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報告と問い(前半)


王都へ戻る道は静かだった。


救出した鉱山夫たちは王都兵に預けた。


コカトリスの残骸も引き渡した。


ミスリルリザードの主要部位は回収済みだ。


そして――


鉱脈。



王都冒険者ギルド。


扉を開けた瞬間、空気が止まる。


受付嬢が顔を上げる。


視線が三人に集まる。


アクセルがまっすぐ進む。


「鉱山調査の報告をする」


低い声。


周囲がざわつく。



応接室。


ギルドマスターのレオンハルトが腕を組んで座っている。


白髪交じりの短髪。


鋭い目。


「無事に戻ったか」


レオンハルトが言う。


アクセルが簡潔に報告する。


「コカトリス一体、産卵期個体を討伐」


「奥にミスリルリザードがいた」


レオンハルトの眉がわずかに動く。


「……ミスリルリザードだと?」


ノアが補足する。


「大型個体。腹部下方に亀裂を入れて内部から破壊した」


レオンハルトが黙る。


「石化被害は?」


アクセルが答える。


「全員救出済みだ」


レオンハルトが目を細める。


「神殿を通したのか?」


レインが口を開く。


「いや」


一拍。


「うちの兎がやった」


部屋が静まる。


レオンハルトの視線がレインに向く。


「……冗談ではないな?」


レオンハルトの視線が、ここちゃんに落ちる。


ノアが静かに言う。


「私が確認した」


「詠唱なしで石化を即時解除した」


沈黙。


レオンハルトが椅子にもたれる。


「面白い報告だ」


声は低いが、目は真剣だ。



アクセルが素材を提示する。


魔法袋から取り出された鱗。


核部位。


魔石。


重みが違う。


レオンハルトが確認する。


「間違いない」


「これはミスリルリザードの素材だ」


ノアが続ける。


「奥の岩壁が崩れ、ミスリル鉱脈が露出した」


レオンハルトの目が鋭くなる。


「規模は」


アクセルが答える。


「坑道一帯。王国の軍備に影響する規模だ」


レオンハルトが息を吐く。


「国家規模の発見、か」


今度は対象がある。


「これはギルド判断を超える」


「王宮へ報告する」



部屋を出ると、噂はすでに広がっていた。


「白兎の庭だ……」


「鉱山の件、あいつららしい」


「Sランク二人だぞ」


レインが肩をすくめる。


「勝手に広まるな」


アクセルが言う。


「止められん」


ノアは無言。


むぎが胸ポケットで鳴く。


キュ。


ここちゃんが腕の中で丸くなる。


何事もなかった顔だ。


レインが小さく撫でる。


「お前、やりすぎなんだよ」


ここちゃんが、きゅる、と鳴く。


王都の空気が、わずかに変わり始めていた。



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