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23 work 3-6

首都に戻ってきた私達はマザーに詰め寄った。


「マザー、ダンジョン跡地でクリスタルのワイバーンと戦うハメになったわ。シトリンとミランダは変な水晶の戦車とも遭遇した。」

「戦車…最悪の事態だったみたいね。でも、よく生きて帰ってきたわ。見事よ。」

「FECTドローンで援護したのはマザーね?なぜ事前に伝えなかった?」


彼女は驚いて私を見た。


「…そんなプログラム組んだ覚えはないわ。」

「なんだと…!」

マザーは私に近づいて肩に手を当てて耳打ちする。

「確かに黙ってコンピューターウィルスは入れてる。ハッキングをかけて来た相手にカウンタークラッキングする為よ。内部データを見ようとしたこの国の人間も例外じゃない。」

「やっぱりロクでもないことを…!」

「でも!戦域から離れて独立して動くなんてことはあり得ないわ。」


ラップトップにペンダントリーダーを接続して、マザーは急いで対話を試みる。


勝手にGPSが開いて地図と座標が示される。


「どういうこと?勝手に動いてる……」


ドローンたちが勝手に相手の空港や拠点を空爆し始めている。

観測ドローンや妨害電波を浴びせられた先からコンピューターウィルスが伝播して、こちら側に敵方の情報が筒抜けどころか、相手方の自爆ドローンが引き返して自爆を始めていた。


完全に制空権を掌握して、相手の指揮系統もガタボロになっている。

本来、ドローンに対して射撃するハズの散弾を敵方の兵士に向けて低空飛行で撃ち抜いて、歩兵に対しても容赦なく攻撃を仕掛けている。


モモから電話がかかってきた。

《マザー、凄い事になってる!どんどん衛星越しに無線のチャンネルが増えてってるんだけど!》

「なんですって?!」

《チャンネル893の観測ドローンが…オデューサの敵の港湾施設に敵の自爆ドローンが突っ込んでますよ!?もう国境を超えてる!》

「想定していた動きだけど、どうしてこんな早く…!?人間の命令の範疇を超えてる…!」


ラップトップのマイクに問いかけた。


「クレア!?話が違うわ!」

『ウィルスを伝播させて浸透させて位置を割り出して叩く。事前に話した通りのはず。』


通話越しに女性の声がした。合成音声にしては流暢だ。


「ペースが早すぎる!友軍との連携を無視していたら収拾がつかなくなるわよ?!」

『敵はただちに撃退する。素早く、混乱に乗じて、精確に。故郷を荒らす者は、誰であれ許さない。』

FECTドローンを持ち込んだのは、2人が結託した計画の様だったが、クレアの方はかなり怒り心頭の様だ。完全に暴走して戦場をメチャクチャにしている。

恐らく、シトリンを助けたのは彼女が自律してドローンを動かしているからだろう。

「クレア…?このやり方、まるであの人の…」



『シスナ、ヘリコプターでスタンツァに向かえ。』



彼女は隣にいる私に語り掛けて来た。


「クレア!?」

『父親が無人機を積んだコンテナ船に乗って港湾に潜伏してる。ケジメを付けるなら今しかない。』

「……どうしてそのことを……。」

『普段から私達の無茶な依頼をこなしてくれてる、お詫びと、お礼。今なら無人機は私達が乗っ取れるし、既にスクリューは壊してある。彼にもう逃げ場はない。ヘリコプターの手配ならいつでも出せる。』


私は一息深呼吸して立ち上がった。

「シスナ!」

「ごめんマザー。1人ででも私は行く。」


親族が皆死んでいたことを聴いて絶望して自殺した時、過去のシスナは確かに私を救ってくれた。



【教会の刃は裏切者をどこまでも追い、必ず殺す。】



それが私の中に宿るシスナを、今の姿にさせた理由ともなった。

彼女は今も時折、信頼していた上官を始末した自分の行為が正しかったのかと疑うことがある。



だが、シスナに殺された側の"あの人"は後悔しなかった。



同じ組織に従属した上官だったからこそ、部下に教え、自分も信じた流儀を受け入れた。



『抹殺を遂げるか、返り討ちか。』



生きるか死ぬかの生存競争。真剣勝負に全力を尽くし、そして敗北を受け入れ、強く生き続ける様にと背中を押してくれた。



野生に生きる獅子の様な誇り高さに、私は救われた。



飛行機に乗っていた時から、きっと今なんだろうとずっと予感していた。

過去のシスナもまたクレアと結託していたから、同じ体で繋がっていたからなんとなくわかったんだろう。




父親を殺せる日を、私はずっと待ち望んでいた!




母や叔父、従兄弟たちの仇。親族全員を分離派勢力の民兵団に売った裏切り者を!!!




「お供すっぜ隊長!」

リラが私の手をハイタッチから強く握り込んだ。互いに背中を叩き合い、銃を持って出口へ向かう。

「私も行くわ。」

「レイチェルが行くなら私も。」

「レイチェルにミランダまで!アナタ達は無関係でしょう!?」


私達はマザーを後目に部屋を出た。

ドアを閉じようとした私達を止めようと、マザーが立ち上がった時。


『止めるなリーシャ。』


彼女は男性の声に絶句してラップトップを振り返る。

「…………その声は…!」

『大丈夫だ、彼女達は必ず戻る。シトリンが居れば負けることはないさ。』



「大賢者フェクト……!」

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