感謝会②
乾杯の後。
感謝会はすