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拠点、騒がしく完成


翌朝。


ギルド前に大きな荷車が二台。


その周りにざっと十人ほどが立っている。


「……人数多くない?」


俺が言う。


ミアが俺たちに気付き、元気よく手を振る。


「手伝い希望、増えました!」


増やすな。


アクセルが寝台を持ち上げる。


「重い」


「三つあるぞ」


持ち上げようとするな一人で。



昨日の家具屋に寄り、荷車に積み込む。


拠点に到着。


門が開く。


「おおー!」


「広い!」


「草多い!」


ここちゃんをそっと庭に下ろしてやる。


嬉しそうにぴょんっと跳ねて、きゅる、と鳴く。


一斉に視線が向く。


「かわいい!」


ここちゃんが囲まれた。


「絶対踏むなよ!」


俺が叫ぶ。


ノアが素早くしゃがむ。


ここちゃんを抱き上げる。


真顔で言う。


「退避」


冷静すぎる。



寝台が運び込まれる。


アクセルが部屋を選び、寝台の配置を指示する。


「ここ」


「なんでそこ」


「壁がある」


「当たり前だ」


ノアが寸法を測る。


「少し左」


アクセルがずらす。


ぎし、と鳴る。


「これだ」


満足そうだ。


森のがいいとは何だったのか。



食卓も運び込まれる。


椅子四脚。


棚ひとつ。


最低限だ。


しかし、人が多い。


なぜか鍛冶屋の親父がいる。


「棚、固定しとくか?」


いつの間に紛れ込んだんだよ。


鍛冶屋の後ろからひょこっと顔を出し、パン屋の娘が言う。


「庭、掃いてあげる!」


お前もか。


《人口密度、上昇》


(静かにしろ)


《騒音値、正常範囲》


(うるさい)



ノアが真剣な顔で袋を開けている。


中から、白い丸いクッション。


「買ったのか」


「必要だった」


庭の端に置く。


ここちゃんが近づく。


くんくんと匂いを嗅ぐ。


前足でクッションを押す。


きゅる。


ぴょんとクッションに乗り、丸くなる。


どうやら合格らしい。


ノアが小さく息を吐く。


「良い」


満足している。



むぎがまた身を乗り出そうとしてる。


人が多くて危ないから棚の上にそっと下ろす。


キュ。


満足げだ。


アクセルが言う。


「高所は安全だ」


荷物は運び終えた。


これで、引越しは完了だ。


手伝ってくれたみんなにお礼と解散を告げる。



昼過ぎ。


ようやく人が減る。


庭が静かになる。


踏まれた草が少しだけ寝ている。


俺は腰に手を当て、ぐっと背中を反らす。


「……疲れた」


もう一度、ざっと部屋を見て回る。


アクセルが自分の寝台に倒れる。


「柔らかい」


それが最重要らしい。


俺はふっと笑う。


「良かったな」


庭に戻る。


ノアは庭を見渡している。


ここちゃんはクッションの上。


むぎは桶に入り直そうとしてる。


気持ちのいい風が抜ける。


家の中から木の匂いがする。


くさえもんが言う。


《拠点、稼働開始》


(大げさだ)


でも。


確かに。


ここは、俺たちの場所だ。


白兎の庭。


その名は、もう嘘じゃない。



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