021 ロードムービー 改稿前
僅か4メーターの鍵盤で夢は紡がれる…
やはり辺境の惑星ゴラズに流れ着いたという量子オルガンの一部を3公年掛かって組み替えた。
今や彼の鳴らすコードは宇宙に絶対的な扇動を期待を賛同を巻き起こして…それはひとことで宇宙に隠された神秘、宇宙のあらゆる奇跡と現象のダイナモ、宇宙ニューロンのスクープに繋がった。
そして果てには『知覚の門』となって響き渡った!
バンドマン、ガレスピー・ナイルド…彼のアイデンティティ且つ武器、その変則量子オルガンを改造しオートバイとて跨って…
それがとことん彼の宇宙の日常。
宇宙の放浪の旅。
彼の人生がいわゆるロードムービーであった。
しかも…スピースオペラという名の楽曲…物語…
バイクはきまって辺境のボロスタンドに立ち寄ってその映画は始まる。
ガソリンタンクを思いっきり蹴り上げる…
「ちっ」
(出やしねえ…)
カーーーーン
食べかすのこびりついた放置されて久しい保存食用の缶が・ナイルドの寸前で跳ねた!
危機一髪。
加速を振り切った資源ゴミは凶器、ガレスピーの民芸的な装飾ブーツを掠め…乾いた地面がダイナミックに裂かれた!
その大地の傷跡は…あたかも地平線まで届いたかのよう…
凄まじい砲弾の回避…
己の運を感謝する!
一瞥…まだ景色には誰も映らない…
「どこのもんだ!死にたいのなら名乗らずともいいが」
「いかにも、俺の名はガレスピー・ナイルド、変則バンドマンだ」
「…」
声は少し迷ったがその謎の肩書きをスルーした、そして声は顕れた。
「死にたくはなかったようだな…どうやら…というのもな、この大田舎には、死にたがりがうじゃうじゃいて辟易ばかりしているのさ。テメエはむしろ外れもんさ……」
・・・・・・
おんぼろの小屋…ここだけはお行儀のよい作法があるようで…
スタンドの主は皮肉を言い忘れるくらいだった。
興味に駆られそれに取り憑かれた結果であった。
主の人生で初めての経験だった。
ギャシュウウウ…主のあたまが吹き飛んでいた!
ガレスピーは危険を察知したがゆえの決断。
勘は当たっていた!
一目散に逃げ出した!
たったったった…
ブルルウンルウルッル…
「またあとで…バイオレンスの巣窟…」
血みどろになっていた…
特に赤とドス黒が粘りつくように景色を
覆い被せている…
そして手際よく店内の品を…関係ない行きずりの会話相手へとあろうことか渡してしまった代々伝わる呪いと幸運の道しるべ、その破れかぶれの、しかし素材と装飾技法その他さまざまな骨董価値を備えた…ポンチョ以外の全てを奪われてしまって……
逃げる道すがらまずは小さな部屋にひっくり返された…地獄絵図と断末魔のペンキ…その抜け殻を建物の外より一瞥した…想像するよりほかに知る手立てのない哀れな惨劇。
そして安全圏に彼は逃げおおせていた……
なぜオーナーはこの大事な品を俺にくれたんだろう…
そうして俺ひとりが生きているのだろう…
ブスススススススス……
ちっ…
燃料切れ!!
(…こうなったら…)
ガレスピー・ナイルドは損得の満ち引き、その変遷の検討の末長らく封印していた「量子オルガン」を解放し…
鍵盤に手を触れた……
荘厳な音…鳴り響く暗号……
目の前の…広がる宇宙の日常を…
この惑星の叙情を……
大きく…大きく…
…斜めに切り拓いて…
溢れ出す量子のジュースを一身に浴び、我が武器に浴びせ……
・・・・・・
宇宙は…久しぶりに撹乱されていく…
顕になった宇宙ニューロンの森……
森の中へ…
森の中へ…
どこかわからない…
宇宙の知覚の結晶のどこかへ……
!
…その道端へ伏したガレスピー・ナイルド…
?
(…俺の名は…ガレスピー・ナイルド…職業…何らかのバンドマン……それ以外に…記憶の一切は無い…)
命懸けで発動し…命だけは救い出した……
が、記憶の消去。
発動の賽は凶と出た……




