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私の思いつきが、甚だ間違いであってほしい。
そう思って、いや、ガチで祈りながら、この街の喜田島工場へ行こうとみんなを誘おうとした。
だが、私の思いつきが正しかった場合……。それは、災厄となってこの街に鎮座するだろう。
喜田島工場には、奴がいる。 古代人は地震を「なゐふり」と呼んだ。喜田島工場には「ないの神」と呼ばれる神がいるのだ。「な」は大地や地の意味で、簡単にいうと、この街以外の世界では、今もどこかで大きな地震が起きているのだ。
昔、私が購読していた。ほんとか嘘かさっぱりわからぬ雑誌に載ってあった都市伝説の一つだ。
確か、その都市伝説の舞台となったのは他でもない……ここ森閑駅からでた街。森閑街だ。
ないの神の発する大地震は、大きな地鳴りがするものだ。その地鳴りがすると、この街のような無音な世界が空間の亀裂に生じるのであろう。
森閑街とは、そんな空間の亀裂に挟まった異次元の街なのだ。
無音の原因の神を鎮めれば、この街、空間の亀裂から抜け出せられるだろうとその都市伝説には書いてあった。
そうだ……。
だが……私が知っている話はそれだけじゃなかったのだ。
「みんな聞いてくれ……。ここから、北にいったところにあるとある工場へ行こう」
「へ? え? いいけど。そこには、食料とか水があるのか?」
鴻野が訝しんだ。
「ないんなら、行きたくないなあ。俺は明日も、あるいは、今日も仕事なんだよ」
鴻野が仕事があるからと、渋りだした。
他のサラ女たちも同様だ。




