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72使徒

「で、なんでお前らがここにいるんだ?」


 これは呉夫の工場にて、居座るベリト達に向けられたケルベロスの言葉だ。


「仕方ねぇだろ。帰ったらアジトがもぬけの殻だったんだ」


「おそらく何者かの襲撃を受けたのでしょう。あの場にとどまるのも危険と判断したためこちらにお邪魔させていただきました」


 ぶっきらぼうに応えるベリトのフォローをするブエル。


 押しかけてきたのはベリト、ブエル、ダンタリアン、フォカロルの4人。


「僕達も居候の身ですからなんとも……。呉夫さんに聞いてみないと……」


「その呉夫さんもいま留守でして」


 対応に困るラードン、状況を説明する総士。


「しかし72使徒の隠れ家を襲うなんて、いったい何者なんです? 人妖機関ってオチは無しですよ?」


 房士は襲撃者の正体が気になるようだ。


「まぁ、よそ者の72使徒をよく思わない連中は少なくないでしょうから。見当がつきませんね」


 ため息まじりにラードンが応える。


「あれ、お前ら数が足りなくねぇか? 確か4人いたはずだろ? あと2人は……」


「ええと、その……」


「ああ、フォカロルとダンタリアンなら……」


『あ〜、サッパリした』


『私も久しぶりになるな』


 ケルベロスの質問に口ごもるブエル、言いかけるベリト。


 そして建物の奥から聞こえてくる2人の声。


「おい……。何してやがったんだ? あの2人は!」


 ベリトとブエルの頭を掴んで、自分の目の前に引き寄せるケルベロス。


「いや……その……」


「見りゃわかるだろ。風呂入ってたんだよ」


 返答に困るブエルを押しのけ、ベリトがぶっきらぼうに応える。


「なんで居候の居候のお前らが勝手に風呂入ってんだよ!」


「うるせぇな。文句ならあいつらに言えよ」


 工場のすぐ隣に在る呉夫の自宅。


 そこの鍵を勝手に開けて、ダンタリアン達はお風呂に入っていたのだ。


「おい、1つ言っておくぞ。12年前、ここの旦那の妻子や仲間を殺害したのはお前らソロモン72使徒だ。空亡の事があったから旦那も大人(おとな)しくしていたんだろうけど、お前らの事をよく思っているはずはないんだ。ここにおいて欲しきゃもう少し考えて行動しろ」


 72使徒に向かって言い放つケルベロス。


「12年前? んな事してたっけか?」


「おい、ふざけんなよ!」


 首を(かし)げるベリトを見て、ケルベロスが激昂(げっこう)する。


「お待ちなさい。おそらくそれは、サブナックの仕業。彼は我々に隠れて、独自の活動基盤を作り出していました。自ら河王になるために」


「なんだと?! 下手な言い訳ならやめておけ。アタシを怒らせるだけだぞ?」


 フォカロルの言葉に怪訝な表情で返すケルベロス。


「嘘じゃないわ。現にサブナックは12年前の日本からの撤退のとき姿を消して、彼を追った72使徒が死体で見つかった。私はあれからずっと、日本に潜伏していると思っているわ」


 ダンタリアンの言葉を聞いて、ケルベロスは静かになる。


「サブナック……。もし生きて、日本にいるのならば、警戒すべき相手ですね」


 ラードンが静かに呟く。




 その頃、呉夫はバッグベアードと共に空亡との戦闘があった夜の上沢高校に来ていた。


「かつて私が感知する事ができたのは、あの少女の姿の空亡。もう1体の空亡に関しては、全く感知できてなかった」


 虚空が生み出したもう1体の空亡。


 しかし、その事を全く知らないバックベアードからすると、儀式も無しにこの世界に空亡が出現したという可能性を無視できなかった。


「とにかく、あの空亡の情報を少しでも集めて。アレが召喚以外の方法で、この世界に現れたのか。それとも私が感知できない召喚方法があるのか。どちらにせよ無視はできないわ」


 そんな中、バックベアードが何やら戦いの気配を感知する。


「何かしら? ちょっと様子を見てくるわ」


 そう言ってバックベアードは、現場から離れる。




『能力的な面で気をつけなくてはならないのが、バエルなのですが、思想的な面ではサブナックですね。彼は以前から自身が王になるべきと言う、危険な考えの持ち主でした』


 かつてヴァサゴが話していた、72使徒抹殺の優先順位。


 今、ブネとグラシャラボラスの目の前に、そのサブナックがいた。


 獅子の模様の描かれた鎧に見を包み、同じく獅子の模様が描かれた剣と盾を構えるサブナック。


「コソコソと逃げ隠れするのはやめたのかい?」


 挑発気味に修道女の格好をした女、ブネが笑う。


「王に成り代わろうなど不届き千万(ふとどき千万)


 そう言ってグラシャラボラスは剣を抜く。


「ヴァサゴはどうした? 怖気づいたか?」


 鼻で笑うサブナックの態度に、グラシャラボラスが怒り狂い、突撃する。


 サブナックはその攻撃を、盾で受け、力任せにつき飛ばした。


「ったく、こんな挑発に乗りやがって!」


 グラシャラボラスが吹っ飛ぶと同時に、ブネは怨念を集中させ大砲のように撃ち出す。


「効かぬ!」


 サプナックが叫ぶと怨念の塊はきり刻まれながら消えていく。


「え?!」


 突然、奇妙な声をあげるブネ。


 怨念の塊を斬り捨てたとき、ブネも斬り捨てていたようで、その場に倒れる。




「何だ、コイツラは」


 遠目でサブナックのたたかいを見ていたバックベアードが呟く。


 

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