034 緑麦色した藁人形 改稿前
存在どもの集まる場所であるのなら、どこにでもありえそうな、そんな酒場だった。
存在者たちは意気揚々と分厚いジョッキをぶつけたり交わしたりしながら、目を離した隙にはもう空にして飲み干していた。
存在のいちいちは示し合わしたように、その泡と匂いと苦味と発泡する液体とを、神の宴や祭壇と同等に祭り上げて、精神を高次世界へと誘いゆく別次元への切符だと言わんばかりであったのだ。
そして誰しもが、味わい尽くすのだった!
ただ…その麦酒がほかと違ってずっと独立した存在でい続けていられることは、圧倒的な生まれの違いを誇っていたからだろう。
その、真緑色をした麦酒の原料は、いかにも緑麦に生育する緑虫の幼虫である刺毒虫であったし、加えて緑麦の若葉を煮詰めて作られていく、ミドホップンアロマエッセンスなのだった。
いずれにせよ緑麦なくして、この酒場はなかった、この酒場なくして文明はなく、文明がなくなれば、存在者たちは消えてゆく…そういう仕組みであった。
つまり、この星においては、緑麦こそがすべてのご本尊であってすべてのルーツ!
ゆえに、この星における3年前に突然復活したドッケナ火山のマグマ溜まりに、緑人は遺棄されて断末魔が絶える夜はない。
第一緑人かて、もともとは呪術においてのみ役立つとされている緑麦の細くよれよれとしたフォルムに反して粘りと強靭な繊維質を鎧に纏って宇宙へと伸びていくクレイジーアーティストの化身として捻じくれ捻くれしてる暴力変態主義者の生まれ変わりであったが、生まれ変わり方はいたってオールオッケーだったのである。
難しくしているが、実際にはとんでもない新記録を叩きだして立派なほどに…ぎゃん!
その藁と根を使って編み上げたのはよれんよれんの冬虫夏草だ、存在者はもうひとつの存在者へ向けて、怒りを鎮める前に、部族を鎮めなくてはならなくなっていた。
それなら…と、物陰に潜んでいるその蜥蜴を射抜くのは俺だ俺だと弓引く手には固い血豆ができていた。
鎧の谷を掻い潜り、黄金の矢は縦に華麗に波打って、それはまるで金属に命を宿した龍として舞っていて、それは運命のつきひか、王水をかけてみても溶けず、向きに成り過ぎて結局は、隅に捨ててあった黒苦い感情の独占取材をそれはいつだって必要としていない…か?
ブランドは緑だ!
苦い味、それを百倍にも煮詰めて、すべての存在者たちは、果敢に一リットルの早飲みにすべてを費やしている!
息を止めてでも飲みたい!
一気に集合するはあの日欠落した恋情…
よって皆の意識は高まって…
「一気、一気、一気、一気…」
酒場は怒鳴る。
はちゃめちゃに存在は混濁され、浪漫の代わりに干からびた人形を漬けた!
人形は水分質を吸い上げて、内部からは窒息の吐息が零れ落ちていく。
黄金は泡を噴き!
緑水は常温で煮え滾る。
イカズチ!!!
変電圧は容赦なく、窓ガラスには誕生の震えを刻んで精は支配した。
巨大な樹が裂かれる!
中央から、左右に断ち切られて……
コールは止めない。
狂熱は知性を追いやって死に急ぎのドラムロールだけが地面を這いつくした。
「それならばちゃんと数えてみてください!!!」
帽子はマグカップを逆さにしたようで異様であった。
反証のないような状況は、突然闇に!
異常を伝えゆく歩兵は余りに背丈が低すぎる。
普段の日常では意識されない世界。
その日以来かえってこれなくなるようだし、過ぎたことは控えた方がいい。
実力者は紙切れのサイズが特権的に大きくても良かった。
袋をつけてあげるのが常識だという感覚だが。
考える間もなく麦酒!
汗と冷気と煙の淡い夜。モルモルしてきたようだ。
そんな、基本はこうしてやれ!
一口も飲まないうちから、緑汁飛び出して、
ガコーーン
と睨みを効かされる、あ~あ…っこんなはずじゃなかったのにい!!!
ジョッキが鳴っている。
いずれにせよ、夢は唐突に!
光を遮断するというのか…?
笑わしておくれ!
夢にまで見た、この世界…
存在者たちは乾杯の号令に響かせて!
興悦とは銅厳の頂!
溢れ出す華やかさに一挙、とアトランダムは脱ぎ捨てて。
新聞紙をツギハギに纏った運転手は街道を歩き疲れて肩を落とすが肩は張っているばかりで。
よちよち…よちよち…
イメージはまろやかさと、甘さと、優雅なる稜線を描いた飛行実験の経路。
鼻眼鏡をした禿鷹のトピック!
後ろ手を組まれて、はためくのは宇宙よりの通信。
ノイズが急かす!
慌てて距離を稼ぐ…
夢、隣の、歴史の咀嚼を……
踏み潰すのは……
!
Barararararararararararararararann!
Barararararararararararararararann!
Barararararararararararararararann!
Barararararararararararararararann!
Bararararararararararararararararann!
(酒場は機関銃の銃弾に洗われ、ガラスの破片や粉々に散る鉱物と飛び出す血液!)
Bararararararararararararararararann!
(客たちは狂熱を忘れて、バンザイのカタチで血に濡れ乍ら天井を見詰めていた!)
Bararararararararararararararararann!
(ウエイターは丸盆を担ぎ思考停止がすべて、宇宙、物体に変え、緊張と半笑い!)
Bararararararararararararararararann!
(雨がこの店の屋根を敲く、アトランダムな気配が闇を眼前の黒い霧へと変えて!)




