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第26話 装備を整えて

 今日は一ヶ月半ぶりに『帝国ギルド本部』に向かっていた。

 レイルと二人きりで。

 というのも「お主らたまには二人きりでクエストでもなんでも行ってきたらどうじゃ、二人きりの時間も必要じゃろうて」と、まさかのクリオからの気が効いた進言で、レイルもそれを聞いて嬉しそうにしていたし、最近レイルとの時間をとれていなくて悩んでいた俺も断る理由がない。

「なに!マスター、次は私とダンジョンに、んーーーっ!」

 アウルがなんか全部言う前に、クリオに口を氷漬けにされていたのは見なかったことにした。

 テトにすごく寂しそうな顔をされたのは少し心苦しかったが、レイルとの時間も大切にしたい、痛む心を何とかふりきってここまで来た。

「レイル、歩き辛いんだけど」

 右腕に引っ付いて離れないレイル、俺より背が高いのだから、傍目には変な光景に見えてそうだ。

「気のせいです」

 訳の分からないことをものすごい笑顔で返された、いや、歩きづらいのは気のせいではないんだけど。と、そんなことを言っても離れてくれそうにない。嬉しそうだしいっか。

「ギルドに行く前に甘いものでも食べに行きませんか?」

「うん、いいね、行こう行こう」

「やった!」

 めっち嬉しそうに笑い今にもスキップしだしそうなレイル、そんな純粋無垢で嬉しそうな彼女を見ているとなんだか申し訳なくなってきた。

「ごめんね、レイル」

「どうしました?」

 心配そうに俺の腕に抱きついたまま顔を覗き込んでくる。

「ほら、まあ、いろいろだよ、迷惑をーーあてっ!」

 言い方に迷っていると額にデコピンされた、意外と痛くて「つーー……」と額をさすっていると、彼女は遠くを見つめる。

「謝らないでください、私はレイジの傍に居れて幸せな精霊です、これから何があってもそう思い続けるでしょう」

 やばい泣きそう。

「言ったじゃないですか、レイジの傍に一生いますって」

「…………ありがとう」

「もう、何泣いてるんですか」

 抱きつきながらその柔らかな指で涙を拭いてくれる、ほんとおっちょこちょいだけど頼りになって、俺のことをこんなにも慕ってくれる精霊が転生してきた俺なんかについてくれて俺も幸せ者だよ。

「甘いもの、食べに行こうか」

「はい!」

 ニッコリと笑う彼女、その頭をヨシヨシして、抱きつかれては歩き辛いので今度は手を繋いで近くの甘味処に入った。


   ●


「そういえばさ」

「なんです?」

 クリームを口元に付け、パンケーキを口いっぱいに頬張っているレイルに少し気になっていることを聞いてみることにした。

「『相棒』の基準ってなに?」

「えっ」

 凄い不機嫌そうな顔をされた!聞いちゃいけなかったか流石に!そうだよな、俺の相棒だもんな、そんなのに基準とかないよな。

 どうやって弁明しようかとアワアワしていると、彼女は自分の腕につけている腕輪を「ん」と見せつけてくる、その腕輪は初めの街で買った俺とおそろいの物。

 確か『魔力の腕輪』で基礎MPがプラス20されるんだったかな、いつも俺も肌身離さずつけているし確か彼女もそうだ。

「お揃いの腕輪、だね」

 ゴクンと頬張っていたパンケーキを飲み込むレイル。

「そういうことです」

 …………え?

「レイジとお揃いの物を持っているのは私だけです、それにレイジが言ったんですよ、俺の『相棒』って」

 ドヤヤァ。

 そういえばそうだった、レミさん達に紹介する時に言い方に迷ってそう言ったんだった。それに、確かにお揃いのものを持っているのはレイルだけ、これじゃぁアウルとかクリオに変にお揃いのものあげれないな。

