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34 work 5-3

《おいしょぉ!お邪魔しまっせ!》


フェクトがドアを蹴破って銃を構えながら先頭で突入する。

中には両手を上げた男達。私達は警戒したまま奥へ入り、責任者へのオフィスへと向かう。


ヒトの耳と同じ位置だが、エルフの様に尖っていて、そして毛が付いている獣の耳。

噂以上に、この国の人間は、ヒノシタ以上に獣人の血が残っている者が多い。


全員、やけに驚いた表情でフェクトのことを見ている。戦意はなさそうだが、気は抜けない。


「アンタが港湾の責任者?」

シスナが銃を構えて近づく。アタシたちは他が妙な動きをしないか、背中合わせに後ろを見て男達に銃口を向けていた。


「そうだ。私がこの港の責任者だ。」

フェクトがスピーカーから喋る。

《俺が降伏勧告をした本人だ。前日に寄港の交渉を送ったはずだが、お前達は無視したな。何故、我々を襲う?》

「余所者を入れるなと言う、政府からの命令だ。我々の思うところではない。」

《信用したい言葉だな。じゃあ、このオフィス一帯にいる従業員を全員2階から降ろせ。この階にいるのはお前だけにしろ。》

「従わなければ?」

《3分以内に港にいる人間を半数を殺す。抵抗すれば民間人含め全員だ。》

「バカな。この囲まれた状況で出来るとでも?」

《忠告してやろう。私のスペアボディが、沖合の船にあと5体控えてる。ここにいる5人を倒しても、私だけは復活出来る。更に数を増やしてね。》

「…。」

《さっきも見たと思うが、我々には航空戦力もある。お前の判断次第で、この後の人生の全てが変わるぞ。よく考えるんだ。》


「…。」


小太りの管理人が固唾を飲んだ音が全員に聞こえた。


従わなければ全員殺す。超強気の交渉だ。


オフィスの男達含め、アタシら全員の額に汗が伝う。この見合った状態の近距離戦。人数不利の状態だ。銃弾を乱発されるだけで、どちらも殺傷は免れない。


(ヒューウ…相変わらずおっかねえ男だ。)

アタシの中の過去のリラもかなり動揺している。

この後の命運を、今の発言次第と断定する物言い。穏便に出るのが得策だろうと誰にしも思わせるだろう。


アタシには真似できそうもない。


《穏便に済ませたいのはコッチも同じだ。》

「…わかった。受け入れよう。全員部屋から出ろ!」

《いい子だ。》


ぞろぞろと男達が部屋から出て行く。アタシらは一安心して銃口をおろして、銃のセレクターを安全装置に戻した。



フェクトがどっかりと椅子に座って面と向かう。


《さてミスター。名前は?》

晴馬ハルマだ。」

《いい名前だ。君のボスと取り合って貰いたいが。鎖国しているのは政府でいいのかな?それともギャングとか自警団?》

「その前にひとつ聴かせてくれ。そのお姿は?何故この島に入ろうとする?」


《うーむ…少し突飛で長くなるが掻い摘んで話すとだな。》


彼は少し考えた。


《…私自身。この体を作ったヤツが知りたくてここに来た。》


「どういう意味?知ってて使ってんじゃないの?」

フェクトの言葉には、アタシも首を傾げた。

過去のリラも何か知っているのだろうが、人格に影響が出るレベルの記憶の共有はしない様に線引きしている。

聞かされていないのはその手の話だ。


《この体は、今から500年前のロメニア。アメジストの大ダンジョンに居た水晶の人形の魔物がベースになっている。》

「それはアタシらも知ってるけど…。」

《私は1500万年前にダンジョンの原型となる、量子コンピューターと石英ガラスストレージで人格を保存するタワーを作った本人の一部だ。500年前にそこで色々あって、この体に身を宿すことになったわけだが…》


ハルマは若干ついていけなさそうな顔だが、フェクトは続ける。


《1500万年前の人類の記憶には、このクリスタルの人形は構想上の図面でしか存在しなかったんだ。モックアップは作られたが、自在に動かせるほどの動力がなかった。》

「つまり?」


《旧人類絶滅後から現代文明が発生するまでの間に、完成品や鍵となるパーツが地球の外から持ち込まれた可能性がある。勿論、ダンジョン内で自然発生した可能性もゼロではないが。》


「なんだかよくわからない話だ。」

突拍子もない話に相手も当惑している。

ミランダに至っては、最早なんの話をしているかさえ定かではない。飽きて爪の間についた汚れを銃剣の先端で剥がし取っている。


《では、分かりやすく。君らが頑なに外国人を排斥するのは、この土地にある何か遺跡や遺構、あるいは神聖視されているモノを守る風習ではないのか?》


「……!」


《その遺構の一部には、きっとこうか、もしくはこう…刻まれているだろう。》

フェクトは事務所のホワイトボードに文字を書く。


『Made in Japan / MADE IN JAPAN』


ハルマと名乗った男は、この文字に見覚えがあるという顔だった。

「アンタは一体……」

《名前をフェクト。1500万年前に遺構を作った古き人の集合体『レギオン』だ。これは私にとっての帰郷なんだよ。量子コンピューターと石英ガラスストレージは、この地で作られ大量に世界に輸出された。》


フェクトは身を乗り出した。


《この地球に残っているダンジョンは、もうこの地にしかないんだ。調べさせてはくれないか。》


「………。」


管理人のハルマはしばらく押し黙っていた。


「…子供の頃に聴いた御伽噺に…いつか、"輝く人が帰って来る"という一説があった。」

《ほう?》

「アンタのことかも知れない。上と掛け合ってみる。」

《感謝するよ。これからは良きパートナーになれるように努めようじゃないか。》


2人は握手を交わし、電話を始めた。


取り合えず、交渉が上手く行ったようでアタシたちは安堵の溜息をつく。

島のモデルになったのは北センチネル島の原住民

もう少し楽しくしたかったので、ロアナプラとかバルベルデっぽいギャングの住まう島にしたかったからこうなった

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