白き奇跡(前半)
銀の巨体は動かない。
ミスリルリザードの血が、ゆっくりと石床を流れている。
アクセルが剣を振り、刃の血を払う。
「解体する」
アクセルが言う。
ノアが頷く。
「血抜きは私が補助する」
ノアが風を操る。
切開部に空気を流し、内部の血を押し出す。
無駄がない。
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アクセルが腹部の裂け目を広げる。
硬い鱗を一枚ずつ外す。
「腹は言い値がつく」
アクセルが言う。
「核部位も回収する」
レインがうなずく。
「運ぶ」
ミスリルリザードは大型個体だ。
すべてを持ち帰るのは現実的ではない。
アクセルが腰の魔法袋を開く。
袋の口は小さい。
だが内部は拡張されている。
便利だが魔法袋というのはかなり高級らしい。
「全部は入らない」
アクセルが冷静に言う。
「鱗、爪、魔石、核を優先する」
レインが部位を運ぶ。
アクセルが魔法袋を受け口にしてレインが放り込む
触れた鱗が、音もなく消える。
アクセルの魔法袋へ収まった。
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アクセルが二つ目の魔法袋を取り出す。
「まだ入る」
さすがSランク装備だ。
解体は続く。
だが、胴体はまだ大きい。
魔法袋の容量を超える。
レインが胴体の一部に手を置く。
次の瞬間。
銀の塊が音もなく消える。
アクセルは何も言わない。
ノアの手が止まる。
ほんの一瞬。
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ノアが静かに言う。
「アクセルの魔法袋は王都製の上位仕様だ」
アクセルが答える。
「容量は大きい」
ノアの視線がレインへ向く。
「だが、今消えた質量は計算に合わない」
レインが肩をすくめる。
「大きい部位は俺が預かってる」
曖昧な言い方。
アクセルは何も言わない。
ノアは数秒だけ沈黙する。
追及はしない。
「……そう」
短い返答。
だが、観察する目は消えない。
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解体は終わる。
坑道に残るのは血痕だけだ。
アクセルが言う。
「ミスリルリザードの主要部位は回収した」
ノアが確認する。
「証拠として十分だ」
レインが息を吐く。
「じゃあ、戻るか」
三人は坑道を戻り始める。
奥から、手前へ。
Bランクの石像がある通路へ向かう。
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