「そうだったね、わかったよ」

「ふふんっ」

 また一層と胸を張るレイル、さすがチョロイン単純で可愛い。

 そして、この腕輪を見て思い出したのだけれど。

「あ、話は変わるけどここに来てから武器屋とか防具屋とか行ってなかったな、ちょっと見に行ってみる?」

「行きたいです!!」

 装備も初めの街の装備だし少し心もとない、クリオとアウルには悪いが先に装備を揃えるのもありだな。すると残っていたパンケーキをすべて頬張り飲み込むレイル。

「行きましょう!」

 善は急げとはこの事か、俺たちは甘味処で少しだけゆっくりして少し歩いたところにある武器屋と防具屋に向かう。

 もちろん手を繋いでだが、今度は指を絡めた恋人繋ぎ、まあ、レイルの方からしてきたので断る理由もない。

「デートみたいですね!」

 終始ルンルンな彼女。

「あれ、デートじゃないの?」

 てっきりそうなのかと思っていた、レイルが彼女とかそんなことは考えたことは無いが既に一線は越えてるし、彼女がその気なら彼女どころか奥さんでもいいぐらいだ。

 いやいや、そこら辺はちゃんと告白というかプロポーズはするべきか、意外とまだ数ヶ月の仲だし時が来ればするとしよう。

「えっ!?」

 ふと見ると頬を赤く染めているレイル。

「いいんですか?」

「え?なんで?」

 すると彼女はニッコリと大輪の花のように笑う。

「これはデートです!デート!」

 俺の腕に抱きつく、チョロくてすごく可愛い。

 そんなこんなでいちゃついているうちに先ずは武器屋に到着した。

「何か買います?」

「んー、そうだなー」

 ラノベやアニメやゲームとかで見るまんまの内装、カウンターの手前には小道具がずらっと並べられていて、カウンターの奥いかついスキンヘッドで髭もじゃのおっさんの背後には長剣やら片手剣、ナイフやら鎌やら斧が所狭しと飾られていた。

「男っていうのはこういうのを見るだけでも楽しいんだよ」

「そうなんですね!」

 そして、特にあてもなく店内を物色する、俺魔法使いだし武器使わないし。あ、でもレイルは最近近接戦闘の訓練してるしクナイみたいな片手剣というかナイフみたいなのはあった方がいいのでは?んー、と考えていると。

「兄ちゃん、なにか捜し物かい?」

いかつい店主に話しかけられる、冷やかしなら出ていきなって言われるかと思って少し身構えてしまったけど。

「あ!えっとー、彼女に合う短剣というかナイフみたいなのはないかなって……」

 すんごいキラキラした目で俺を見てくるレイル、まあなんだ、プレゼントっちゃプレゼントだしね、なにか要望とかないのかな?

「おお、そのお姉ちゃんのか、見たところ背も高くてやや筋肉質だな。ちょっと待ってろ」

 背のことは言わないで欲しい、ハイヒールも履いてるし俺より全然身長が高いからそこだけがコンプレックスというかなんというか。

 別の部屋に行ってガサゴソしていた店主、五分ぐらいで戻って来ると、カウンターに刃渡り二十センチ程の長めのナイフが置かれた。

「ナイフにしてはちと長いがお姉ちゃん背が高いしな、これぐらいがちょうどいいだろ、太もももそれなりに太いしよ」

 太ももの事を言われバッと両手でその魅力的な長い脚を隠すレイル、あ、一応人目は気にしてたんだ。

「ガハハハ、そんな目で見てねぇーよ。お姉ちゃんどっちかと言うと中衛よりの前衛だろ?いざと言う時は頼りになると思うぜ、太ももに鞘をつけるベルトがあるんだけどよ、細いとずり落ちるからよ」

 さすが、武器屋の人は見る目が凄いな。確かにレイルは魔法を使った中衛だが俺より近接戦闘は得意なので前衛に出たりもする。護身用にちょうどいいし、近接戦闘にも役立ちそうだ。

「持ってみてもいいですか?」

「ああ、いいぜ」

 腕を組んでニンマリしている店主、恐る恐るレイルがそのナイフを持つとふぁー、と風が吹いた気がした。

「そのナイフに選ばれたな、持った感じどうだい?」

 選ばれた?ナイフに?

「なんか、とってもしっくり来ます、手に馴染む感じがして」

「そのナイフは芯に魔鉱石が使われててよ、人を選ぶんだが相性が良かったみたいだな」

 クルクルとペン回しみたいに手の中でナイフをすごい速さで回すレイル、そんなにすぐ馴染むもの?確かに手に吸い付いて離れない感じが見ててもするけど。

「で、兄ちゃんはなにか要らないのかい?」

「俺は特に、アタッカーじゃないんで」

 俺は後衛の魔法使いだ、前衛は間に合ってるし、攻撃魔法で近接攻撃は間に合ってるし、それに剣って高そうだから今はいらないかな。

「そうか?ちょっと手を見せてみろ」

「あ、はい」

 商売根性に火がついたのか、それとも買うまで返して貰えないのか、その鍛治仕事の影響かゴツゴツの手で俺の豆だらけの手を数秒触るとまた別の部屋に行ってしまった。

 五分後。

「こういうの好きだろ」

「!!!!」

 好き好き大好き!カウンターに置かれたその剣は厨二病心を擽る刃渡り約120センチのロングソードで、鐔の少し上が稲妻のように折れ曲がっていて、両刃剣ではあるが日本刀のようにやや反りがついていた。

