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増援

「術が通じた?! なんで? どうして!」


「今、兄上が使ったのは複合術式。要は複数の術を同時に使うというものです」


 取り乱す紗由理に蒼水が解説する。


「それで解術式がうまく機能しなかった? それとも2つ分の術の威力に押された? 雨上の術式は徹底的に対策されているはず。それが通じたっていうなら、それは空亡攻略の切り札って事になる!!」


「たぶん。兄上はそこまで考えていませんよ。単に複合術式の方が威力が上がるぐらいしか……」


 興奮気味に早口でまくし立てる紗由理に少し引き気味の蒼水。


「あれは、ヒヒイロガネだな」


 空亡の素材を見て、蒼炎が呟く。


「オリハルコンに並ぶ伝説の金属のか?!」


「まぁ、質は決して良くはないが、そのヒヒイロガネだ」


「なに? そのイロガネって……」


 蒼炎と霧香の会話に、羽月が混ざってくる。


「術式なんかと相性が良いい希少金属なんだが、それ以外にも霊体を持つ金属として知られている。ヒヒイロガネて作った武器は、何か特別な事をしなくても実体のない相手を斬ることができる。おそらく、その霊体の部分とあの空亡は結び付けられているんだろうな」


 蒼炎の解説に、わかったようなわかってないような表情の羽月。


「…………。あの空亡は希少なアイテムで強化されているって事だ」


「ナルホド!」


 だいぶ端折った説明に、ようやく納得する羽月だった。


「?! まずい!」


 突然、蒼炎が叫ぶと巨大な七芒星が出現し、空亡の中心から放たれた閃光をさえぎる。


「とりあえず閃光はこれでしのげる。問題はヒヒイロガネの方だな。神器とかいわくつきの武具なんかに使われる素材だ。ただでさえ強力なうえに、色々と応用がきくからな」


「それにしても、あの閃光を完全に(さえぎ)るとは、さすがですね。兄上」


「ああいう直線的な攻撃は意外と大書しやすい。どんなに早くても単調だからな……」


 蒼水に話しかけられ自然体で返す蒼炎だったが、一瞬の間をおいて蒼水(オルトロス)を2度見する。


「弟が……妹になってる?!」


 母親と同じリアクションをしてみせる。




「最初に戦った連中の話だと、石板がヒト型になって襲ってきたんだよな?」


「ええ、私もそう聞いたわ……」


 元蔵と風香、2人の前には自分達とそっくりの影の戦士が立ちはだかり、その背後に石板が確認できた。


「聞いてたのとだいぶパターンが違うよな? あの石板にダメージを入れれば良いのか?」


「それも、試すしかわからないわね」


「風香、一瞬だが影の2人を頼めるか? そのスキに俺がなんとかする」


「わかったわ」


 風香はそう言うと羽団扇による風と神通力で影の2人を拘束する。


 そのスキに影の戦士をすり抜け、石板を射程に捉える。


 しかし、元蔵が槍撃を繰り出す前に、何かが物凄い勢いで石板に命中してその防護機能を停止させる。


「えっ?! お前さんは……」


 言葉を詰まらせる元蔵。


「あの馬鹿は! あの麟太郎の馬鹿はどこ?! 今度という今度はもう、我慢の限界よ!」


 麟太郎の名を叫びながら激しく激昂(げきこう)する金髪の女性。


 背中からはコウモリの翼が生えており、口元から牙をのぞかせている。


 ひと目でヴァンパイアとわかるその女性を、元蔵と風香が必死でなだめる。




「くそっ、なんて手数の多さだ!」


 そう叫びながら、伸びるヒヒイロガネや閃光を処理する蒼炎。


「守りは私に任せて、兄上も攻撃に回っては?」


「いや、まだだ。空亡はまだ、手の内をかくしているぞ」 


 そう言って蒼水に注意をうながす。


「まぁ、たしかに大技を使うにしてももう少しよわらせておきたいがな……」


 閃光を放ちながらヒヒイロガネを伸ばす空亡を見ながら、蒼炎は呟く。


「?! 何だこの木の葉は?!」


 突然舞いちる大量の木の葉に、怪訝な表情を見せる蒼炎。


『もう、みんなして僕の事、おいて行っちゃうんだもん!』


 どこからともなく響く余白の声はさらに続く。


『妖術、木の葉縛り完全版!』


 その声と同時に、大量の木の葉が空亡を(おお)いつくし、その動きを止めさせる。


『今だよ!』


 その言葉を合図に、何かが物凄い勢いで空亡に激突し、校庭に転倒させる。


「げっ……」


 空亡を転倒させた物の正体を見て、蒼炎は嫌そうな顔をする。


「理奈さん……」


 その名を呼ぶエリスの表情も困惑していた。


「なんで……。なんで貝殻ビキニなんですか……」


 勇気を振り絞って火織が尋ねる。


 火織の言葉通り、理奈の姿はいつぞやの貝殻ビキニ姿だった。


「最初はちゃんとお洋服きてたのよ」


「勢い良く突っ込んだせいで燃えつきちゃったのよね」


 それは遅れて到着したリリスとアリスの言葉だった。


「そっかぁ、貝殻だけは燃えずに残ったのか。このための貝殻ビキニだったんだ!」


「絶対に違うぞ。誓ってもいい」


 理奈の姿に感嘆の声をあげる羽月、それに突っ込む霧香。


 そんなやり取りをしている中、転倒した空亡が起き上がるのだか、それを目掛けて大量のこうもりが襲いかかる。


「これは……パパが使っていた妖術と同じだわ」


 妙に懐かしさを感じるエリス。


「あらエリス、久しぶりね。気づかなかったわ」


 先程元蔵達の前に現れた女ヴァンパイアはエリスに親しげに話しかけるとそのそばに舞い降りる。


静音しずね|叔母さま?!」


 金髪の女ヴァンパイア、名を条牙咲 静音(じょうがさき シズネ)


 走矢の祖父、走司の伯母で最精鋭の1人でもある。

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