声援と共に去ったもの
ステージから降りて、今日で丸三カ月は経ったんだな。
みんなの声援が今でも耳にこびりついている。そんな私は、寝ることさえ妨げる夜が来る運命を一ページ、一ページと、ひたすらに捲らないとならないんだな。
そんなこんなで、なんで辞めたんだろうな。と、まるで他人事のように呟く毎日だ。
……。
こんな生活は嫌だ。
御免こうむる。
だが、差し当たっての今現在の最大の謎はこの街だった。
確か、記憶が定かではないが、廃駅から電車に乗ってしまったのだ。
これで少しは寝れるだろうと、静かな場所を探しての真夜中の彷徨える旅で、何を世迷言をほざいたかというと「あの世は静かでいいだろうな」だった。
そして、廃駅が傍にあったので、そこで電車へ乗ってみた。
結果は、ここだ。
この街には、音すらない。
……ふふふふふ。
なんとも、ベリー・グッドな街ではないか?
ふふふふふ。
と、昨日までは思えたのだが……。
「ふふふっ、食い物がないではないか!! ……眠れん!!」
とあるアイドルグループのセンターやっていたから、先頭に立っていたせいで大抵の受難や例え迫撃砲で撃たれたとしても、耐えれるようになっていた??
だが、食い物がないのは別だーーー!!
森閑駅から出た先で、ロータリーにあるベンチで寝床を作ったのはいいが、これでは幸運だか不幸だかがごっちゃになるというものだ。
「そういえば、朝から何も食っとらん……死ぬ……」
空腹に耐えられず、腹の虫が地の底から悲鳴を上げだした。
「鴻野さーん! 如月さーん! 待ってください!!」
うん? 人がいた!!
女性の声がした。
こっちに走って来る音を聞くと。
あっちか。
私は、ロータリーから階段を上がって、陸橋になっている駅方面へ向かう。
ちょうど、陸橋の反対側から男性と女性一人が走ってきた。
「やった!! ロータリーにタクシーがあるぞ!!」
「ああ、ほんとね! 良かったー!!」
走ってきた男性が、すぐ傍の陸橋の手摺り辺りで立ち止まる。次に私の姿を見て、驚いたようだ。
「わっ! 驚いた! 人がいるじゃないか! きっと、駅のロータリー側は、向こう側と色々と違うんだよ」
「あら? ほんと人がいるじゃない。ロータリー側って、調べてなかったけど、ひょっとしたら食べ物もあるかもね」




