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意外な相手と流星の過去

「早速だが、まずはフェルシアから順に流星、容静、十六夜の順番だ。呼ばれたら、私が居る所まで来ればいい」


「まずは私ですね。メイさん、どこで模擬戦をするんですか。」


「そう焦るな、今連れて行く」


といい、転移を発動。十六夜達の前から消え、フェルシアは円形のフィールド内に居た。


「其処は特殊な場所だ力加減しなくていい設計だ。好きにやってくれていい」


「此処は特殊なフィールドと言った感じですね」


フェルはハイエルフなだけはあり、魔法に関する事象には勘が働いた。

フィールド内に居るフェルは周りを見渡すと、さっきまでいた場所から斜め下の空間が現在地だ。


「魔法で空間そのものを変質させてるのか。フェルシアがいる場所は地面のはずだろ」


十六夜の疑問にメイが答える。


「この場所は少し特殊でな、普通の訓練や練習の場合はこの空間を、実力者が戦う場合は施設が壊れる可能性も考慮している」

つまり訓練か模擬戦か、どちらかで変えているのだろう。


「私は用事がある。順番になったら自動的に転移が発動するから、準備しておくよう」

そういい、転移を発動させた。

「ふぅん、さて、ギルドマスターも行った事だし容静」


「了解っす」


容静は二つ目の能力を発動させた。次の瞬間、地面には風呂敷が広がり、お菓子などが並べてあった。


「え、どういう事ですか十六夜さん」


エルが慌てながらも聞いてくる。いきなり風呂敷とお菓子が出て来たのだ、当然の反応だろう。


「こいつは、容静の能力の一つみたいなもんだ」

十六夜はそう言ったが、実際は違う。この現象は流星と容静の合わせ技みたいなものだ。


十六夜と流星、容静は現れたのを確認すると、風呂敷に座りお菓子を食べ観戦モードに移行した。エルは少しの間固まっていたが、自分も風呂敷に座りお菓子を食べ始めた。


そんな四人の現状を見ていたフェルシアは自分も、と思い相手を今か今かと待っていた。


「あなたが、私の相手」


現れた相手は、十六夜がスフィアに来た時に一緒に落ちてきた内の一人、蒼透涙だった。


「お、あいつは」


「十六夜、知ってるの」


「流星っち、よく見れば分かるっすよ」


十六夜は少し意外な声を出し、流星が反応するが、容静に釘を刺された。仕方なく相手をよく見ると、直ぐに分かった。大企業のお嬢様だと。


「十六夜さん達は、あの方を知っているのですか」


「ああ、簡単に言えばクラスメイトだ」


十六夜が言った何気ない一言からエルは推測する。そしてある答えにたどり着く。


「まさか、十六夜さん達は勇者なんですか」


「いや、俺は巻き込まれただけで勇者なんかじゃない」


「十六夜さんは?」


「僕と容静の方が勇者だよ」


流星がエルに向かって言った。

「勇者ならば、今頃は王都で訓練中では」


「流星と容静に関しては色々だ、言うなら二人は、戦う力がなかったからな」

十六夜は、少し過去を思い出した。


十六夜が言った事は事実だ。

流星が現代に居た頃は、極々普通の高校生だったが、過去に流星は祖父に刀術の全てを注がれた。

流星は意外に物覚えが良く、祖父から教わった事を、自分の身にどんどん吸収させていった。

だが、十六夜と出会ってからは、十六夜の方を優先した。祖父はもの凄く怒った。怠けていると。流星はそれに対して言い返した。二人の言い争いはかなり激しく、話し合っても決まらないために流星は、一週間で祖父の刀術をマスターすると言い返した。何故一週間なのかは、十六夜とより長く遊ぶためにだった。だが、祖父の刀術訓練はかなり厳しかった。大体は物にしていたが、祖父が持つ技についてはかなりの時間が必要だった。けれど、十六夜との時間を優先し一週間にした。

結果は、マスター出来た。一週間の間飲まず食わず寝ずで、刀術に没頭。刀術をマスターした後、食事をとりぐっすりと寝た。最も、食べる量も寝る時間も、普段の数倍はあったが。(十六夜も同じく)


流星は一週間で刀術をマスター。祖父はそれを認め、何も言わなくなった。其れを十六夜は、隣でずっと見ていた。祖父が最後に流した、涙の一滴も見逃さずに。


流星は其れから、(腕が落ちない程度に訓練はしていたが)極々普通の生活を送った。因みに十六夜とはあの後、かなりの時間遊びっぱなしだったとか。


流星が十六夜と遊んでいる途中、流星の祖父は泣いていた。己自身が研鑽し尽くした刀術を、マスターされて悲しいのではない。己自身がやって来た事を否定せず、ただただ訓練し続けてくれた孫(流星)に対して。自分自身の全てを受け止め、己自身の刀術、技から奥義までもマスターした孫に心から感謝した。そして、そんな孫の傍にいて、(流星と同じく一週間の間飲まず食わず寝ず)ずっと見ていた十六夜に対しても、同じく感謝した、自分しかいない部屋の中で、二人に向け、ありがとうと言った。(こんな儂の・・・・に・き・・・くれ…て)

心の中で思いながらも、静かに息を引き取った。

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