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雨上がりの庭


 雨上がりの朝だった。


 空は晴れている。


 庭の草にはまだ水滴が残っていた。


 土もしっとり濡れている。


 レインは欠伸をしながら庭へ出た。


 朝の空気は少し冷たい。


「んー……」


 軽く伸びをする。


 そのまま庭を見渡して。


「……ん?」


 足を止めた。


 視線の先。


 庭の隅。


 何かある。


 見覚えのある葉だった。


 近付く。


 しゃがむ。


 葉の間から赤い実が顔を出していた。


 小さい。


 だが間違いない。


「増えてる」


 思わず呟いた。


 その瞬間。


 後ろから足音。


 ここちゃんだ。


 きゅる。


 レインの横まで来る。


 土の匂いを嗅ぐ。


 葉の匂いを嗅ぐ。


 そして。


 実を見る。


 きゅる。


 反応が早い。


「覚えてるのか?」


 レインが笑う。


 さらに。


 胸ポケットからむぎが顔を出した。


 キュ。


 身を乗り出す。


 完全に気付いている。


「お前もか」


 キュ。


 当然だと言わんばかりだった。


「何だ」


 声がした。


 アクセルだ。


 庭へ出てくる。


「どうした」


「これ」


 レインが指差す。


 アクセルが覗き込む。


 数秒。


「ああ」


「育ったのか」


 思い出したように笑う。


「食えるやつか」


 第一声は結局それだった。


「そこかよ」


 思わず笑う。


 さらに足音。


 テラとカインも出てきた。


「何かあったのか」


「どうかされましたか」


 レインは庭の隅を指差した。


「ほら」


 カインが目を丸くする。


「これは……果実ですか」


 テラも葉を眺める。


「綺麗な実だな」


「前にパン屋の帰りに買ったキムベリーだよ」


「試しに種を植えてみたら育ってた」


 レインが説明する。


「なるほど」


 テラが小さく頷く。


 その時。


「発芽は確認していた」


 後ろから声。


 ノアだった。


 いつの間にか立っている。


「知ってたのか?」


「問題なかった」


 レインが振り返る。


「言えよ」


「問題なかった」


「そういう問題じゃない」


 テラが吹き出した。


 アクセルも肩を震わせている。


 ノアは首を傾げた。


 何がおかしいのか分からないらしい。


 レインは赤く実ったキムベリーを見た。


 植えたことすら忘れかけていた種。


 それでも。


 ちゃんと育っていた。


 レインは少し笑う。


「俺たちも同じか」


 雨上がりの風が庭を抜けた。


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