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天使とサイナス  作者: 七数
5章 【破】
97/102

91話 「予感」

〜スタシアがユーランシーを出てから2日〜


緊急でメアリー女王に呼び出された。

”今すぐに来てください”

そういう風に伝言を受けたのだ。

俺は緊張と動揺をしながらもメルバル総戦の配置やらの仕事を置いて直ぐにホールディングスへと向かう。

スタシアが去ってから2日が経過していた。

休憩込みなら今日くらいにカルメラに着くだろう。

ユーランシーからカルメラまではめちゃくちゃ近い。

正直、休憩なんてものもいらないくらいには近い。

ノンストップでいけば10時間かからずに着くだろう。


だがそんな近さでもスタシアという存在が居ないと不安になってしまうものだ。

それはスタシアが強者であるからの不安なのか…

それかスタシアが一人の子供というものからの不安なのかは分からない。


(無事に戻ってきてくれ)


それしか考えていない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「急いで…はぁ、、はぁ、、カルメラに向かってくださいっ!!」


メアリー女王の元へ着いてすぐに俺たちはそんなことを言われた。


メアリー女王が珍しくも感情的に説明を簡略化して俺たちに訴えかけている。


「お、落ち着いてください!メアリー女王…カルメラにはスタシアが…」


「だからなんです!!急いでください!!」


全く状況が整理できない…

スタシアがカルメラにいるからカルメラに向かわなければいけない?

どういうことなのだろうか。


「一度、1からご説明をお願いします!」


ミリィノもそんなことを言う。

アレルもミリィノも俺と同様に言葉の意図ができていない様子だ。


「…ふぅ、、すみませんっ、取り乱しました…

改めて、カルメラにこの中の誰か一人を向かわせます」


「ですから…それはなぜ、、?」


「考え直してください…今までの天帝の行動理念を。

ユーランシーに天帝が攻めてきた時も、ザブレーサで天帝が引いた理由も…

全てはスタシアさんが中心で動いていたんです!!

スタシアさんの力は天帝にとっては恐ろしい程に脅威であり、意図的に避けなければいけない相手。

そしてスタシアさんを毎回他国に向かわせる…それが一番確実と考えてきた私達にとってそれが失敗だったのです!!

それが先日のユーランシー襲撃の件です。

スタシアさんかいないことを知った天帝はユーランシーを攻めてきました。

そして大きく戦力を削られる結果になった。」


「その御考えならばまた天帝がユーランシーを襲撃するというお考えですか?」


「いえ…天帝は我々が先の襲撃でより警戒度を増したと考えると思います。

ならば次は?そういう考えに至った時に…今まで避けてきた脅威を孤立している時に消そうと考えるのでは?と思ったのです!」


俺は段々と息がしずらくなってくる…

まだミリィノとアレルはピンと来ていないようだった。

だが俺は既に理解しかけていた。

だが、したくないがために納得をしないようにしていた。


「つ…つまり、、天帝の…狙いは……?」


俺が呼吸を整えながらそう問いかけるとメアリー女王は汗をスーッと流しながら言う。


「スタシアさんの抹殺です」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「お初にお目にかかりますよ

天帝慈刑人 悪我の意思 ハインケル・ソッズと申します。」


「天帝…、へぇ、私に一人で挑んでくるんだね。

随分と肝が座っているようで」


「ふふっ、まさか、あなたに一人で挑む命知らずなんて

縛毒の意思の女しかおりませんよ。

あなたがよーくご存知であろうあの女しか」


ニヤケながらスタシアの顔を見つめてそう言い放つハインケルに対してスタシアは怒りを必死に押えながら冷静を装う。


「つまりあなたは命知らずってことだよね?

見た感じ、あなたのお仲間はいないみたいだし」


「まぁ、いないみたいですね。まだ ね。

それに既に一人ではないですよ。

私ではなく、あなた がね。

あなたはどうやら随分と情が深いお方らしいですね。

そしてここは国内…あなたの信愛の意思は制御が難しい。

どういうことがお分かりですよね?

