ep.27 決闘!~剣と魔法-戦士VS魔法使いⅠ
拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです
魔法使いが先導しオレと観衆が連れて来られたのは、冒険者組合の敷地内にある訓練場だ。
四方が高い壁で覆われており、的に使っていると思しき草臥れた案山子や、壊れた武具が錆び付いたまま放置されている。
平らに踏み固められた土は、芝生より安価で手入れが楽な分、クッション性が乏しく、乾燥しているせいで風が吹く度に土埃が舞っていた。
飾り気など皆無で、ひたすらに実用性のみ追求されたそこは、ルネサンスやらバロックやら、日々こちらの世界の古い西洋建築を楽しんでいるオレにして、何気ない民家や町並みに感動しているオレにしても、面白みのない空間だった。
「ルールは簡単。時間は無制限。先に決定打を加えるか、相手に降参をさせた方が勝者だ」
オレと相対する魔法使いが、これより執り行われる決闘兼試験の概要を述べた。
オレは決闘用に渡された長剣を手に持ち、その握り心地を確かめながら問う。
「オレが勝ったら、組合に加盟させてもらえるってことでいいんですよね?」
長剣は訓練用で刃が潰されており、剣としての機能は損なわれている。
主なスペックは――
筋力補正D+ 斬撃+1 刺突+2 打撃+4 重量D+ 付与:耐久値+
――といったところか。
軽薄男が持っていた観賞用とは違い、こちらは作りが頑丈だ。鈍器として振り下ろせば十分に殺傷能力があり、頭部などの急所を狙った攻撃や刺突は避けた方がよさそうだ。
「組合長に確認したところ二つ返事だったよ。もしも単騎で魔法使いを降す逸材が現れたとしたら、それを逃す手はないからな。だが、それもこの私に勝つことができたらの話だ」
一方で、魔法使いは魔法の出力を極力抑えて戦ってくれるそうだ。
これは決闘とはいえ、あくまでも模擬試合であり命を奪うのは御法度。
万が一を想定して、回復魔法が使える魔法使い(正確には神官というらしい)が救護班として控えている。
「英雄譚に憧れ、自身もそうありたいと冒険者を志す……君のように己の力量を過信している新人は珍しくない。そういった青二才が無謀な戦に身を投じる前に、その鼻っ柱を圧し折ってやるのも先導者たる者の務め」
魔法使いは仏頂面を一層険しくしてそう呟くと、静かに杖を構え臨戦態勢を取る。
(おぉ、まさしく魔法使いが持っていそうな杖だ……!)
魔法使いが装備しているのは、呪符が巻き付いてある捻じれた枝。身に纏うダークカラーのローブも相まり、そのいかにもな立ち姿にオレは感動する。
(おっと、見惚れている場合じゃないな)
対戦相手に倣いオレも長剣を構える。
上段。
中段。
下段。
刃を水平に向けて霞の構え。
(うーん……この構えの方が、カッコイイか? いや、それとも……こうか? 痛ッ! おー怖っ、刃先が当たったよ……!)
剣術についてまるっきり素人のオレは、それぞれの型がもたらす効果と最適解がわからず、せわしなく構えを変える。
長物を振るう経験など、おそらく小学生の時分に傘でチャンバラごっこをしたくらいだろう。いち現代人のオレが剣を手に持っているシチュエーションは、どうにも慣れない違和感がある。
(コスプレでもしてる気分だ……学生服じゃなく、現地人の服を着ていてよかったぜ……)
色々試した結果、剣を正中線に位置する正眼の構えを取る。素人でも剣が振るいやすい、もっともスタンダードであろうポーズに落ち着いたのだった。
ご高覧いただき ありがとうございました 次回へ続きます
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