ep.14 エンカウントバトルⅢ
一部グロテスクな表現がございます
拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです
『――ゥォォォォオオッ!』
彼方より轟いた怒号を辿れば、丘の上から青草を踏み倒し、大鬼がこちらに向かい走って来ている。
飛翔の際に上空で風に流されたので、オレたちがいる着地点は、馬車があったところからだいぶ離れているのだが、片腕を奪われ怒り心頭の大鬼は、執念深く追って来たようだ。
(……オレの強さを確かめるのに、おあつらえ向きだな)
これが、もし訓練の中で培った能力であれば、自ずと実感も湧いただろう。だが、突如として目覚めたこの力は労せず得たもの。天から授かりし、いわば天恵だ。したがって、我が身のことでありながら、力量は未知数である。
(あの怪物に挑めば、実戦を通じて真価が測れるかもしれない)
きっと、力を得たことによる高揚と謎の万能感がそうさせたのだろう。後になり冷静に振り返ってみれば、未開の地で凶暴な野生生物と対峙するなど、軽率だったと断言できる。
オレは握り拳を作ると上体を捻り、大鬼を迎え撃つ構えを取る。
記憶の中に武道の心得などなかったので、いつか動画で視聴したであろう格闘技の見様見真似だ。
「な、なにをするおつもり? 逃げた方が……」
これから一戦交えようとするオレと大鬼を見比べて、おろおろと狼狽えている少女は、このスーパーなパワーを知る以前のオレだ。
「下がっていてくれ」
そんな少女を後ろへ押しやって、すぐそこまで迫っている大鬼を真っ直ぐ見据える。
『ヴォオオオオオオオオーッ!』
(思い上がりであるのならそれまで……自分の倍近くある怪物に踏み潰されるだけだ!)
接近した大鬼が、手に持っている大きな木片を棍棒のように振るう。
野太い風切り音を鳴らすそれを、オレは難なく飛び越えて回避する。
ここまでは、ほぼ先のシーンの焼き直し。だが確かに異なる点がひとつ。
それは2度目ということもあり、オレは加減を覚えたということ。今度は馬鹿みたいに天高く飛び上がる失敗は犯さず、大鬼の頭上程度の高さに跳躍を抑えた。
無事で済んだとはいえ、高高度からパラシュートなしでダイブする、そんな絶叫体験など二度と御免だ。
この点、がむしゃらに棍棒をぶん回す怪物と、学習能力を持つ人間の差だ。
(なんて、こんな頭の悪そうな奴と張り合うなんて――)
「――どうかしてるぜッ!」
オレは空中で水平方向に一回転し、遠心力を加えた拳を繰り出す。分厚い筋肉に覆われた胴体は避け、狙うは生物の急所である鼻頭。
『ゴガァァアアアアァァッ!』
負けじと大鬼も、振り抜いていた棍棒を返して抵抗をみせる。
双方の闘争心が衝突し、そして次の瞬間――。
周囲に破裂音が響き、続いて血液やら脳漿やら内容物がぶちまけられる。
はたして絶命したのは怪物か少年か・・・
三日間 キーワードタグなるものを付け忘れてました・・・
ご高覧いただきありがとうございました! 次回へ続きますっ!
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