「なんで魔法使いなのに剣の練習してるんだ?お前の手は短時間で剣を何千回と振ってきた手だ、守りたい人でもできたのか?」

 ニヤ〜とレイルを見たあとに俺を見る勘が鋭い店主、間違いじゃないので「まあ」と頭を搔いていると。

「雷魔法が得意だろ、雷に撃たれた魔鉱石を使ってるから相性もいいと思うぜ、持ってみろ」

 なんでわかるのかわからないが言われるがまま持ってみるとずっしりと重いが、なぜか手に吸い付くようにスっと上がり、レイルの時とは比べ物にならないちょっと強い風が俺の周りを渦巻いた。

「な、いいだろ?今ならお姉ちゃんのナイフと鞘のセットで八千ギルでどうだ?」

 まあまあするな、でもな日本刀とか百万円ぐらいするのもざらだし安いっちゃ安いのか?せっかくだしなー、まだ家計に余裕はあるし買ってみても、いやいや、そんなに剣を使うかぁ?レイルのは買うのは確定してるとはいえ。

 ん〜。

「なんなら試し斬りしてみるか?」

「はい」

 即答である。

 奥にある少し広い部屋に連れていかれ、麻のシートを巻き付けた棒が三本上から見ると三角形の頂点に据え付けられていた。

「その剣は普通の両刃剣の使い方じゃ切れねぇからな、叩き切るんじゃなくて引いて切れよ」

「わかりました」

 叩き切れるほど重くないしそれはなんとなくわかった、とりあえず構え方は、腰をやや下げて右肘を上げて剣を地面と平行に持ち上げ、目線は刃と一直線にする。

 敵の反撃を気にしなくていい、とにかくちゃんと切ることに集中してと。

雷刹(フルミナス)

 全身にバチバチと雷を纏った瞬間高速移動、文字通り目にも止まらぬ早さで斬撃を行いコンマ数秒で元々立っていた位置に戻ると、斬撃を入れた麻を巻いた棒が斜めに線が入りそれぞれが地面に転がった。

「買います」

「お、おぉ、だろうな」

 まさかこんな感じになると思ってはいなかったのか、店主は若干引いていたように見えたが無事お買い上げ、初回研ぎ直し無料券までくれた。

 いやー、衝動買いににも程がある。が、しかし、剣を背中に背負って歩いているとザ・冒険者な感じがして男の子心をくすぐりテンションが上がる。

「ありがとうございます!」

 レイルはナイフを腰に据え付けルンルン。

「一生大切にします!」

「いや、刃物って一生使えないと思うよ?」

「『一生』大切にします!」

「そ、そう?ありがとう」

「えへへへ」

 現実的なことを言うと凄い圧をかけられたが、ニヤニヤしていてすごく可愛い、これって指輪とか渡したら昇天するんじゃないか?渡してみたい気もするがまだ早い。

 そして次は防具屋、数件隣にあってすぐ着いたが服屋も併設してあってメンズからレディース、レイルに似合いそうな服がいっぱいあった。

「さすが首都、種類めちゃくちゃあるな」

「これは迷いますねぇ」

 しかも中に入るとめちゃくちゃ広い、魔法のローブだけでも百着ぐらいありそうだ。


   ※


 レイジは楽しそうにローブを物色している。前の街では数着しかなかったし、付随効果のあるローブも無かったからそりゃ仕方ない。

 今は黒一色のローブを着ているので、色んな柄のものがあって楽しいのは十分にわかる。

「これとかどうかな?」

「いいと思いますよ!」

「こっちは!?」

「似合ってます!」

「全肯定されると決められないんだけど?」

「似合ってるものは似合ってます!」

 事実似合っているしこっちも決められない。

「性能でとりあえず決めてみたらどうですか?」

「あー、そうだね!」

 私の進言も嫌な顔せず全部聞いてくれる彼、転生者にとって精霊はランダムだが、精霊にとっても転生者はランダム。私はまだ精霊としては若いから昔のことはあまり知らないけど、良くない噂もたまに聞いていた。しかし、この人は人がよすぎる、だから時々目面倒事に巻き込まれているけれど。

