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第26話 ベッドの上での作戦会議

「作戦会議って言っても〜……アトラちゃん、私何をすればいいの〜?」


ベッドの上で抱き枕をぎゅっと抱え直しながら、ルーナが首をかしげる。


「そこにいて、私の話を聞いて意見を言いなさい。まずは……さっき手に入れた『トラップ10個』の詳細確認ね」


私はベッドの横の丸椅子を引き寄せて腰を下ろすと、システム画面のインベントリから『トラップ×10』の項目をタップした。


すると、単なる罠のリストではなく、設計図のようなウィンドウが展開された。


────────────────

【防衛トラップ枠:保有 10/10】


※基本モデルを選択し、用途に合わせてカスタム可能。

※ショップアイテムおよび所持品との『組み合わせ設置』が可能。

※カスタム枠に付与できるのは、非殺傷のアイテムに限ります。

※1度使うと消失


【基本モデル一覧】

・落とし穴(軽度の物理ダメージ/足止め)

・鳴子(侵入検知/警報通知)

・粘着床(移動速度大幅低下)

・煙幕噴射器(視界遮断)

・転移板(短距離強制転移)

────────────────


「……ちょっと待って、基本モデルだけでも結構種類があるじゃない」


「ほんとだ〜。なんか難しそうな言葉がいっぱい並んでる〜」


「それに……ここ見て。『ショップアイテムおよび所持品との組み合わせ設置が可能』……?」


私はそのテキストを二度見した。


(組み合わせ可能って……まさか、ベースの罠にショップで売ってる他のアイテムを合体させられるってこと……!?)


試しに画面上で『粘着床』のモデルを選び、カスタム枠を開いてみる。すると、素材スロットのような空き枠がぽんと表示された。


例えば――ショップで買える数十PTの『ハチミツ』を選択してスロットに入れてみると、ただの粘着床が『甘い匂いで虫を引き寄せる粘着床』に効果が変化するみたい。


「なにこれ……めちゃくちゃ自由度高いじゃない……!」


「アトラちゃん、目が輝いてるよ〜……」


「輝くわよ! 15,000 PTも払った甲斐があったわ! これ、ショップの日用品とかアイデア次第でいくらでも強力な罠に化けるってことでしょ!?」


テンションの上がる私だったが、ふと画面の隅に添えられた注意書きに目を走らせた。


(『※カスタム枠に付与できるのは、非殺傷のアイテムに限ります』……あ、流石に致命的な毒薬とか爆発物をセットして、殺傷兵器にするのはNGなのね)


一瞬「致命的な罠は作れないのね」と思ったものの、ベッドで抱き枕を抱えているルーナの姿を見て、すぐに思い直した。


(……ううん、これで良かったのかも。ルーナは命を奪うのを嫌がってるから)


命を奪うための凶悪な罠は作れなくても、相手を追い返したり、戦意を挫いたりするための不快系コンボならいくらでも思いつきそうだ。


ルーナの心情を守りつつ、城を防衛できるなら、私にとってもこれが一番だ。


「ねぇルーナ、もし敵が攻めてきたら、どんな罠が効果的だと思う?」


「え〜? 罠って、どんなのがいいかってこと〜?」


ルーナは抱き枕に顎を乗せたまま、天井を見上げて考え込んだ。


「そうよ。攻めてきた人が、一番いやがることって何だと思う?」


「う〜ん……あっ、わかった!」


ぱっと顔を上げて、ルーナがベッドの上で身を起こした。


「ふかふかのお布団を、道の真ん中にいっぱい置いとくの〜!」


「……お布団?」


「うん! だってね、ふかふかのお布団があったら、ぜったい寝たくなっちゃうでしょ〜? みんな、寝ちゃうんじゃないかな〜」


「それ、あなたが引っかかる罠じゃない」


「えへへ、じゃあ、お布団の横にケーキも置いとくの〜。食べてる間は、攻めてこないもん〜」


「それも、あなたの話でしょ!」


「えぇ〜、いい案だと思ったのに〜」


ルーナは「むー」と口を尖らせ、そのまま抱き枕にふかふかと顔をうずめた。


その様子に思わず笑みをこぼしながら、私はルーナの言葉を頭の中でそしゃくする。


(お布団とケーキ……一見、ルーナの願望だけど、発想としては悪くないか?)


「……でも、案外馬鹿にできないかも。相手が思わず『行きたくなるもの』を置いておいて、そこに罠を仕込む……。ルーナ、意外といい線いってるわよ」


「ほんと〜!?」


抱き枕からパッと顔を上げたルーナに、私はうなずいて見せる。


「やった〜! アトラちゃんに褒められた〜!」


(それに、組み合わせの自由度がこれだけ高いなら、使えるものは日用品でも食べ物でも、何だって罠の材料になるわ)


10個しかない罠を、どこに、何と組み合わせて置くか。考えれば考えるほど、わくわくしてくる。


「アトラちゃん、また目がきらきらしてる〜」


「ふふ、しょうがないでしょ。楽しくなってきたんだから」


とはいえ、罠だけでお城を守れるわけではない。


私はひとつ息を吐いて、気持ちを切り替えた。


「まぁ、トラップについてはまた後でじっくり考えましょ。それより、もうひとつの手札……『下位魔物召喚券』よ」


私はインベントリの――『下位魔物召喚券×20』をタップすると、召喚可能な魔物のリストが半透明の画面にずらりと並んだ。

お読みいただきありがとうございました!

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