第34話 王都に帰還する・3
R15作品です。
令和初投稿から突然のご報告なのですが、5月10日まで執筆活動をお休みさせていただきます。
カクヨム様にて募集している「ファミ通文庫大賞」に応募する作品をゼロから書き始めるのですが、5月10日と何分締め切りがギリギリでして…
細かくは活動報告にて記載します。
冒険者ギルドアクアラ支部のギルドマスターらしいヨーセスと名乗るお爺さんが出てきた。
「それで…この大量の魔石はどうやって手にしたのかね?」
ヨーセスが問い掛ける。
何か問題があるのだろうか?
素直に話して大丈夫なのだろうか?
まあ何かあればシワ寄せが来るのは俺じゃなくて師匠だろうし、気にしなくていいか。
俺は素直に説明する。
「俺の師匠でもあるペンドラ騎士団の団長と共に、地獄の遠征と呼ばれる魔物の間引きで回収した魔石です」
それを聞いたヨーセスと金銭窓口の受け付けのお兄さんは懐疑的な視線で俺を見る。
「失礼だが、その話が事実かどうか確認出来る物は持っていないかね?」
おっと。
これはどうしようか。
俺がペンドラ騎士団の遠征に同行した証拠なんて特に思い付かない。
何か無いだろうか。
……そうだ、あれはダメだろうか?
今回の地獄の遠征には関係無いが、少なくとも身分の証明にはなるはず。
そう思った俺はヨガルお父様から預かったシンプルな指輪を取り出す。
「遠征に同行した証拠になるような物はありませんが、これは私の家の身分を証明する指輪です」
「よく見せてもらってもよろしいか?」
「ええどうぞ」
俺はヨーセスに指輪を手渡す。
するとヨーセスは指輪の内側をよく観察していた。
ヨガルお父様から受け取った時には気付かなかったけど、指輪の内側には紋様が彫られていた。
「これは…王都の騎士爵の指輪か…どの家かまでは私にはわからぬが……ふむ……指輪をお返しする」
一人納得したかのような顔をしながら指輪を返してくれる。
「この指輪で問題ありませんか?」
俺は一応確認の為に問い掛けた。
「問題無い。おそらく……信じられない事だが…ペンドラ騎士団の遠征に同行したのも事実であろう」
それを聞いた受け付けのお兄さんは目を見開いてヨーセスを見る。
「では買い取りをお願いしたいのですが」
「ギルドマスター、よろしいのですか?」
受け付けのお兄さんが念の為といった感じでヨーセスに確認を取る。
「よい…この者は嘘を言っておらぬだろうて」
「わかりました。それでは査定に入らせていただきます」
そう言って受け付けのお兄さんは魔石を一つ一つチェックしていく。
200個くらいは出したが、まだ袋には500くらいある。
お、どうやら査定が終わったのかな?
「お待たせしました。こちら全部で214個ありますが、こちらが査定内容となります。問題無ければサインとギルドカードの提示をお願いします」
査定内容が書かれた用紙を見せてもらう。
いちじゅうひゃくせんまん……46万2千ファジー!?!?
1ファジーは日本の価値と比べて10円くらいだから…462万円!?
そりゃこんな値段になるなら8歳の子供が持って来たら確認するわな。
俺はサインをしてギルドカードを提示する。
「お金は手渡しで大丈夫ですか?ギルドカードに預金する事も出来ますが」
ああそういえばガイドブックにそんな事が書いてあったな。
日本で言うところの銀行みたいな物だろう。
「他のギルドでもお金の引き出しって出来るんでしたっけ?」
「はい出来ますよ。どうしますか?」
「なら40万ファジーは預けて、6万2千ファジーは手渡しでお願いします」
とりあえずこれだけ手元にあればしばらくお金に困る事は無いだろう。
「かしこまりました、少々お待ちください」
受け付けのお兄さんはテキパキと仕事をこなして、6万2千ファジーの入った袋とギルドカードを俺の前に置く。
「ギルドカードとこちらが6万2千ファジーです、ご確認ください」
俺はお金を確認してから魔道具の袋の中に受け取った袋ごと入れた。
「またのお越しをお待ちしております」
これで一段落だな。
さて遊びに行こうか、そう考えていると横でずっと見ていたヨーセスが話し掛けてきた。
「ハヤト…くんで合ってるのかな?少し時間はあるかね?」
俺が男だと気付いたのはギルドカードを確認したからだろう。
それにしてもなんだろうか?
