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普段あまり気温の変化は気にならないくらい、暑さや寒さを感じなかったのだが…この日に限っては肌寒さを感じる。
時間的には日の出。
莉衣奈たちは昨日椿芽たちが美月たちを見た場所まで来た。
当然ながら誰も居ない。
あったとされる門も無い。
「すぅー………わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁああぁぁあッッ!!!」
だから晴の叫びで無理矢理起こした。
「るっせーな!! 何時だと思ってんだ!!?」
サングラスの男が寝癖でボサボサ状態で一瞬で出現した門から出て来た。
「時間は分かりませんが、王都の皆んながまだ寝静まってますね」
莉衣奈はにこやかに答えた。
「ふわぁ〜あ……オメーらには常識がねぇのか」
男は大きなあくびをしながら「待ってろ」と言い残して戻って行こうと後ろを向いたその瞬間。
パァン!という破裂音が響いたと思うと、男は後ろ向きのまま片手で銃弾をキャッチした。
「焦るなよ、俺と闘るのはまだ先だ」
男は弾丸を握り潰すと、その辺に捨てて戻って行った。
「…………マジかよ」
遠方からの狙撃を受け止められた陽子は苦笑する。
その後、まだ眠そうなユメときちんと整えて来た美月と愛弓が出て来た。
「お久しぶりです。リーダー」
「うん、会えて嬉しいよ愛弓ちゃん。美月ちゃんとユメちゃんも」
「こんな大勢で来るとは思いませんでしたよ」
「せっかくだからね、皆んなで迎えに来たんだよ。帰ろう?」
「………一応言っておきますけど、私たちは敵です。魔王の手下だから」
愛弓は弓を構える。莉衣奈は微笑みを崩さない。
「どうやったら帰れる? 魔王を倒さないとダメかな?」
「…………その前に私たちですね、敵対する者を簡単に城の中に入れる訳には行かないです」
「そっか、じゃあ…なるべく痛くしないようにしないとね」
「あれ? 私舐められてます? リーダーが能力使えるようになる前から戦闘経験ありますからね」
「そんな前から! じゃあ、お手柔らかにね」
莉衣奈は剣を構える。
後方には10人以上のメンバーが黙って見ていた。
愛弓は上空に向けて矢を放つと、一本の矢が分裂して無数の矢となり雨のように降り注いで来たではないか。
リアがメンバーをドーム型のバリアーを張ると、椿芽が翼を広げて無数の羽で対抗する。
矢と羽が衝突し合い、破裂したようにボンボンと鳴り響く。
「おーやってんねー。ん?」
見物していたユメの元にヒメが近づいて来た。
「言いたい事は沢山ある、ユメ」
「あーあ、ここは遊び場じゃないんだよ、ヒメ?」
「大人しく負けを認めてくれれば終わる」
「……ご冗談を。ここに来ちまった以上、覚悟は出来てるんだよな?」
ヒメはユメにハンマーを振り下ろす。
そこに居たユメは動いていない。ハンマーは貫通して地面を凹ませた。
「どこ狙ってんだい? 私はここだよ」
ユメは10メートル程離れた位置に立っていた。
「久しぶり、美月」
「ヒビキちゃん」
「美月は戦わないの? どんな能力持ってるんだろ」
「私は非戦闘員だから、戦えないよ。だからヒビキちゃんもそんなに身構える必要無い」
「そうなんだ、うん…信じる。美月は嘘付かないもんね」
「本当に信じてる? 随分警戒してるけど」
「美月に対してじゃないよ、そこに潜んでいる男に対してだよ」
美月の後方からサングラスの男が現れた。
男は両手を上げながら言う。
「俺は何もしないぜ? お前が無抵抗の元仲間を攻撃してとしてもな」
「その″元”仲間ってのやめてもらえないかな? 私と美月は産まれた時から今まで、これからもずっと仲間で親友なのは変わらないんだから」
「おお怖、殺気が出まくってるぜ歌姫さん?」
「アンタは戦わないの? 4人で待ち構えてるんじゃないの?」
「今はその時じゃないんでね。楽しみに待ってろや」
そう言い残して、男は姿を消した。




