ep.12雲外蒼天~そこに広がる世界
拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです
「――え……」
次の瞬間、二人は空にいた。
「な――!?」
そこは地上より遥かに眩い晴天の世界。眼下に雲海が広がるほどの高高度だ。
大鬼のラリアットを、オレは少女を抱えながら必死に避けたのだが、勢い余って天高く飛翔したのだった。
冗談のような本当の話。馬鹿みたいな脚力が可能にした、ギャグ漫画みたいな展開だ。
「わっ……わぁ……!」
傍らには、瞳を輝かせて感動している様子の少女。
飛行機や映像技術が無い時代では、まずお目に掛かれない光景。おそらく生まれて初めて見るであろう世界に、恐怖より好奇心が優っているようだ。
一方のオレはというと、360度の満天より雲海の切れ目から覗く地表の有様に絶句していた。
(嘘だろ、こんな……これじゃあ、とんだ秘境じゃないか!)
平原と森林、河川と湖、山々の向こうに至るまで、どこまでも未開の大地が続いていおり、そこにはビル群や高速道路などの見慣れたものは一切無い。
人工物といえば、かすかに見える三角屋根の集落や、石造りの壁に囲われた町が点在しているだけ。
それは、おそらく200年から300年、下手をすれば、もっと遡った時代の風景だった。
(……オレに帰る場所なんて無いのかもしれない…………)
自身の朧げな記憶にある故郷の風景と、直面する現実の乖離落胆する。
怪物を目撃したときから薄々感じてはいた。
ひょっとしたらオレは、異なる世界に迷い込んでしまったのではないか、という妄想染みた疑念。混乱の中で宙ぶらりんになっていたそれが、ここにきて確信に変わった。
「おっ、おおぉ……?」
やがて、上昇を続けていた二人は空中で停滞。翼のない生物が飛び上がった後には、当然、落下が待ち受けているわけで、二人は間もなく物理法則に従い急降下する。
「ひっ、ひゃああああああああああああああああああああ――ッ……!」
内蔵が浮くような非常に嫌な浮遊感に見舞われ、落下の恐怖に駆られた少女が、救いを求めてしがみ付いてくる。
「くっ!」
オレは少女をしっかりと抱きかかえると体勢を整えて、痛いくらいに吹き付ける暴風を体に受けながら、懸命に目を見開き迫る大地を見据える。
これほどの高さまで上昇する脚力のオレならば、きっと着地も可能なはず。よもや自滅する高さまで、ジャンプする生物も居ないだろう。
(きっと――いや、絶対! でなけりゃ困るっ!)
「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――!」
ご高覧いただき ありがとうございました 次回へ続きます
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