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8—6


 私が目を開けると見知らぬ場所に居た。


 青白い円形の光に囲まれて周囲の様子がわからない。それは私の両隣に居る2人も同じ様子だった。


 同じグループの先輩である清宮(きよみや)美月(みつき)先輩と後輩の手科(てじな)ユメだ。


 足元を見るとゲームとかで見る魔法陣のような模様が描かれていた。


 自分が今までどこに居たのか思い出せない。


 これは夢なのか、ドラマの撮影か何かかドッキリだろうか…?


 やがて光が収まると前方に人影が3つあるのがわかった。


 この空間が薄暗いせいで顔がよく見えない。


「今度は成功しましたね、魔王様」


「ったく、1人目が失敗だっただけに3人同時召喚成功は良かったじゃねーですかい」



 落ち着いた男の声と荒っぽい感じの喋り方をする男の声がする。


 魔王様……やはりこれは何かの撮影か、舞台か。


 しかし記憶にないな。ファンタジー系の仕事受けたっけ…?


「ようこそ、アナザーワールドへ」


 キレイな男性の声がしたかと思うと、真ん中のシルエットが動き出した。


 3人とも聞いた事がない声だ。


「ここは君たちの居た世界とは別の世界なんだ。まあ、言われても理解できないだろうけれど」


 男の右手から赤い炎が出た。すごいCGだ。それともマジックか。


「………すいません、台本もらえないでしょうか…? 台詞が全然わからなくて」


 私は恐る恐る挙手する。


「だったら復唱してもらおうか『私たちは魔王の手下です。裏切りはしません』」


「3人で…?」


「そう」


 左右の美月先輩とユメの顔を見て互いに頷く。


「私たちは魔王の手下です。裏切りはしません」


「契約、成立だね」


 私たち3人のお腹が光、へその所に黒い模様が浮かび上がった。


「残りの31人、どうします?」


「成功か失敗かは置いといて、この世界のどこかには転移させようと思う」


「いいんですかい? ここに呼んだ方が楽なんじゃ」


「いや、ある程度強くなって、ここに来られるくらいの実力がついたら改めてやろうと思う」


「雑魚育てんのもメンドーだしな! でも、ここに来るんかね」


「来るさ。彼女たちは必ずここに来る」



 私は、私たちはこの時…とんでも無い事をしてしまったのだと気付いた。


 あまりにも遅く。取り返しがつかないくらい。



 RPGを始めて、初手で魔王戦から始まる負けイベント。


 でも私たちは、始まりの町に飛ばされて出直しとかもなく、逃げられないのだった。


 教育係として、サングラスの男が現れた。


 戦闘をしたことも無いし、能力を使うなんてもっとわからない。


 私の武器は弓。


 美月先輩は歌で癒してくれる能力。


 ユメは、相手を惑わせる能力。


 毎日、何時間も訓練という名の地獄。実験に失敗して醜い化け物と化したナニかの処理。


 ()らなければ()られる。


 私たち3人は、段々と感情が無くなっていった。


 やがて、世界各地の大陸を周る事になり、それに同行した。


 美月先輩はリーダーを遠目で見たそうだ。


 直接会う事を禁じられている為、何もできない。


 次にユメは、命令でエルを誘導し博士に捕らえさせた。


 私は魔物の大群を刺激して暴れさせた。その結果、連行中の(ひびき)先輩が逃げられたとか何とか。


 これらは、サングラスの男が居ない時に勝手に行っている事。


 ユメはまもりにエルの魂が封印されている場所を教えたり。


 牢に入れられた真希(まき)先輩の牢を開けてエネルギー吸収装置の鍵を渡したり。


 瀕死の風香(ふうか)を美月が治したり。



 バレないようにして来た事だけれど。


 全部バレていたようだ。



 そう、私たちは皆んなを陰ながら助けていたつもりだった。


 でもその結果、リーダーたちが魔王城(ここ)に来る事になってしまった。


 魔王たちの思い通りに———



 

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