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ギルドへの報告と帰還宣言


王宮を出て、その足で王都ギルドへ向かった。


王命案件だ。


報告は通しておく。


扉を押すと、いつものざわめきが流れ出てくる。


その中に入った瞬間、何人かがこちらを見る。


気づいている顔だ。


アクセルは止まらない。


受付へ向かう。


俺とノアがその後ろにつく。


受付嬢が顔を上げる。


「あ……白兎の庭の皆さん」


「ご報告ですね」


アクセルが軽く頷く。


「王命案件、完了だ」


奥からレオンハルトが出てくる。


腕を組み、俺たちを見る。


「話は通っている」


受付の横に立ち、周囲にも聞こえる声で続ける。


「鉱山失踪事件は解決。石化者も戻った」


ざわ、と小さな波が広がる。


書記がすぐに記録を取る。


「ミスリル鉱脈確認。三割、白兎の庭に帰属」


今度ははっきりとざわめきが起きる。


「三割って……」


「王宮案件かよ」


視線が集まる。


歓迎も、警戒も混ざっている。


俺はその空気を見て、少し考える。


そして振り返った。


「誤解しないでほしいんですけど」


声は張らない。


だが、よく通る。


ざわめきが静まる。


「俺たち、用事が済んだらサイファに戻ります」


はっきり言う。


「王都の縄張りを荒らすつもりはないです」


一拍。


「今回は、たまたま近くにいただけで」


言い訳ではない。


事実だ。


何人かの肩が、目に見えて落ちる。


アクセルが一歩前に出る。


視線だけで周囲を押さえる。


「王都の依頼は、王都の者がやれ」


低い。


短い。


だが、重い。


「横から奪う気はない」


それだけで十分だった。


レオンハルトが腕を組み直す。


「聞いたな」


視線をホール全体に走らせる。


「白兎の庭は王都に居座らん」


一拍。


「だが、必要とあれば呼ぶ」


空気が締まる。


「それまでに腕を磨け」


若い冒険者が息を呑む。


別のパーティーのリーダー格が小さく笑う。


「……なら問題ない」


ざわめきが、今度は穏やかに戻っていく。



受付で報酬を受け取る。


前より丁寧な包みだ。


俺は袋を受け取りながら小さく言う。


「思ったより、早いな」


ノアが横で答える。


「噂は広がる」


アクセルが短く言う。


「広がる前に帰る」


俺は笑う。


「それが一番平和だな」


ここちゃんが、きゅる、と鳴く。


むぎが小さくキュと続く。


くさえもんが言う。


《王都滞在期間:短期推奨》


(言われなくても)


ギルドのざわめきは元に戻っている。


俺たちはもう“知らない顔”ではない。


だが。


ここは拠点じゃない。


サイファに帰る。


それでいい。



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