7—24 チームBその5
まもりが目を覚ますと、そこは倉庫だった。
異臭に顔を顰めながら周囲を見渡すと、隣で気を失っている羽海に気が付いた。
腹部が血で染まっているのが、見ていて辛い。
「………結局、負けたんだなぁ……」
戦う事を選択して立ち向かったら、羽海をこちらに投げつけて来て抱き止めたら背後から一撃。
脱出を試みようと周囲を探索。
幸い剣と盾は取られてはいなかった。
入口と思しき扉は厳重で、叩いても斬っても効果は無かった。
その扉の横にあるドアを開けると
「———ぇ」
すぐにドアを閉め、吐き気を必死に抑える。
「———はぁっ——はぁっ……生きてるだけ、マシなんだ……」
悍ましい光景が目を瞑ると浮かんでくるのを必死に追い出そうと首を振る。
まもりは再び別の方法を探し始めた。
村人を避難させるも魔物の大群に囲まれ、リアがドーム状のバリアーで耐え忍んでいるが、日が暮れるにつれ数が増して来ていた。
「キリがない! 進めないしもー!!」
|柑奈がイラつきながらも様々なカード効果で足止めしているが、そろそろ限界に近づいている。
ゾンビ相手なら響の歌声は効果的だと知ってから、何曲も歌い続けているが、こちらも限界に近かった。
「私だって闘いたいのに! 何でその能力が無いの!? ずっとバリアー張り続けてるのも嫌だってのにー!!」
「リアちゃんが叫ぶなんて珍しいね」
「元々ヒーロー系好きで戦闘狂だもんね」
「すいません、私たちの為に……」
「……あ、いぇ、その……大丈夫です」
リアの近くにいた村人の女性が申し訳なさそうに謝罪してきて、リアは我に帰った。
「現在、村人数十名と先ほど捕らえた者たちの仲間は、西方面でゾンビ軍団と交戦中です。イア様」
「ゾンビなんかに襲わせたら、せっかくの飯が不味くなるじゃないか馬鹿者」
「いかがなさいますか?」
「すぐに向かう。足止めになっているようだしな……まぁ、その前にそこの奴を捕えてからな」
イアが軽く仰反るように上半身を後ろに逸らすと、拳が目の前を通過した。
「何で避けられるかなぁ……」
「ひとりで来るとは、お前も無謀な事をする」
エルは空中で停止して、イアを見下ろす。
「無謀はどうかな? 僕は一人の方が戦いやすかったりするんだよねーイア先輩?」
「その翼と気配……天使か。なかなか面白いじゃないか、是非眷属にしたい」
舌なめずりしながら、イアはエルを観察した。
エルは翼を大きく広げると、白く強い光を放った。
「!」
数秒後、光が収まるとイアのお付きの吸血鬼と周りに居た何体かの魔物も石のように固まった。
「くく、天使とは中々面白い力を使うのだな」
「っ何で動けてるんだ?!」
「その辺のザコと一緒にするな」
「消えっ———」
一瞬の間にイアはエルの視界から消え、空中に居るエルの背後をとった。
気配で察知したエルだったが、反応が遅れる。
その時———
「おっと」
イアとエルの間を何かが通過していった。
「おー避けた避けた!」
「いや当てろよ、絶好のチャンスだったかもしんねーだろ!?」
「恐ろしい反応速度ねー」
「………また賑やかなのが来たなぁ」
イアが更に上空に目を向けると、そこには大きな鳥とそれに乗っている人影が見えた。
「晴先輩!」
「助っ人に来たわよー」
呑気な声が聞こえたかと思うと、イアの目の前に巨大な拳が出現した。
「っ速い」
直撃したイアは後方に吹っ飛んで行った。
「おイタはダメですよー? イア先輩」
「陣大先輩と、ヒメ?!」
「おー久しぶりだね、エル先輩」
「くっくっく、天使に巨人にどこぞの姫様じゃないか……」
いつの間にか、遠くへ吹っ飛んでいたイアが会話出来る距離まで戻って来ていた。
「さっきの女は食った方が良かったか……誰からいただこうかね」
イアは鋭い眼光を放ち、心底愉しそうに笑った。




