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私が目を開けると見知らぬ場所に居た。
青白い円形の光に囲まれて周囲の様子がわからない。それは私の両隣に居る2人も同じ様子だった。
同じグループの先輩である清宮美月先輩と後輩の手科ユメだ。
足元を見るとゲームとかで見る魔法陣のような模様が描かれていた。
自分が今までどこに居たのか思い出せない。
これは夢なのか、ドラマの撮影か何かかドッキリだろうか…?
やがて光が収まると前方に人影が3つあるのがわかった。
この空間が薄暗いせいで顔がよく見えない。
「今度は成功しましたね、魔王様」
「ったく、1人目が失敗だっただけに3人同時召喚成功は良かったじゃねーですかい」
落ち着いた男の声と荒っぽい感じの喋り方をする男の声がする。
魔王様……やはりこれは何かの撮影か、舞台か。
しかし記憶にないな。ファンタジー系の仕事受けたっけ…?
「ようこそ、アナザーワールドへ」
キレイな男性の声がしたかと思うと、真ん中のシルエットが動き出した。
3人とも聞いた事がない声だ。
「ここは君たちの居た世界とは別の世界なんだ。まあ、言われても理解できないだろうけれど」
男の右手から赤い炎が出た。すごいCGだ。それともマジックか。
「………すいません、台本もらえないでしょうか…? 台詞が全然わからなくて」
私は恐る恐る挙手する。
「だったら復唱してもらおうか『私たちは魔王の手下です。裏切りはしません』」
「3人で…?」
「そう」
左右の美月先輩とユメの顔を見て互いに頷く。
「私たちは魔王の手下です。裏切りはしません」
「契約、成立だね」
私たち3人のお腹が光、へその所に黒い模様が浮かび上がった。
「残りの31人、どうします?」
「成功か失敗かは置いといて、この世界のどこかには転移させようと思う」
「いいんですかい? ここに呼んだ方が楽なんじゃ」
「いや、ある程度強くなって、ここに来られるくらいの実力がついたら改めてやろうと思う」
「雑魚育てんのもメンドーだしな! でも、ここに来るんかね」
「来るさ。彼女たちは必ずここに来る」
私は、私たちはこの時…とんでも無い事をしてしまったのだと気付いた。
あまりにも遅く。取り返しがつかないくらい。
RPGを始めて、初手で魔王戦から始まる負けイベント。
でも私たちは、始まりの町に飛ばされて出直しとかもなく、逃げられないのだった。
教育係として、サングラスの男が現れた。
戦闘をしたことも無いし、能力を使うなんてもっとわからない。
私の武器は弓。
美月先輩は歌で癒してくれる能力。
ユメは、相手を惑わせる能力。
毎日、何時間も訓練という名の地獄。実験に失敗して醜い化け物と化したナニかの処理。
殺らなければ殺られる。
私たち3人は、段々と感情が無くなっていった。
やがて、世界各地の大陸を周る事になり、それに同行した。
美月先輩はリーダーを遠目で見たそうだ。
直接会う事を禁じられている為、何もできない。
次にユメは、命令でエルを誘導し博士に捕らえさせた。
私は魔物の大群を刺激して暴れさせた。その結果、連行中の響先輩が逃げられたとか何とか。
これらは、サングラスの男が居ない時に勝手に行っている事。
ユメはまもりにエルの魂が封印されている場所を教えたり。
牢に入れられた真希先輩の牢を開けてエネルギー吸収装置の鍵を渡したり。
瀕死の風香を美月が治したり。
バレないようにして来た事だけれど。
全部バレていたようだ。
そう、私たちは皆んなを陰ながら助けていたつもりだった。
でもその結果、リーダーたちが魔王城に来る事になってしまった。
魔王たちの思い通りに———




