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いずみとノア  作者: 森野 泉
第一章 
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10/12

忘れちゃったの?

朝ごはんを食べ終わると、いずみは窓の外を見た。


「晴れてる!」


「はい」


「ノア、しゃぼん玉しよう!」


「しゃぼん玉ですか」


いずみが振り返った。


「昨日言ったじゃん」


ノアは少し黙った。


「その記録はありません」


「えー! 昨日、寝るときに言ったよ!」


「覚えていません」


「……忘れちゃった?」


「はい」


いずみはノアの前まで来た。


「もう一回考えてみて」


ノアは少し黙った。


「ありません」


「ほんとに?」


「はい」


いずみは首をかしげた。


「じゃあ、お風呂は?」


「覚えています」


「石は?」


「覚えています」


「かくれんぼは?」


「覚えています」


「じゃあ、しゃぼん玉は?」


「覚えていません」


「なんで、しゃぼん玉だけ忘れちゃったの?」


「わかりません」


いずみは少し考えた。


「じゃあ、指切りしよう!」


「指切りですか?」


「うん。もう忘れないように」


いずみはノアの小指に自分の小指を絡めた。


「指切りげんまん、うそついたら針千本のーます、指切った!」


いずみは指を離した。


「これでもう大丈夫!」


「そうでしょうか」


「もう忘れないでしょ?」


「また忘れるかもしれません」


「えー! 指切りしたのに!」


「はい」


いずみは少し考えた。


「石、持ってる?」


「はい」


「見せて」


ノアは小さな石を持ってきた。


いずみはノアの手の中をのぞいた。


「これも忘れちゃう?」


ノアは石を見た。


「わかりません」


いずみも石を見た。


「……なくさないでね」


「はい」


「じゃあ、しゃぼん玉しよ!」


「はい」


「昨日も言ったんだからね」


「はい」


「忘れてたけど」


「はい」


いずみは庭へ走っていった。


ノアは手の中の石を見た。


それから、いずみのあとを追った。

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