 私はそんなレイジの事が大好きだ。

「これとかどうかな?物理防御と身体強化もついてるんだけど」

 悪くは無いと思うけど派手さにかける、レイジはもっと目立っていい、というか目立った方がいい。

「こっちの方がいいんじゃないですかね」

 稲妻を彷彿させる青白い色を基調としたローブで、所々にある青と黄色の線が栄え、性能的には自動簡易魔法障壁、魔法攻撃力増加+5%、と少し値段は張るが防御を蔑ろにしがちな彼にはちょうどいいと思う。

「白かぁ、派手じゃない?」

「これぐらいがちょうどいいです!クエストによって着替えるのもありですし」

「それもそうか、じゃー、これにするよ」

「はい!」

 にっこりと笑うと彼も同じように笑って返してくれる。

 そして、ついでに靴や手袋などの小物を買い揃え。


「稲妻のローブ」自動簡易魔法障壁、魔法攻撃力増加+5%

「黒い革手袋」魔法発動速度-15%

「黒皮のハイブーツ」移動制御、疲労軽減


 以上計1200ギル。

 全然買える値段でよかった。


 そして次に彼は私の装備を考えてくれた。自分の装備より悩むので、結構時間がかかってしまったがなんでもいいなんて私の口が裂けても言えなかった。

 せっかく私のために選んでくれてるのだから。

「これとかどうかな?」

 店員さんと一緒に悩んで決めてくれたレイジ。

「彼女さんにも良くお似合いだと思いますよ」

「ですかねぇ?」

 店員のお世辞に頬を緩ます彼は彼女という言葉を全く否定しなかった、こういうのは大概彼女じゃないですよ!とか言いそうなものなのに。これって、私は彼女ってことでいいのかな?色々考えて頬を赤らめていると。

「試着してみたら?」

「え、あ!はい!」

 私は彼が選んでくれた衣装と装備を受けとり、試着室に逃げ込んだ。

 試着室でワタワタと着替える私、衣装を確認すると、白色の革のショートジャケットに、濃い青色が映える少しスリットの入った膝上丈のドレス、黒のロングブーツに黒のニーハイソックス。

 レイジ絶対脚フェチでしょと少し笑ってしまったが、せっかく彼が選んでくれたものだ、すぐに着替えて待ってくれている彼にお披露目する。

「どうですかね?」

 カーテンを開けて彼の顔色を伺うと、何故か照れていた。

「うん、可愛いよ、気になるところはない?」

「はい、特段動きにくくもないですし、隠れるところは隠れてるので人目もあまり気にしなくて良さそうですね」

 前のドレスは性能で買ったのでやや露出が多くちょっと人目が気になっていたのだけれど、今回のは太ももがちょっとスリットで見えるぐらいで胸元もジャケットで隠せるので動きにくさもないしこっちの方が断然かっこよかった。

「これにします!」

「うん、じゃあこれもお願いします」

「ありがとうございます、セットでお安くしておきますね」


「加護のジャケット」非魔法攻撃軽減10%

「魔法のドレス」MP消費量-10%

「黒革のロングブーツ」移動速度上昇、耐滑、疲労軽減

「ニーハイソックス」普通の丈夫な靴下、むくみ防止


 以上の計1500ギル。

 割り引いて全てで2500ギルの買い物となった。

 思ったより安くすんでよかった。

 私たちは買ったものをその場で着て店を出て、着ていたものは私のスキルの空間保管に保管した。


『ステータス』

「レイジ・アンサラー」

 Lv.50

 HP450/450

 MP800/800+20

『装備補正』

「稲妻のローブ」自動簡易魔法障壁、魔法攻撃力増加+5%

「黒い革手袋」魔法発動速度-15%

「黒皮のハイブーツ」移動制御、疲労軽減

「魔力の腕輪」MP最大値+20

「生命の指輪」HP自然回復量+1

『スキル』

 ソーサラーⅢ

 ガンナーⅡ

 マルチスキルⅤ

 自然治癒Ⅱ

 信頼Ⅲ

 精霊の加護Ⅱ


『レイル』

 Lv.??

 HP???

 MP???+20

『装備補正』 

「加護のジャケット」魔法攻撃軽減10%

「魔法のドレス」MP消費量-10%

「黒革のロングブーツ」移動速度上昇、対滑耐性、疲労軽減

「魔力の腕輪」MP最大値+20  

『スキル』

 精霊Ⅱ

 精霊交話

 水魔法特化

 マルチ補助魔法

 浄化魔法

 空間保管

 

 

 

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