賢いお嬢さん」


(嫌ってほど理解してるよ…そんなの。

恐らくこれも狙ってること。

私が周りに巻き込またくない相手がいる時に本気を出せないこと。

カルメラは大国だ…人口なんてユーランシーよりも遥かに多い。

私に勝つにはもってこいの作戦だ。

どうする…?いよいよまずいな)


国外へ逃げようと思っても目の前のハインケルとかいう男は私が身体強化した動きに難なく着いてこられるだろう。

それに加えて天帝は罪なき人を殺さないという決まりなんて無い。


「ふふっ、すごいや、攻撃も何も喰らわずにここまで追い込まれるとはおもってなかったよ、

どうやら頭だけは良いみたいだね。」


「それは褒めているということにしておきますね」


ハインケルは手に天恵を集中させると両端それぞれ逆方向に向いている鎌を作り出す。


「無駄口はここまで、始めましょうか。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

俺は直ぐに馬車を西国の門へと用意し出発させる。

民達は何事かと様子を見に来るが、それに対して説明をしている暇なんてない。

仮にメアリー女王の予感が合っていればスタシアは死ぬ可能性が高い。

周辺に人がいる時といない時ではスタシアは大きく実力に差が出る。

つまり街中だとスタシアは天帝に勝てない。


本当ならスタシアがユーランシーにいない場合、

俺がユーランシーから出ることは控えたいことだった。

だが、今回はそんなことを言っている暇などない。


ミリィノやアレル達に声をかけることもなく、ディシはユーランシーを飛び出していく。


「頼むぞ…ディシ、、」


この状況はアレルですら焦る事態だった。

普段スタシアを忌み嫌っているアレルだがスタシアの実力に関しては賞賛せざる得ないものを感じていた。


「スタシアさんと…ディシさんを信じましょう。

我々は2人が戻るまでこのユーランシーを確実に守るんです」


「そうだな。」




(今は昼過ぎ頃…このペースでいけばカルメラの深夜…いや、馬にも限界がある。

最低でも夜明けまでに間に合わせる。

いくら人目を気にしない天帝でも昼間っからスタシアに攻撃を仕掛けることはしないだろう。

ならば、夜か?

クソっ…俺には天帝の考えなんて読めないっ、)


ディシはできる限りの近道で馬を走らせる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「はぁ、、はぁ、、、ふぅ、」


「おや?もう息切れですか?

やはり貴方たち守恵者は人間に情がありすぎるあまり自分を犠牲にしてしまう。

これをなんて言うか知ってます?

バカと言うんですよ。

たかだか一国の人間ごとき、殺してしまえば良いではないですか。

何を躊躇うんですか?」


「黙れ…人の道をはずれたお前たちに私達の気持ちが理解出来るわけないだろう。」


「まぁ、それもそうですね。

ところで大丈夫ですか?

私は意思なんて愚か、天恵による身体強化すら使っていませんが?」


「私はあんまり運動が得意じゃないんだよね。

まぁ、それでやっと良いハンデになるくらいだとは思うけどね」


カルメラ内でスタシアとハインケルは静かな激闘を繰り広げていた。

他者から見れば迫力など何も無い、技術技術のぶつかり合い。

二人の戦闘を見かけた者は何かしらのイベントかと思うほどに。

だが本人たちからしたら一瞬のミスも命取りになるような攻防だった。


慣れない剣を生成してハインケルの攻撃をできる限り受け流していくスタシア。

防戦一方にすることによってなるべくカウンターを狙うようにすることで体力を温存しながら隙を狙える。

今、スタシアが取るべき最善の手だった。

だが、ハインケルの技術力は圧倒的なものだった。

体が細い分、力は大したものでは無かったが技術によるカバーによってまるで力でごり押されているように感じるほど。


(やばいな…武器の扱いならばミリィノちゃん程じゃなくてもディシくんくらいはある。

身長的に力では勝てない…けど、

この身長のおかげで天帝も攻撃をしずらそうではある。)



(思ったよりも小さくて攻撃がしずらいですね。

それに加えて防戦一方。

信愛の意思者は剣の技術が全く無いと聞いていましたが私の攻撃を捌けるほどにはあるということですか。

まぁ、場数踏んでるからでしょうけどね。

出来れば意思は使わずに殺したいところですが。)


ハインケルの意思は対象の五感を扱うもの。

意思の覚醒はしており、その能力は爆発的に跳ね上がっている。

覚醒する前ならば五感の機能を4割低下させる。

だが今は7割だ。

それに加えて時間経過で一つの五感を永久に使えなくさせる。

意思の覚醒をしているがその力はそれ以上に強力。

当然、天恵の消費が激しい。


(オロビアヌスでもナルバン・キャスとマレランという男の子の力を見誤ってしまい、天恵切れで負けてしまいましたからね。

目の前にいる少女はナルバン・キャスよりも倍以上の力を持っている存在。

もし一度意思を使って倒しきれなかった場合、私の負けはほぼ確実。

出来ればランスロットとギャラリスが合流してから使いたいですね、、)


