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十二章 密談



「―――はい」


 女子トイレ、一番奥の個室。窮屈な船員の制服からカジュアル服へ着替えながら、偽女性船員は器用に肩と頬で挟んだ携帯電話に出た。宝石を模したキラキラシールで黒いカバー全体をデコった、如何にも女の子らしい通信アイテムだ。

「ええ、やっぱりあのユアン・ヴィーとか言う奴、一筋縄ではいかないわ。もう少しで私の変身も見破られそうになったし」

 そう報告しつつ、口元には好敵手を見つけた勝気な笑みを浮かべる。

「……そうよ、ママ。あいつを上手く誘導すれば、『小瑠璃遺跡』に眠る私達『シュビドゥチ』の宝だって……そうすればパパの病気もきっと、あっ!?」

 ピチピチのパンツをフレアスカートに履き替えようとして、うっかり変身の一部を解いてしまった。途端、長い赤茶毛の尾が下着から顔を出す。

「もう!―――ううん、大丈夫。ちょっと油断して尻尾が出ちゃっただけ」

 集中。再度華麗な変化で消し去り、素早く着替えを完了した。

「それよりママ。今日気付いたんだけど、あいつのパートナーって―――」ひそひそ。「本当よ。でも、向こうは全然私に気付いてなかったみたい……どうする?」




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