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14 work2-5

私達は車を走らせて、事前に探っておいた住所へ向かう。

「残り3人は被扶養者は持ってない。データを取るのは、代表取締役兼社長の1人だけでいい。立件できるデータさえあればいい。襲撃する回数も最小限に抑えるわ。」

シスナが言うと車が止まる。

「ヒフヨウシャってなに?」

「働いた金で養う妻と子供ってこと。結婚して家族、もしくは所帯を持ってねえってこった。つまり一人暮らし。さっきみたいなシビアなタイミングを狙わなくても、寝込みを襲えるってワケ。」

モモの問いにリラが答えた。

「面倒くせー言語だ。一個に統一しろ。」

「純血のヒノシタ人のいう言葉じゃねえな。」

リラが笑いながらシートベルトを外し、仕事道具をポケットに入れる。


着いた場所は何の変哲もないアパートだ。

「リラ、先導任せた。レイチェル一緒に行くわよ。メリッサ、ドローン飛ばして一応赤外線で警戒システムがないかチェックして。モモは見張りを。」

「「了解。」」

全員それぞれ行動につく。


《赤外線センサーの類はありません。見た目通りのボロアパートです。》

「了解。窓から侵入してアゾフカを送り込むわ。」

「アファーマティブ。」

私はシスナの提案に了承する。ボロアパートの階段は足音がなりやすく、アゾフカの重量は私達の様な女性の体格であっても80キロ近くある。

サビたボロアパートの階段で、3人でゾロゾロ動けば床が抜け落ちかねない。


………


リラがアパートの階段を上る前に、靴の上に厚手のソックスを履いて足音を消した。

201号室の鍵を静かにピッキングで開け、ノブを回す。

 ギギギ…

ドアの蝶番が音を立てる。

(警報のつもりかよ、ドクソ野郎…!)

潤滑剤のスプレーを吹いて、タオルで拭き取り音が鳴らなくなったことを確認してドアをゆっくり静かに開けた。

閉じ切らずにそっと閉め、寝息を聴いて彼女はワンルームへと侵入し、部屋の窓を開ける。


眼下にシスナとレイチェルが見える。


………


私とシスナは重たいアゾフカの足のヒラを2人がかりで持ち上げた。

(分かっていたけど…ッッ!)(メチャクチャ重い…ッ!!!)

膝がぷるぷる震えながらも、アゾフカの両手が窓枠に付く。

リラが引き上げて、部屋に入った。

私は続いて入り、へこたれてコントロールを失っていたアゾフカに触れて再び起動させて動かす。


寝ている男の頭を掴み、リラがスタンガンをそっと押し当てて、スイッチを入れる。


ビクっと背筋を一瞬伸ばした後、失神して卒倒した。


ペンダントにオレンジ色の光が宿ったのを確認する。


《成功した。メリッサ、手伝って。》

《はーい。》


横向きの安静体位にした後、アゾフカの五体をバラバラに分解する。

それぞれ手、脚、胴体、頭の順にパーツごとに窓からそっと下し、メリッサが軽い手足を持って、シスナと2人で退散した。

リラと私は静かに玄関から部屋を出て、鍵を閉め戻した後に車に戻った。


「ふ~~~…」


私は思わず安堵の溜息を深くつく。ペンダントをシスナに手渡した。


「お疲れさん。」

「ステルスも楽じゃないね。」

緊張の糸が切れた私は、思わず口走ってしまう。

「でも成功したら、後の心配をしなくて済む。それが一番の報酬よ。」

「帰ってゆっくり寝れるってのはいいもんだ。」

シスナとリラも同じ気持ちの様で、私達は拳を合わせた。


「あとは、マザーの新技術が本物か祈るばかりね。徒労にならなきゃいいけど。」


私達のバンは帰路に着いた。日差しが登る朝方の高速道路。パーキングエリアで飲むカフェオレが、いつもより甘く感じる。

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