表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/39

ep.25 魔法適正検査

拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです

「えー……じゃあ、次の人どぞー」



 役所然り、病院然り、こういった事柄は長い時間待たされるのが常だ。

 だから、魔法適性検査にしても、夕方まで待たされることを覚悟して列に並んでいたのだが、予想に反してオレの順番はすぐにやってきた。


 当初、試験と聞いて予備知識のないオレは身構えていた。

 けれど、先に検査を受けていた人の様子を見るに、どうやら簡単に済むもののようだ。


「――つーわけで、この水晶に手ぇ乗せてくださいねぇ(アァ、ツマンネ)」

 気怠(けだ)るそうな担当員が示す特殊な水晶玉は、個人が内包するオドとやらに反応して光り輝く代物で、その光量により魔法の適性を測るとのこと。

 推測するに、オドとは魔法を行使する際に必要になる精神力のことで、いわばビデオゲームにおけるMPのようなものではないだろうか。

(精神力とは何か、という疑問は脇に退けておく……)


 ちなみに、オド測定の明確な基準値及び合格ラインは不明。

 どこかに得点が表示されるわけでも、試験官が検査結果を記入する様子もない。

 これでは試験官の裁量によって、合否が左右されてしまいそうだ。


(ルールが緩いのは世相を現れか?)

 オレが元々いた世界も、一昔前まではサラリーマンが仕事中に平気でタバコを吸っていたり、営業周りの途中で堂々とサボっていたりと、おおらかな時代があったらしい。

 厳格なルールが敷かれるのは、時代を経て社会が十分に成熟した後であって、この世界ではこのくらいの緩さが普通なのかもしれない。

(いや、それとも……)

 この空間が局地的に異例という線も考えられる。


 右を見れば、血の気の多そうな半裸のむくつけ。

 左を見れば、ボロを纏い呪文をつぶやく怪し気な隠者。

 些細なことから喧嘩になり、殴り合いを始める輩もいる。

 いずれも暴力の臭いを漂わせ、脛に傷がありそうな奴らばかり。

 冒険者組合など名ばかりで、その実まるで凶悪犯の収容所のようである。

 窓口が広くゴロツキ紛いの手合が集まる、という老執事の言葉の信憑性が増す――と思いきや、実際はまるで違う。


 右を見れば、防御力の概念に挑戦する露出過多の鎧を着た女戦士。

 左を見れば、とんがり帽子が歩いているような童女。

 明日を夢見る少年剣士に、先輩風を吹かすかませ犬こと軽薄男。

(異様っちゃあ異様だけど、なんだか想像してたものと違うなぁ)

 魔法が実現されている世界だから、見た目の逞しさと強さが必ずしも比例するわけではないのだろう。

 筋骨隆々の大男顔負けの怪力を秘めているオレが、何よりの証拠だ。



「――あのー、ちゃんとやってくれませんかね…………(チッ、オワンネェンダケド)」

 ふいにオレの適正検査をしている、気怠そうな担当員から、試験に集中するように批難される。

 確かにオレの意識は周囲へ逸れていたが、事前説明ではただ水晶玉に掌を乗せろと言われただけで、やれ呪文を唱えろとか、やれ気合を()めろといった特別な手順はなかったはずだ。

「いや、だって水晶玉光らねぇし……これ、どゆこと?」

「いや、オレに訊かれても……」 

 オレの番に限って、水晶玉はなぜだかまったく反応しない。

「オレ何かまずいことしちゃいました?」

「あー、ひょっとして故障かな? こーれ、けっこうお高いんスよねぇ……」

 動作不順をオレに擦り付けようとしている感じがするけど、責任の所在はオレにはないはずだ……たぶん。

 気怠そうな担当員は、オレに代わり水晶玉に掌を乗せて作動を試みる。

 

 するとオレが掌を乗せていたときは、うんともすんともいわなかった水晶がにわかに光を発した、

「あぁ、ちゃんと光りますねぇ……(ハー、メンドクセ)……おーい――」

 気怠そうな担当員は重い腰を上げ、近くに居る同僚のところへ行くと、こちらをチラチラと見ながら何事かを相談している。



(まるで、やる気のない店員みたいだ……レジの不具合に直面して、バイトリーダーにヘルプを求めて……いや、他人のことをとやかく言える立場じゃないな)

ご高覧いただき ありがとうございました 次回へ続きます

ご感想など お待ちしてます 活動の励みになります



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