第28話 魔物を召喚しようⅡ
「よし、気を取り直して。残りの17枠ね」
「アトラちゃん、スライムさんはどう〜? ぷにぷにしてて可愛いよ〜?」
ルーナの指差す先には、500 PTの『スライム』があった。
┌────────────────
│ 【個体詳細:スライム】
│ ・分類:不定形(下級)
│ ・通常価格:500 PT
│
│ 【基本性能】
│ ・戦闘能力:☆☆☆☆☆(攻撃手段なし)
│ ・移動速度:☆☆☆☆☆(這って進むだけ)
│ ・耐久力 :★★★☆☆(物理攻撃に強い)
│
│ 【所持スキル】
│ ・『溶解吸収』
│ 触れた有機物や無機物をゆっくりと溶かし、吸収する。
│ (※生きている相手には作用しません)
└────────────────
「スライムかぁ。足は遅いし攻撃力も皆無だけど……ちょっと待って。この『溶解吸収』って、もしかしてゴミとかホコリも食べてくれるの?」
「うん、食べてくれるよ〜。いらないものはぜんぶ綺麗にお掃除してくれるの〜」
「それよ!!」
私はバチン! と力強く指を鳴らした。
「スライムが1体いれば、生ゴミ処理機になるじゃない! 衛生的に必須よ!」
「ゴミ全部食べてくれるから……最高だね〜」
「ええ。というわけでスライム1枠、採用!」
これで残りは16枠。
索敵用のコウモリ3体と、掃除用のスライム1体。サポート面はこれで十分だ。
「あとは、実際に城内に侵入された時の足止めと、迎撃をこなせる前衛ユニットが必要ね。」
私が目に止まったのは、通常価格 1,000 PTの『骸骨兵士』だった。
┌──────────────────
│ 【個体詳細:骸骨兵士】
│ ・分類:地上/近接型(下級)
│ ・通常価格:1,000 PT
│
│ 【基本性能】
│ ・戦闘能力:★★☆☆☆(剣や槍を装備可能)
│ ・移動速度:★★☆☆☆(走ることは可能)
│ ・耐久力 :★☆☆☆☆(骨が砕けると消滅)
│
│ 【所持スキル】
│ ・『不死者の特権』
│ 睡眠、食事、呼吸を必要とせず、疲労も感じない。
└──────────────────
「ルーナ。この骸骨兵士って、本当にご飯を食べないの?」
「うん。骨だもん〜」
「疲労は? 睡眠は?」
「骨だから寝ないし、疲れないよ〜?」
「……最強のブラック企業向け人材じゃないの!!」
私は思わず身を乗り出した。
「食事の支給コストゼロ! 24時間365日、不眠不休で働いてくれる! しかも声帯がないから文句も言わない! 最高の防衛ユニットよ!」
「……アトラちゃん?」
ドン引きして一歩後ずさるルーナをよそに、私は画面を見つめた。
(……まあ、一体一体は弱いわね。戦闘能力は星2つ、耐久力は星1つ。でも、それは数で補えばいい)
そして、画面の『剣や槍を装備可能』という一文を、ビシッと指差した。
「武器を持てるってことは、手先が器用ってことよね。ゴーレムみたいな巨体じゃ古城の中できびきび動けないし、細かい作業は無理だけど……人間サイズの骸骨なら、雑巾だって持てるはずよ!」
「えぇー? 骨さんたちにお掃除させるの〜?」
「そうよ! 各部屋の掃き掃除や拭き掃除をさせるの! ゴミを一箇所に集めさせて、それをスライムに処理させれば……24時間稼働の完璧な『全自動・防衛&清掃システム』が完成するじゃない!」
「……それって、骨さんたち、ずっと働くってこと〜?」
「そうよ。疲れないんだから、効率は最高でしょ?」
「……」
「あぁ、そうだ。それなら、スライムは2体いた方がいいわね。1階と2階用に。寝室用にもう1体欲しいところだけど、まあそれはスライムの使い勝手が良かったら、後でショップから直接召喚すればいいわ」
「……」
「あと、庭園も骸骨兵士に掃除させたら、施設状態の評価を『D』に上げられるかもしれないわね」
「……骨さんたちにも、お休み上げないと」
ルーナが何か言ってるが、無視して続ける。
「これで決まりね。最高の防衛ユニット兼、最高の掃除部隊! ふふふ……骨の髄まで、いや骨だけになっても休まず働きなさい……!」
「アトラちゃん、なんか目が怖いよ〜……」
ドン引きしているルーナをよそに、私はホクホク顔で画面を勢いよく操作する。
「残り15枠、全部『骸骨兵士』で決定でいいかしら、ルーナ」
「うん、まぁ、いいんじゃない」
呆れ顔のルーナから承諾を得た私は、最終確認画面を呼び出した。
┌──────────────
│ 【召喚枠確定】
│ ・魔導コウモリ × 3
│ ・スライム × 2
│ ・骸骨兵士 × 15
│
│ 以上の20体を召喚します。よろしいですか?
│ [ YES ] / [ NO ]
└──────────────
(コウモリ1,500 PT、スライム1,000 PT、骸骨兵士15,000 PT……合計17,500 PT分!)
城防衛基本セットの15,000 PTを、魔物だけでもう超えている。しかも、障壁とタレットとトラップは別だ。
「ふふ……城防衛基本セット、買って大正解だったわ!」
迷うことなく[YES]のボタンを押した。
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