13 work 2-4
午後21時。
メリッサが手のひらサイズのドローンで事業所のトップの男を監視し続けること2時間。
社長らしき人物以外が退勤した。
「よし、リラ先行お願い。」
「あいよ。」
先にリラが車を降り、事前に調べてあったヤード内の照明を落とすブレーカーの近くへと忍び込む。
リラ以外の全員はモニターを見続ける。
どうやら社長はモニターにしがみついて、売り上げの計上だかの処理をしているらしい。
「ちゃんと上司らしい仕草してるのが腹立つわね。」
「ギャングも資金繰りで書類仕事しますからね。」
「善人ヅラ出来るのも今日までよ。」
ようやく残業を終え、コンテナハウスの照明を落とした瞬間だ。
私達は車から降りて素早くジャンクヤードの入り口へ向かう。
チャンスは車に乗り込むまでの間だ。
「リラ、やれ!」
《あいよ。電源オフ。》
彼女が事業所全体のブレーカーを落とし、周囲は一気に暗くなる。
眼を慣らしていた私達は迷うことなく暗所を走って敷地の中央を突っ切り、入り口を通って男の元まで一直線に走った。
ガチンガチンと関節の音を立てるアゾフカと共に走り、暗がりで目を擦る男の眼前まで来た!
「やぁっ!」
アゾフカのペンダントを持つ左手で、首を掴んで持ち上げ、そして背中から床に叩きつける!
「ゲホァッ!」
隣に続いたシスナが即座に側頭部にスタンガンを押し当て、スイッチを入れた!
「がっ……」
一瞬だ。ペンダントにオレンジ色の光が宿り、男は失神する。
シスナがポケットを漁り、事務所のコンテナハウスの鍵を手にした。
「よし、事務所に戻せ!」
「せーの!」
私とアゾフカとシスナの3人で男を抱え、出て来た事務所に戻す。
「クソっ、このデブ結構重い!」
仕事をしていた椅子に座らせ、居眠りしてしまったかのように寝かしつけ、事務所の鍵を定位置に戻して即座に退散する。
「撤収したわ。リラ、ブレーカー戻して。」
《あいよ。》
彼女がブレーカーを戻すと、照明が戻った。監視カメラの赤いランプが戻る。
監視カメラの電源も有線で、停電の間は動いていない。私達が認識されるよりも先に失神させた。
仕事の時間は2分未満。目撃者はゼロ。マザーの意識を保存する超技術が確かならば、ほぼ完全犯罪が成立する。
男は退勤前の準備をしたと思ったが、実は夢で直前に居眠りしてしまっただけに感じるはずだ。
目覚める頃には多少背中の痛みは残るだろうが、寝違えた以外に思い当たる節はなくなっているはず。
「よし、次行くわよ。」
私達はジャンクヤードを後にする。




