開く。
「お待たせ致しました…私はガナエリ家執事長のセウスタと申します。当主であるガウル様がお会いになるそうです。こちらへどうぞ」
この執事はセウスタさんで、当主の名はガウルというのか。
さて、ガナエリ家の当主様はどんな人物なのやら。
俺とリアンはセウスタに案内されて屋敷の中に入って行った。
明日も19時投稿となります。
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