まぁ時間はあるし問題無いけど。
「なんでしょう?」
そう問い掛けるとヨーセスは「ついてきなさい」と言ってギルドの階段を登り始める。
俺は特に何も考えずに付いていった。
するとヨーセスは3階まで上がり、一つの部屋の前で止まる。
扉を開けて中に入るよう促されて入ったのだが、目の前には以前にも見た魔力測定具があった。
なるほど。
「よければ魔力値を見せてくれんかの」
なるほど…信じはしたが確信が欲しいのかな。
「わかりました」
俺は魔力測定具にある手型の凹みに手をかざす。
その間にヨーセスは魔力測定具の起動をして口を開く。
「もう魔素を流してええぞ」
じゃあ本気を出しますかね。
俺は全力で魔素を流し込んだ。
「これは……いやはや…あのユーエ殿のお弟子さんなのも納得の数値じゃな…」
ヨーセスは引き攣った顔でそんな事を言う。
そういえば前回は師匠の半分くらいだと聞いていたが、正確な数値は聞いてなかったな。
「数値はどのくらいでしたか?」
俺はヨーセスに確認した。
「2万6千ほどじゃな……その年齢でどうやってこんな魔力値に…全く驚きじゃわい」
なるほど、俺の魔力値は2万6千くらいなのか。
「お主冒険者活動はするのか?」
ヨーセスがそんな事を聞いてくる。
「いつかはすると思いますよ?まだ学校も行けない年齢なので学校を卒業してからだと思いますけど」
「そうか…お主にFランクの依頼なぞ退屈になるじゃろう。儂の権限でDランクまで上げておこう。Cランクからは試験があるので儂の権限だけじゃ難しいのでな。ほれ、ギルドカードを貸しなさい」
何の苦労も無くDランクになれるなら願ったり叶ったりだ。
俺はヨーセスにギルドカードを渡した。
「少し此処で待っとれ」
そう言ってヨーセスはギルドカードを持って部屋を出て行く。
そういえば限定解除した状態で魔力測定したらどのくらいの魔力値になるのだろうか。
機会があれば試したいな。
王都に帰還したら師匠にでも頼んでみるか。
「待たせたの」
少し経つとヨーセスが戻ってきた。
「ほれ、これがDランクカードじゃ」
見た目はあまり変わらないな。
カードの色が変わったりとかはしないらしい。
「ギルドカードはDランクまではその見た目じゃよ。Cランクから色が変わるのじゃが、まあDランクまでは新米冒険者でCランクからいっぱしの冒険者って事じゃわい」
なるほど。
ランク昇格の試験をパスしないと一人前とは認めませんよって事ね。
「まあ何にせよ儂の用はこれで終わりじゃ。ペンドラ騎士団の遠征で来たのならそんなに滞在しないのじゃろうし、機会があればまた会おうぞ」
「色々ありがとうございました」
俺は冒険者ギルドアクアラ支部ギルドマスターのヨーセスに、軽く会釈をしてギルドから出る事にした。
さあお金はたっぷりある。
何しようか?
とりあえずご飯か?
それとも買い物でもするか?
そんな事を考えながら適当に歩いていると…
「どけガキ!」
後ろから大きな布袋を抱えたおじさんが走りながら向かってきた。
まったく…8歳の子供を蔑ろにする大人とかろくな物じゃないな。
そんな事を思いながら脇にズレて道を譲ってやる。
何となく走り去るそのおじさんを眺めていると違和感に気付いた。
あの布袋…不自然な出っ張りの形……もしかして中身は人か?
しかも子供だろう。
これは見逃せない訳だが、師匠にも報告しなければならない…どうすればいいのか。
指示を仰ぎたくて師匠に念話を送ろうと試みるが、届かない。
ああそういえば師匠は何かあれば駐屯地に来なさいと言ってたな…普段から念話を常時オンにしているはずの師匠がそんな事を言うって事は、オフにする理由が何かしらあるのかもしれない。
とりあえず気付かれないように追いながら考える。
すると、たまたま移動中に近くの出店で酒を飲んでいるペンドラ騎士団のメンバーを見付ける。
俺は直ぐにペンドラ騎士団のメンバーに声を掛ける。
「すいません、急いでいるので今から簡潔に報告します。誘拐犯らしき人物を見掛けたので追跡してます。師匠と俺なら念話の距離もかなり稼げるはずなので師匠に報告してください。ではよろしくお願いします」
「え?ハヤトくん?あっちょっ待っ………」
何か言っていたがもはや聴こえない距離まで俺は走って移動していた。
誘拐犯らしき者を見失う訳にはいかないしね。
さて、これはどうすべきなのだろうか。
次回の更新は5月11日の19時となります。
それに合わせてファミ通文庫大賞に応募する作品も掲載しようと思っております。
詳しい内容は活動報告にて記載しますのでよろしくお願いします。