だがスタシア同様、ハインケルもあまり余裕はなかった。

それはヴェルファドでのスタシアの情報を聞いたからだった。

ヴェルファド内でギャラリスの側近との戦闘の際、国内でありながら平気で 破恵 をぶちかましたと聞きますし。

恐らく、この少女は人を切り捨てることの出来る善人。

全てはユーランシーを基として行動を決めている。

ここで自分が死ぬ事がユーランシーにとってはどれほどの損失を生むかを自身で理解もしているでしょうね。

もし中途半端に追い込んだらカルメラの民など関係なく本気を出すかもしない。

そうなったらまず勝てない。

勝つことを前提に、意思を使わず、一気に決め切る。

これが最善。


ハインケルは自分自身が他者から動かされる駒であることはなんの苦でも無かった。

目的 のためならば自分を犠牲にすることは選択肢の一つに過ぎない。


(セルシャはそんな私を恐らく気に入っているのでしょうね。

だから何もせずとも許してくれる。

まぁ、期待されているならば応えてあげましょうか。

セルシャには助けられることも多いですし。)


ハインケルは天恵によって身体強化をする。

それに比例して、スタシアも身体強化をして遅れを取らないようにする。

だが、元のフィジカルが違った。

段々とハインケルの攻撃がスタシアの体に掠めるようになっていく。


(一回一回の傷に愛憎を使うのは無駄だし、一定ライン蓄積したら愛憎かなぁ。

体の方もだんだん慣れてきたし、あと二段階くらい動きのキレが上がっても容易については行けるだろうし。

まぁ、多少の傷を考慮した話だけど…

問題があるとすればさっきのハインケルが言っていた言葉…)


『まぁ、いないみたいですね。まだ ね』


多分、増援が来るんだろうね。

なんで最初からいないのかは知らないけど。

最悪、死にかけたらこの国の人達を巻き込んでも良いという覚悟を決めるつもりだ。

それでメアリー女王やディシくん達に怒られたって構わない。

将来的にここで天帝を殺しておくことが一番人が助かる結果だ。


(それともう一つ問題がある、、)


攻撃の決定打に欠ける…いや、それ以前に攻撃の手段がないという事。

私たちの攻防を見て、察しの良い人たちは距離を取り始めているがそうでない人達は何かしらのイベントとして受け取ってる。

一応移動をしながら戦っているものの人の密度は一向に変化しない。

騎士団もそこまで問題視をしていないんだろう。

民の避難をさせない。


(ここまで本格的じゃなくてもこういう娯楽イベントが日常化しているというのが裏目に出るとは…)


「さっきから別のことを考えているようですがそんな暇があるのですか!」


「!!」


ハインケルは二段階と言わず四段階ほどキレが増した。

私の右腕に鎌の刃が突き刺さり、ハインケルはそのまま持っている鎌を自分の方に全身を使って引く。

鎌は私の腕を引き裂いていく。


「ふっふっ、、やはり、信愛は別格ですか。」


ハインケルの鎌が私の右腕から右手にかけて引き裂いて、私の体から離れた段階で既に治癒は終わっていた。


「愛憎」


「羨ましいですよ…信愛ほど攻防を両立出来るものはありませんからね。

万物を変質させる力…万物を治癒する力。」


「攻防の両立?何言ってるの?

信愛ほど攻撃に特化したものは無いと思うよ」


そう言い放った瞬間にスタシアはハインケルへと近づき、隙だらけの状態でハインケルの心臓部目掛けて手刀を突き立てる。


「ガラ空きですよっ!」


隙だらけのスタシアの首目掛けてハインケルは鎌を振り抜く。

その刃は確かにスタシアの首を切り落とした…はずだったがスタシアの首は落ちることなくハインケルの腹部を貫通させる。


「ふっ…化け物ですか?」


「よく言われるよ」


ハインケルの鎌が首に触れた段階で既に愛憎による治癒は始まっていた。

ハインケルが鎌を振り切る頃には既に切られた痕跡すらないほどに完治していた。


「それよりも私はあなたに驚いたよ。

心臓を確実に破壊する攻撃だったのに咄嗟に腹部へとずらした。

さすがは天帝だね」


「あなたに言われても嫌味にしか聞こえませんよ」


ハインケルはスタシアに鎌を振り付けるが、腕を腹部から引っこ抜いて距離をとる。


(今の攻防で、カルメラの民はこれがイベントの劇なんかでは無いと理解出来たみたいだね。

恐らく私たちから距離をとるような動きをする。

今、私達がいるのが東だとすれば目的の支操の剣も回収できる。

この状況でハインケルを殺すことは出来ない。

国外に出ても追ってなんで来ないだろう。

でも、今はそれで良い。とりあえず撤退さえ出来ればそれで良い。)


スタシアは、治癒を終えたハインケルと改めて対面する。

読んで頂きありがとうございます!


スタシア&ハインケル視点とユーランシー視点で時間のズレがあります!(スタシア視点は一応夜です)

分かりずらくてすみません!

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