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「あの。私、この街の音がしない理由がわかるんです。ええと、音は波っていうか、まんま波なんスよ。それが、ある音に対して干渉する位相というのがあって、その音に対して逆な音を出せれば音は原理的には消えるんですね。だから、どこかから、必ずあるここ森閑街で鳴っているはずの生活音が、それの逆位相音っていう音で、掻き消されているんです。逆位相音は、今でもどこかから大量に放射されているんだと思うんですよ」
そう、私の記憶が定かではないので、だいたいになってしまうのだが、雑誌に載っていた都市伝説にも書いてあった知識をみんなに教えた。
「それって、佐藤さんのいったマスキング現象とそっくりじゃないですか?」
「え、ええ。でも、ちょっとは違いますよ。如月さん……あの。あれは、ある音が別の音に隠されて聞こえにくくなるんです。マスキング現象っていうのは」
私は、みんなの前に仁王立ちした。
実は、私がアイドルグループのセンターをやっていた時は、重大な事はコレで話した。
「そうですね。マスキング現象というのは、逆位相音っていう音とは、ちょっとは違うと思いますよ。ええと、うむ……今も鳴っている。どこかから発生している逆位相音っていう音って、発生?放射?されているのは、他でもない……突っ立ってる場所だと思います。そうです、この地面なんです」
私は、ビシッとアスファルト舗装された地面を指差した。
「地鳴りなんです」
みんなの青くなっていく顔が、ここからではよく見えるのだ。
私は、フンっと鼻で得体の知れぬ恐怖、不安、を吹き飛ばして笑った。
「ええと、地鳴りがしているって? 別に揺れてもいないんだし、それって、きっと君の妄想だよね?」
むむむ?!
いきなり鴻野が、真横からもっともな意見を突っ込みやがった?!
「いや、今でも地震は起きているぞ。サイレント地震というやつだ……」
「サイレント地震?」
鴻野が小声をだして、上を向いたので、どうやらサイレント地震あたりを反芻したのだろう。
「ええ。そして、その大地震を発生させている【ないの神】という大地の神を鎮めるのだ。でないと……このアスファルト舗装された地面の遥か下にある断層が超加速する。加速してしまうと、大変だ。何故かって? 断層が加速する。すると……ここ東京で、超巨大地震が発生。と、でかでかと全世界のニュースで流れてしまうからだ」




