ep.29 決闘!~剣と魔法-戦士VS魔法使いⅢ
拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです
「……よし、よし! よぉぉし! 行くぞっ!」
オレは自分の頬を叩き喝を入れる。
火球と火球、魔法のインターバルを狙い再び駆け出した。
リーチで劣る分、足を使って敵の懐に飛び込む必要がある。
もし時間的余裕があれば、膨大なスキルの中から最適なものを探し出し、搦め手で攻めることも可能なのだろうが……。
(――いや、どうだろう)
今のオレには圧倒的に経験値が不足している。
戦闘のスペシャリストであろう者を相手に、付け焼刃の策を弄したところで、おそらく看破されるのがオチだ。
先ほど見つけた防御力向上のスキルを複数重ね掛けした。今はこれで妥協しておく。
(与えられたスキル頼りの強硬突破だ――!)
オレは自ら進むことで倍速で迫る火球〈ファイアボール練度Ⅳ〉を体を捻り寸前のところでかわす。
熱線が頬を炙り、轟々と音を立て通り過ぎた。
縦、横、捻りを加えて斜めと体操選手さながらのアクロバティックな身のこなしで飛び跳ね、2個3個と立て続けに10点満点の回避を成功させる。
(う……おぅ、目が回りそうだ……)
そして、4発目も避けるべく歩幅を調節していたのだが、その軌道が逸れていることに気づく。
(手元が狂って狙いが外れたのか?)
なかなか攻撃が当たらないことに魔法使いが苛立ち、あるいは乱発することで集中力を欠いて、その精度を落としたのかもしれない。
思いがけず巡ったチャンスにオレはほくそ笑む。
(これなら、わざわざ避けるまでも――いや、違う! あえて外したのか!?)
腹立たしいほどに冷静な魔法使いは、すばしっこい標的に火球を直撃させるのは諦め、戦法を切り替えたようだ。
おそらく、周囲付近の地面に火球〈ファイアボール練度Ⅳ〉を着弾させ、爆風にオレを巻き込み間接的にダメージを与える算段だ。
オレが敵の狙いに気づいたときには、すでに遅かった。
加速していた脚は止められず、死地へ踏み込んでしまう。
――火球〈ファイアボール練度Ⅴ〉
前方斜め、オレを挟み込む形で10時と2時の方向に凄まじい炎柱が上がる。
地面に衝撃が加わり、巻き上がった無数のつぶてがオレの体を打つ。
閃光で目が眩み激しく転倒。念のため、熱で呼吸器官が焼かれないよう息を止める。
着弾点から黒煙が広がり、オレの姿が隠れてしまうと、観衆から安否を心配する声が上がり始めた。
『おい、あれ……ヤバいんじゃないか……』
『あんなに強力な火球〈ファイアボール〉見たことない……』
『死んだ、のか……?』
『マ、マジか……ど、どうするんだよ……』
(――……くそっ、手酷くやられたな……!)
煙で目は染みるし、砂で口の中がジャリジャリする。オマケに体中煤塗れだ。
(…………ピンチ? いいや、違うね。こいつはチャンスだ……!)
方向感覚を失い這いつくばっていたオレは、静かに体を起こして周囲を探る。
「……む、少々やり過ぎてしまったか……私も、まだまだだな――救護班! 悪いが彼の手当てを頼む!」
(――――捉えた!)
魔法使いの声により、その位置を特定。黒煙を煙幕として利用し視界不良を逆手に取る。
油断している魔法使いへ、一気に距離を詰め煙を裂いて飛び出した。
「!? まだやるか――!」
魔法使いは慌てて杖を構え直し高速で詠唱を始めるも、彼我の距離が詰まり火球〈ファイアボール〉の攻撃範囲に自分も入っている状況で、それを放つのは自殺行為に等しい。
魔法の使用を断念し、再びノックバック効果のある指輪に手を伸ばす。
(そうくると思ったぜ!)
しかし一度種が割れた以上、対策の対策は容易だ。
「せいっ!」
オレは地面を穿つ勢いで剣を突き立て、その場にふん縛ると襲い来る衝撃波に備えた。
「――うぎぎぎぎ……ッ! …………ップハァ! ど、どうだ!」
「なんと無茶な!?」
衝撃波に耐え切ると、すかさず地面から剣を引き抜き、驚愕に固まる魔法使いの首元に突き付ける。
「オレの勝ちだ!」
そして、オレは高らかに勝利を宣言した。
「――――さて、それはどうかな?」
はたして勝負の行方は・・・
ご高覧いただき ありがとうございました 次回へ続きます
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