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SPACE PEACS  作者: 夢之ゆめぜっと
ドット文明者
38/42

037 石畳の王国 改稿前

 ドット。

 彼らは彼らにおけるその最小単位をそう呼んでいた。

 彼らは世界を顕微鏡によってその、かなり微小なレベルにまで覗き込むことができる程の、そういった高度な科学技術を生み出した文明にあった。

 

 ドットは彼らの起源でありまた、永遠の謎でもあった。

 

 彼らは知性をもった生命の群れであるが、同じドットに由来するという意味においては、彼ら以外の知性の低い下等生物と同じであるとも言える。

 

 ドットとはつまり細胞のようなものであり、もっと厳密に言えば、唯一とされる原子のようなものであった。


 つまり、すべての生命がその起源に遡って見るならばそれは、ことごとくドット、というたった一存在の解答のみへと帰還するのである。

 

 ただし、それが一般的な原子と違っているのは、ひとつの原子のようなものに対し、総じて均一である構成に比べて、並外れた幅を持っている、ということである。


 もっと平たく言えば、ひとつの型があるとするなら、世界の極小から、世界の最大単位にかけて、隈なくコピーされ広がった世界であり、それは拡大されまたは縮小されて存在しているのだった。


 

 それにしても、顕微鏡が開発されて、彼ら自身の肉体をその千里眼にくぐらせ潜望していったとき、そこへ広がった情景は、その第一発見者の言葉を失わせたに違いない。


 それは…石畳の王国……


 彼らのフォルムはもっと生物的であり、オーソドックスな風貌をしている。

 決してプラスティックな生命体とばかりは言えなかった。

 ただやはり、この宇宙存在の平均というか、一般的な指標からすれば、特に、精神においては、獰猛かつ野性味に自ずと溢れずにはいられなくなるその本能に充満した、生命体からはずれているのかもしれない……


 彼らは、殺生に依存せざるを得ない生命力と一線を画する。

 ひとつの、わかりやすく言えば太陽という一区画の代表があって、そこへと幾筋かの生命が誕生し、そこから闘争が産まれ、物語が生まれ、枝分かれしていく…というようなそういった星と生命の歴史のあり方とは違った存在形式であった。


 そこに知性体と呼ばれるものがいた。

 われらが宇宙に広がった様々な知性体において、ある方面で振り切った存在であることは間違いない。


 彼らは生命であり、やはり鉱物のようでもあった。

 そういった存在なのであった。


 ドットは発光する。

 それは視界を形成する。

 

 その星に、その世界には、太陽がない。

 正確には、彼らは星にあるのかどうか、それはわかっていない。

 それは彼ら自身も認識してはいないのではないか?

 彼らの高度な科学技術に対して、彼らに根付いた世界への理解や、思想は、下手をすれば宇宙にありながらも、脱宇宙的であるのかもしれない。


 謎。


 それは星に入れ子に内在している閉ざされた世界かもしれないし、或いは、このSPACEの常識からすれば異端な、王道とされるパターンからはズレた、辺境の星の、一形式なのかもしれなかった。


 

 ともかく彼らの存在論において、由来する場所は太陽の光ではなく、彼らの内側や世界に広がった、ドットの放つ光にあった。


 彼らの光と闇は、それぞれの生まれたタイミングによって様々で、しかしそれが発動された暁には、その絶命までひとつのサイクルに支配され続けなくてはならない。


 それが、世界にバラバラに散らばって見事なバランスを自然形成しながら世界は成り立っている。

 それは大小てんでバラバラに組み合わされながらも、ひとつの美しい秩序を構成する、歯車みたいにサイクルした。


 彼らにとっての一日、とは、彼らのサイクルつまり、発光している昼と、発光をしていない夜、この二つを足したものである。

 

 彼らは、なぜが皮膚に遮断されることによって内側の発光を漏らすことはない。


 これが、生命と、鉱物とを分かつ基準となっている。


 生命であれ鉱物であれ、ドットとドットの連携は、隣りあったそのドットとドットとの癒着に始まっていくが、生命の場合、その境界に伸縮性と光の遮断性があるのに対し、鉱物は、硬質で光の浸透性が高い。


 彼らは彼らの歴史や哲学とは、すなわちドットである、ということに結論づいている。

 しかしそれは、果のない謎、であることの宣言でもあった。

 彼らは余念がない……


 内側へと向かって…

 彼らのドットへの冒険は永遠の物語なのであった。


 

 さて。

 先程少しだけ触れた、彼ら世界の最大単位とは、長さ3m幅1m50cm厚さ1mである。

 

 これが、驚くべきことに、たったひとつの原子、と呼ばれるものである。


 これは、地中深くを掘り進み、ゼロ地点と呼ばれる場所に一律で並んでいる…


 今のところ、彼らの技術ではこの発見が世界における最大単位である。


 しかし、もっともっと奥深く地中を掘っていくのならば更なる最大単位が眠っているのかもしれないし、それが桁違いに巨大かもしれなかった。


 

 彼らの基本単位もある。

 それは、その世界の情景に対面するのならば、ひと目で直覚するだろう。

 永遠に広がっているような…ドット……


 長さ30cm幅15cm厚さ10cm…


 この、ドットと呼ばれる物の、もっともオーソドックスな大きさである鉱物。

 それが広がり、重ね上げられ…


 ドット世界の基本単位であるそのレンガ状の鉱物…

 その知性体に…あるいは自然に…

 平野部や山部をカタチづくって、世界は、文明は広がっていた…  

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