流星、容静 メイ
流星と容静はダンジョン攻略後、二人で新たに入手した武器防具の能力確認、模擬戦+調整を同時進行で進めていた。
「ねぇ容静、神星の能力が分からないんだけどさ、どうすればいいと思う」
「俺っちや十六夜っちの変幻と違って見るんじゃなく、使って発動するタイプと思うっすよ、模擬戦してみるっすか」
「模擬戦かぁ。…分かったやろう」
こうして二人の模擬戦が幕を上げた。
「なら、まず僕から行くよ。ハァ」
因みに、流星は剣術を嗜んでいる。その実力は現当主の父にも勝り、剣術の高校生部門でも一位を獲得するなどの功績を立てている。
「俺っちも行くっすよ」
対して、容静は道場等には通っていない。だが容静は手持ちの手札を使う事に、十六夜程ではないが、かなり長けていた。容静は二人(白陽を除いた)と違い、アニメや漫画、小説等をオタクレベルで読んでいた。つまり、容静と変幻の相性は抜群だった。一点のデメリットを除いて。
流星と容静の戦いは、刀と剣の拮抗で火蓋が落とされた。
流星は容静に対し、立て続けに神星で攻撃を上下左右から繰り出していた。容静は攻撃を剣だけでなく、鎌や大剣に変化させ変幻自在に操っていた。
「容静もかなり強いね」
「流星っちこそ、流石っすよ」
互いに武具を交えながら話す。流星の刀と容静の剣が互いに打ち合う。キィィン、キン、ギギ、高い音や低い音が幾度も鳴り響く。暗い森林の一角で互いに打ち合い、鍔迫り合いをする二人の姿は、さながら侍が一騎打ちしている姿に見事に重なっていた。
「流星っち、そろそろ勝負っす」
「僕だって負けないよ」
容静が勝負に仕掛けた、流星も迎え撃つ為、更に集中力を高める。容静は変幻の一部を上空に飛ばし、レーザーさながらの攻撃を流星に仕掛けた。流星は数十もあるレーザーの一つ一つを見極め、それらを全て撃ち落とした。だが容静は流星の死角に回り込み、気づいていない流星に向け攻撃を繰り出したが、流星も容静に向けて攻撃を繰り出していた。二人の攻撃が互いに当たる瞬間、十六夜が二人の攻撃を一歩手前で止めた。
「!?十六夜なんで此処に。メイと話してたはずじゃ」
「!?十六夜っち、なんで此処が分かったんすか」
二人共に驚きながらも、それぞれの意見を十六夜に向けて問うが十六夜は。
「んなことどうでもいい。つーかこんな面白い事してんなら俺も誘えよ」
二人に向けて悪態をつきながら言う十六夜。因みにメイとの話し合いは既に終わっていた。…
「で、何か収穫は」
十六夜は二人に結果を聞く。さっきの事は、棚に置いたが、棚ごと水に流した。
「一応はね」
「俺っちも」
二人は一応反省したそうだが、十六夜の能力が気になってしかたがない様子だ。
「それよりも十六夜、さっきのは何。体が全く動かなかったんだけど」
「俺っちも気になるっすよ十六夜っち」
「今回の事の罰な」
意地悪くニヤニヤしながら二人に言う十六夜。二人共、答えを聞いた瞬間共にがっくりしていた。十六夜はニヤニヤ見ながら改めて二人に聞いた。
「で、何が分かったんだ二人共」
「なら僕から。神星については、能力の発動条件すら分からなかったけど、切れ味、耐久性なんかの基本的な部分は、多分この世界でも最高レベルだと思う」
「俺っちもそう思うっすよ。避けただけでも、そこら中の木が軒並み切れていたっすし」
二人は模擬戦の最中はあっちこっちに移動しながら戦っていた。流星は最初、神星の斬撃に驚いたが、神星をコントロールし斬撃を飛ばさず、斬撃の威力を神星に保たせたまま、容静と打ち合っていた。因みに余談だが、二撃目に飛ばした神星の斬撃、容静はギリギリ避けたが、あの斬撃は森の木々を真横に切りながら進み、空に消えていった。
流星の運は模擬戦の途中もちらほら出ていたが、通常時と比べてこういう特殊な状況の時には余り運が働かなくなるのだ。つまり流星の剣術(刀術)の腕は運ではなく、実力と言うことが四人の中の共通の認識だった。
「次は俺っち。俺っちと十六夜っちが装備している変幻は、常備体力と魔力を吸い取っている事が分かったす。攻撃方法ややり方次第で変わるっすけど、俺っちは流星っちと模擬戦している時、かなりギリギリだったす」
容静は十六夜、白陽、流星の四人の中でも最低レベルで体力、魔力共に低く、変幻の能力を上手く使い、今のような勝負がやっと出来ていた。
二人の結果を面白そうに聞いていた十六夜だが、そろそろ時間なのを思い出した。
「お前等さっさとテントに戻るぞ」
「うん」 「了解っす」
こうして三人は他愛ない雑談をしながらテントに向かって歩きだした。
…時間を遡る…
流星と容静が森林にいた頃、十六夜はメイと向かい会っていた。
「なんだギルドマルター呼び出したんなら用があるんだろ」
十六夜はメイに話があると言われ、メイのテントに邪魔していた。メイのテント内はギルドマルターに相応しいと言える内装だった。煌びやかな装飾品に加え、かなりの品と思える椅子やソファー、机等が綺麗にされ整えられていた。
メイは十六夜に椅子を進め、座ったと同時に話し始めた。
「ああ。お前達が入手した武具、そしてあの娘の事だが」
十六夜は反応仕掛けたが、黙って話に耳を傾ける。
「それらを寄越せなどとは言わない。ただ、周りには見せないようにして貰いたい」
十六夜は言われた意味が直ぐに分かった。もしもツヴァイで、俺達が握っている武具、そしてエルに関して知られれば、面倒事は避けられないという事だろう。冒険者達にも二百層の武器と知られたら、想像するだけで面倒だ。十六夜は極力面倒事は避ける(例外もあるが)。面白い事と面倒事は別物だと十六夜自身も思っている。
「それに関しては問題ない。本題に入ってくれ」
「分かった。お前達が入手した武具は、本来なら二百層程度で手に入る代物ではないんだ」
「ふぅん。理由は」
「恐らくだが、ダンジョン自体に何らかの介入、或いはイレギュラーな事態が起こったと考えられる。金銭が異様に少ない事、シルバーウルフ、そしてエルと言う者。かなり異常と言える、まずシルバーウルフは最弱でも三百層レベルに位置する魔物と言われている。加えてあの個体は私でも致命傷を負って何とか倒せるレベルだった。エルの存在も不思議だが、一旦全て棚に置こう。恐らく、あのダンジョンは一番最初に出来たダンジョン。或いは、かなり古代のダンジョンだと私は推測する」
十六夜はメイの推測を全て聞いた。他のダンジョンと何が違うのかなどを、メイと今回のダンジョンに関してかなり話し合った。メイは十六夜の頭の回転に驚いていたが、有益と判断し話し合い続けた。しばらくして話し合いが終わった。
「ここらで潮時だろう。そろそろ俺は戻るぞ」
「ああ中々有意義な話し合いの時間だった」
十六夜は自分達のテントに戻って行った。メイは十六夜に別れの言葉を告げた後、今回の件をどう纏めるか、思考を巡らせた。
十六夜はサリネに流星と容静の状況を見張らせていた、なので二人が居る場所に向け歩を進めた。




