ep.10 エンカウントバトルⅠ
拙い文章ではありますが あなたの心に触れられたら 幸いです
それが、あまりにファンタジー色の強い光景だから、バーチャルリアリティをプレイする感覚で、オレは蛮勇に走る。
奇妙な展開に気を取られ、緩めていた脚に力を込め速度を上げた。
――オレは何者だ?
ここはどこで、いつの時代だ?
怪物はどんな目的で人間を襲っている? 食らうため? それとも縄張り意識か?
いや、それよりも、何より……一般人のオレに彼らを救えるのか?
頭に浮かぶいくつもの疑問を、今は流れる景色とともに置き去りにする。命の危機に直面している少女を前にして、迷っている暇などあるものか。
これがもし、刃物を構えた人間の凶悪犯相手ならば、こうはいかない。恐怖に竦んで動けなくなっていたことだろう。
オレは恐怖心さえも置き去りにし、無謀にも戦場へ突撃する。
負傷した兵士の傍らに落ちている剣を拾い、少女に迫っている大鬼へ振り下ろす。
『グギャアアァァァァーッ!』
その一太刀は、大鬼の丸太のように図太い腕を真っ二つに切断した。
けれど、素人が力任せに振るったせいか、衝撃に耐え切れず刃が折れてしまう。
「すごい……」
大鬼の脅威から解放された少女が、感嘆を漏らしこちらを見上げてくる。
(たしかに、すごい切れ味だ)
オレは折れた剣を掲げ瞠目する。
一見すると何の変哲もない剣のように見えるが、名工が手掛けた業物なのだろうか。
(……あれ? ってことは、もしかして弁償させられたり……?)
ふと浮かんだいやーな疑問に血の気が引く。
包丁でさえ良い代物は、それなりのお値段がする。
刀剣の相場など皆目見当もつかないが、質量の伴った鉄塊が安いとは考えづらい。戦場において命を預けるに値いする高額が予想される。
それを遭難しており無一文のオレが弁償などできるはずもなく……。
ご高覧いただき ありがとうございました 次回へ続きます
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