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十三章 到着



 着陸のアナウンスが船内へ響き渡る。既に出入口へ向かっていた俺達は手摺りを掴み、ブレーキの衝撃に耐えた。


 プシュー……。


 目の前で乗船口のドアが開き、改札の様子が垣間見えた。流石は“黄の星”の首都。帰宅ラッシュ時ともあって結構混んでいるな。

 出迎えの団体の先頭にいるのは、ちっこい青髪の子供だ。隣に全く顔の似てない黒服の神父様がいるから孤児か?しかし俺の関心は、その後ろに立つ年増の看護婦一点集中だ。質素な化粧に清潔なナース服。病院ではさぞや患者や後輩達に頼られている事だろう。

「フン、矢張り大勢待っているぞ。早く行ってやれ」

「シャーゼさんも降りませんか?久し振りに家へ帰っては……あ、そう、ですよね……済みません」

 気落ちする彼に、その内俺が戻してやるよ、力強く約束する。

「おい、勝手な真似をするな」

「いいじゃん。俺だってお前の家族に一回御挨拶したいし。小晶さん、そう言う訳だから」

「分かりました。今日の事、私からお二人に話しておきますね」

「こら!―――全く、早く降りろ。餓鬼共が今か今かと待っているぞ?」

「ええ」

 応えた後、何故か彼は一瞬苦しそうな表情をした。

「どうしたの?もしかして酔っちゃった?」

「いえ……済みません、少し眩暈がしただけです。もう治りましたから、心配しないで下さい」

「本当に?具合悪いなら下までこいつにおんぶさせるけど」

「ネイシェ!!」ポカッ!!

「い、いえ、本当に大丈夫です……ごめんなさい」

 肩に掛けていたコートを脱ぎ、軽く皺を伸ばしてユアンに差し出した。

「ありがとうございました。とても暖かかったです」

 折り目正しく礼を言い、他の乗客達の後に続いてタラップを降りて行った。

「無事任務完了、だなユアン?」

「フン。今日は何時にも増して疲れた。早く鳳凰亭に戻るぞ」

 座席に戻り窓の外を覗くと、丁度小晶さんが改札から出て行く所だった。良かった、何とか無事転ばずに降りられたようだ。

 先程見えた少年が彼に駆け寄り、続いて周囲の大人達も―――へ?おい、十人どころじゃないぞ?あの魅力的な看護婦さんまで……。何だ。あの辺り全員、小晶さんの帰りを待っていたのか。

「相変わらずの箱入りぶりだな」矢張り見間違いではなかったらしい。

 戻って来たコートを隣に放り、相棒はいつも通りデイバッグから自作の調査ノートを取り出した。冷たくなったコーヒー片手に、本日の結果を事細かに書きつけ始める。―――が、当然ペン先の動きは鈍い。初恋の人に会えた動揺は相当激しいようだ。この様子だと元通りになるには数日要するだろう。

(にしても、ぷくくっ……!)

 この秘密、一人で抱えておくには余りに惜し過ぎる。取り敢えず今夜、ヴァイアへ寝物語に聞かせるとしよう。




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