道中
「着いたな」 「キュ」
十六夜がいい、サリネも同意するように鳴く。そこにあるのは、周辺の森を除けば普通のログハウスがあった。(何故サリネがというのは、帰った後に空間を支配し空白空間を作りそこにサリネを入れたからだ。初めての試みだったが、存外うまくいってほっとした。検証は後にしたが、サリネに聞いたところによると、なかなかに広くそれなりに入るようだ。
「さて、〔コンコン〕フェルシアいるか」 「今行きまーす」バンと音をたたて出て来たのは、昨日の夜に出会ったハーフエルフである。
「準備満タンだな、フェルシア。見ただけで誰でもわかるぞ」「キュ」 十六夜とサリネが言うのも無理はない。目の前にいるエルフは、容姿と服装こそ変わらないものの、後ろにある荷物が答えを明確にしていた。
「なら十六夜さん、これから宜しくお願いします」 「こっちもな」 「キュ」 互いに形式的な儀礼を済ませ出発の準備が整った。
「行くか時間もそろそろだ」 太陽を見ながら時間を推測する十六夜。後一、二時間位かと思いながら冒険者の街に歩き出す十六夜。それを
「待って下さいよ十六夜さん。荷物結構重いんですから」
といいながら、追いかけていくフェルシアに対し
「魔法使えるだろ、何とでもできる」 と返す十六夜
「はい」と返すフェルシア。 フェルシアの声は、ソプラノのような声である。
「冒険者の街までは歩いていけばいいが、街に入ったらお前とサリネを空白空間に入れるからな」
「大丈夫なんですか」 心配そうなフェルシア。安全かも分からない所だと、やはり心配なのだろう。ちなみにサリネは、ログハウスの時から頭にうつ伏せに寝ながら、寝たり起きたりを繰り返している。お気楽なことである、十六夜も慣れたのかほぼ自分の体に近い感じだ。頭意外の時は肩に乗っている。
「多分な」 「そこはせめて大丈夫といってください」 「大丈夫だ」 「今いっても遅いです」 「いや本当」 「本当に?」 「ん、いや」 「どっちですか」 「大丈夫だ」
「最初からいって下さい」 「けど緊張は解けたろ、それと着いたぞあれが、冒険者の街だ、一石二鳥だろ」軽口を言いながらフェルシアにいう十六夜。(それなりに、会話はできるか。少し引っ込み思案だが、東空や蒼透とも大丈夫だろ)静かな魔の森を歩きながら思う十六夜。
「確かに緊張は解けましたけど」と言うフェルシア。
「なら結果オーライだ面白い一面も見れたしな、ヤハハ」
笑いながら言う十六夜。フェルシアは諦めたのか、うなだれながら十六夜の後をついて行った。




