閑話 神の玉座
かつて、この世界『アルカデア』は果てなき戦乱に満ちていた。
暴行、殺傷、略奪──強者が弱者を踏みにじる惨状に、世界の根幹を司る『創造神』は深く嘆き、やがて世界そのものに【絶対のルール】を刻み込んだ。
それこそが、アルカデアにおけるすべての前提となるアルカデア法典である。
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【アルカデア法典(創造神のゲーム)】
1. すべての争いは双方合意した「賭け」によって行われる。
2. 非戦闘員への暴行・殺傷・略奪は固く禁ずる(違反者は即座に神罰)。
3. 支配領域・遺産に応じ『アルカデアポイント』を毎時支給。
4. 獲得したポイントは、あらゆる物質・技術と交換可能。
5. 勝利条件を満たした種族の代表に「次の神の地位」を授ける。
6. このルールは勝利条件が満たされるまで神であっても変更・介入できない。
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神の座を掴み取るための道筋──すなわち【勝利条件】は、以下の四つ。
【勝利条件(いずれかを達成した者が新しい神となる)】
・【戦争勝利】 他の種族の全代表を臣下にするか、全種族の「代表権」を奪い取る。
・【外交勝利】 代表権を持つ種族の代表による「全会一致」での選出。
・【民心勝利】 この星に生きる全知的生命体の「過半数の承認」を得る。
・【遺産勝利】 世界に存在するすべての「神の遺産」を支配下に置く。
──アルカデアの民は、それぞれの思惑のもとにこのルールを利用し、争い、あるいは手を取り合いながら、気の遠くなるような時間をかけて版図を広げていった。
戦うことでしか成り上がれない好戦的な種族もいれば、言葉と交渉で立ち回る種族もいる。中には、信者の心を掴むことに全てを懸ける種族もいた。
そして、力を持たぬ者たちが最後に見出す道──それが『神の遺産』だった。
『神の遺産』とは、かつて創造神自らがこの世界に遺したとされる、規格外の力を宿す至宝の総称である。
ただ「価値が高い」というだけでなく、その支配者に世界の勢力図そのものを揺るがしかねない恩恵をもたらす。
たとえば、今ルーナが治める『古城』。
この遺産の本質は、支配領域の人口に応じてポイント生成量が跳ね上がるという仕組みにある。
もしこの城を、世界で最も人口を抱える大国が手に入れたとすれば──毎時の生成量は、それこそ桁が違う規模にまで膨れ上がるだろう。
一夜にして、他の追随を許さないポイントを得ることになる。
もちろん、古城の力は、ほんの一例に過ぎない。他の『神の遺産』もまた、それぞれが、まったく別の形で、世界のあり方を変えかねない力を秘めている。
どの神の遺産であれ、手に入れた者の形勢は、一変する。
だからこそ、神の遺産を「賭け」の対象に差し出すという行為には、他の何を賭けるよりも強い意味がある。
たとえ提示された条件が多少自分に不利であろうと、遺産一つを手に入れられる可能性があるとなれば、相手は喜んでその賭けに乗ってくる。
遺産の価値は、それほどまでに割に合うものだからだ。
──遺産さえ手に入れば、どんな種族でも一発逆転できるかもしれない。
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