7—33 チームCその4
「結局、アンタは何がしたいんですかッ!」
おばさん鬼の攻撃を躱しながら試験管を投げ付ける。
最初は叩き割ったが中身の液体で一部の皮膚が溶けた事により2度目からは避ける事にした。
「生徒は大人しく教師の言う事を聞きなさい!」
「いつアンタの生徒になったんですかね!」
「この空間はワタクシのテリトリーです。その証拠に」
おばさん鬼は指をパチンと鳴らすと、マホの身体が宙に浮いた。
「わ、な、なになになに!? 身体が動かないっ」
「マホちゃんっ」
莉衣奈がマホの身体にしがみ付こうとしたが空振りに終わり、椿芽が飛んで抱きしめたが…強制的に動くマホに引っ張られて止まらなかった。
「ッ何をする気ですか!?」
「黙って見ていなさい。卒業式です」
言いながら手からビームが出て琥博はそれを躱しながら横に移動する。
「だから卒業とか意味わかんないんですけど!」
「くっびくともしないっ!」
椿芽がマホを全力で引っ張っても微動だにせず、天井付近まで行くと停止した。
「教師より優秀な生徒は必要ありません。他の卒業生共々、一生額縁に飾られるのです!」
「ちょっと待って! マホ先輩のどこが優秀だったと?!」
「歩き方が実にエレガントでした。ワタクシ以上に」
「そこ!?」
琥博は驚愕しながらも、すぐに頭を張って思考を戻す。今はおばさん鬼の邪魔をしてマホを救出するのが先だ。
ビームの連射で距離を縮める事が困難で、周りに使えるモノが無いかを探してみる。
小石すら無かった。
今更気付いたが、洞窟の中だと言うのに、地面は、いや床は…まるで学校の廊下のようで中央付近が教室の床になっているのだ。
土足で汚してるけれども。
今となっては土とかで足跡が残っていた。
「ふんぬぅううううううぅぅううぅぅぅぅ」
「力が全然入んない……お手洗い行きたいし……垂れ流すか」
「え゛」
マホを前後左右、上下に引っ張っていた椿芽の動きが止まった。
「ノオォォオォォオッッットエレガント!! 額縁に封印を!」
「風香ちゃんたち、何か出来ない!?」
琥博が入口付近にいる風香と沙智に呼び掛ける。
「無駄です! 失格者はワタクシに何も出来ません!!」
「むー……だったら一旦外に出て編入出来ないかな!!」
「!?」
おばさん鬼が驚愕する。
「その手があった! あれ、扉が開かない」
風香が手をポンと叩くと扉に手を掛けるも開かなかった。
「鍵とか無いよね?」
沙智も一緒にガチャガチャと前後に揺らしてみる。
「じゃあぶっ壊すか」
「!?」
沙智の言葉におばさん鬼の手が止まる。
右手でマホを操作して、左手で琥博の接近を阻んでいたが、どちらも手が止まり一目散に沙智たちの方へと駆け出した。
「随分とわかりやすいですね!」
琥博も後を追いかける。
「んー頑丈だなぁ」
「ワタクシのテリトリーです。そう簡単に——」
「サっちゃんどいて」
スパーンと風香は両扉を斬り裂いた。
「光のものぉぉおおおぉぉおおおぉぉおお!!!」
ニタァァァアァ
ゾクッ
「!?」
振り返った風香の表情を見た鬼は、背筋が凍るような感覚を覚え動きが止まる。
「!」
急に止まった鬼を見て琥博もすぐ後ろで停止する。
「それじゃ、編入しますね」
風香と沙智は一度外へ出ようとして
「ご、合格……合格でございます。お通りくださいっ………」
「———はい?」
琥博は訳が分からず首を傾げた。
宙に浮いていたマホも地面へと戻り、何故か全員合格で先に進める事になった。
鬼は姿を消し、奥の扉が開かれた。




