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「それではそろそろ、次の練習をしましょうか」
召喚の練習といちゃつきがひと段落したところで、夕日を背にした白雪が声を上げた。
女装たちといえば、満足げな顔をして二丁目へと帰っていった。
「次は何をすればいいかな」
公園の中心で見るも無残な姿になった銀次から目をそらしつつ、白雪に問いかけた。
「そうですね。次は聖武器の適正を自覚して顕著に、より強化する練習をしましょう」
曰く、適性を自覚すれば聖武器はより強力になるそうだ。
白雪の聖武器は初めのころこそ、それほど大きくなかったそうだが、自分の適正を自覚してからは、より強力なものへと昇華されたのだという。
「まずは、聖夜さんの適正を知るところから初めましょう。適正になにか心当たりはないですか」
僕は腕を組み、しばらく考えてみた。聖武器の適正とは、つまり息子の特徴に他ならない。銀次の息子を銭湯で見た時、それがはっきりと分かった。
やつの息子は、それはもう長いのである。
レジェンド伊藤翼は射撃のコントロール、つまり息子から好きなタイミングで発射することができるという適正を持っているのだろう。数多のビデオを見てきたが、彼ほど的確なタイミングで出す男優はいなかった。だから間違いない。
見ていないが白雪は大砲ということを鑑みるに巨根……あまり考えないようにしよう。
それらを踏まえた上で、僕の適正とは一体何なのか。
「さっぱりわからない」
出した答えは不明というものだった。
「確かにわいも銭湯行ったとき見たけど、聖夜のは短いし被ってるしで、これといった特徴がなかったで」
「傷つくので、それ以上は言わないで……」
僕が思考にふけっている間に復活した銀次が、僕と息子を深く傷つけた。
「わ、私はそれもまた可愛くていいと思いますよ!」
白雪のフォローに、息子は今にも泣きだしそうだった。
ついには三人の聖武器も呼び出して、皆でああでもないこうでもないと議論を交わした。
しばらく話し合っていると、エクスカリバーさんが何か思い出したように、大きく口を開いた。
「……そういえば我が主と前に戦った男が、主のことをダイヤモンドだとか言っていなかったか」
そういえばそんなことを言われていた。
「ダイヤモンドってことは、めっちゃ光り輝いてるってことか」
「僕の息子は光りません!」
銀次が見当違いのことを言いだしたので、全力で否定しておく。
「私はたとえ光り輝いていたとしても、受け入れる所存ですよ!」
白雪のフォローなのかどうか、もうよくわからない所存を聞き流し、考えてみる。ダイヤモンドから連想されること、輝きそして硬さ。
「もしかして、僕の息子はダイヤモンド並みに硬いんじゃ」
勿論糖度も硬度も測定したことはないが、硬さには並ならぬ自信が確かにあった。毎日欠かさずチントレ、主にチン立て伏せをしていることが、自信へとつながったのかも知れない。
「それや! 聖夜の息子は見た目ではわからへんかったけど、きっとめっちゃ硬いんや! 決定や!」
「間違いないね。確かに言われてみれば結構硬い気がするよ。そうとわかれば早速試してみよう。白雪ちゃん、閣下で僕を撃ってみて」
自信に満ち満ちている僕たちと違って、白雪は心配そうな表情を見せた。
「大丈夫ですか。ケガとかしないですか」
「大丈夫。息子の長所を理解した。今のエクスカリバーさんなら砲弾でも真正面から受け止めて、砕ける気がするよ」
なんて言ってもダイヤモンド。砲弾には負ける気がしない。
「そうですか。では、遠慮なく撃ちますね。三、二、一……えい!」
大砲から放たれ僕にまっすぐ飛んでくる砲弾に向かって、エクスカリバーさんを叩きつける。
つい反射的に目を瞑ってしまったが、剣と弾とがぶつかり、砕けた手ごたえをしかりと感じた。
間違いない、僕の息子の適正はダイヤモンド並みに硬いことだろう。
「どうだった? すごかったでしょ。砲弾すら砕けるほどの適正を持っていたなんて、我ながら罪な息子だよ」
「聖夜、落ち着いて聞いてな」
「ん?」
興奮する僕と正反対な、暗い顔をした銀次が足取り重く近づいてきた。一体どうしたのか。白雪に至っては青ざめてしまっている。
「聖夜。ゆっくり落ち着いて、手元の剣を見てみい」
銀次が何を伝えたいのか分からないが、言われた通り手元に視線を移した。
「ってなんじゃこりゃあああ」
白雪が青ざめていた理由が分かった。エクスカリバーさんは、木っ端みじんに砕け散ってしまっていたのだ。
瞬間剣だったものが消え、股間に激痛が走り、僕は意識を手放した。




