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SPACE PEACS  作者: 夢之ゆめぜっと
ティモー&ジルエバング
40/42

039 衝突と遭遇 改稿前

 また巨波が押し寄せた。

 巨波は惑星を巨大に支配し、すべてを包み、それはすべてだった。

 うねり、轟き、美しく連動して……


 激しいその惑星全体の運動の表面に、ソイツは浮かんでいる……


 はぐれた同胞はもう姿を見ない。

 ソイツはひとりのままだった。

 機械生命体。

 激しい、液体メタンに漲ったそれは嵐である巨波で、常にダイナミックに変容を続けている…

 その表面をぷかぷかと浮かびながら、あり得ない速度とアクロバットを

見せながら、ソイツは果のない旅を続けている。


 ティモー、ティモー、ティモー…


 ソイツの名を、繰り返す…

 しかし巨波の激しい音響はソイツの鳴き声を打ち消すばかりである。


 また。

 波がまるで大陸のように押し寄せる…

 激突!

 スパークして高い隆起のごとく一瞬の山脈を形成しすぐに果ててゆく…

 

 雷鳴!

 そして雨……


 荒波のメタンの化け物の肌へ、突き刺さる…

 それは短かい雨だったが、永い永い一瞬であったのだ。

 危機!

 球体である機械生命体、ティモーのその、プロテクターである透明なドームへ向けて、暴力的に降り注いだのは…鉱石の豪雨だった!

 

KAAANN!


 プロテクターを撃つ。

 

 

KAAANN!KAAANN!


「ま…まずい……」


 突き刺さる雨に、生命の危機を感じている…

 内部の精密機械は、振動や衝撃には強かった。

 しかし、プロテクターに風穴が生じ、メタンの海水が侵入してしまえば、直ぐ様内部は異物の液に満たされて、海底へと沈み込むのは目に見てていた……


 しかし!


KAAANN!pusyuuuuu!

 

 一撃!


 同時に雨は静まった。

 

 波もまた、珍しく穏やかである…

 ふらりふらり…

 器用というか…不器用というべきか。

 珍妙な足どりで、ティモーは穴の空いた位置を上空へとキープしたまま、運良くなだらかに収まってくれているメタンの平原をふらふらとひた走ってした……


 遠くにまた、巨波の気配が生じている、それはだんだんと、否、凄まじいスピードで近づいてくるのが見て取れた……


GAAAAOOOOOOO……


 絶叫の巨大怪物の襲来…

 

「ああ…おわりだ……」


 ヒュ~~~…

 ぷちゃっ!


「???」


 粘着物はティモーの風穴を覆った!

 それはピッタリと、しかしイビツな痕になって…

 

GAAAAAAAAAAAAAA……


 ポーンと弾き飛ばされて…ティモーの球体は再びメタンの液状の地面に投げ撃たれた!

 ポーン…ポーン…

 バウンドし即ち巨波にさらわれて……


 それでも、ティモーは幸運にも、沈むことはなかった!


「う~ん…急死に一生を得たようだな…」


 バサッ!


 ティモーを救ったイビツな粘着物の痕に、カギ爪が刺さる。


「ん?お前は何者だ?」


「……」


 鳥類だった。

 

(?この世界に、こんな生物がいたのか??)


「オイ貴様」


「な…なんだよ!」


「フン!クチバシで啄いてやろうかな?お前のその薄ぺらい皮膚くらいなら穿つことだて簡単だぜ?」


「暴力的な言い草だ!そんなクチバシくらいでボクのプロテクターは破れるもんか!」


「ふん!あの程度の雨にヤラレちまったのにか?」


「畜生!結構な衝撃だったんだぞ!」


「ふん、俺はその雨を、このクチバシで啄き返して砕いちまったぜ……」


「まさか?」


「おい」


「…なんだよ!」


「テメエは救われたのさ…」


「なにがだよ?」


「テメエは沈まなかった」


「そうさ、神が救ってくれたのだ」


「へえ、それは結構だな。言っておくが感謝したほうがいいぜ」


「言われなくたって感謝するさ」


「いい心がけだ」


「ウルサイ野郎だな」


「ほざいてな!ソイツは俺の糞だ」


「ん?なにが…?」


「とぼけてるんじゃねえ、わかっているくせに。テメエの、その薄っぺらいプロテクターとやらを塞いでくれてのが俺様の糞だってんだ」


「おえ!キタネエ」


「コイツは感謝の足りない野郎だぜ!これより以降は、テメエの神とやらは俺の糞さ。俺は神だ、俺は神を排泄する…」


「ク、クソ!」


「そうさ、『オー、シット!』」


「……」


「感謝しな、それでさ、見返りが欲しいんだが」


「…露骨な神奴っ」


「ああ、そのとおり。テメエの生命を救ってやったんだ、要求は飲んでもらうぞ!」


「…しょうがない、で、一体どういった要求なんだ?」


「……」


 口数の多かったソイツが急に黙り込み時は過ぎた。

 再び巨波が…


GAAAAAAAAAAAAAA……


 ポーーンン……

 器用な鳥類だ!

 投げ飛ばされたティモーにしがみついてソイツは空中で口を開いた。


「俺の名はジルエバング。どうやら仲間にはぐれちまって…テメエはいろんな機能を搭載しているようじゃないか…それで、俺の仲間を探すのを協力してくれよ……」


(コイツ、ボクと同じ境遇じゃないか…)

 ティモーはそう感じていた……

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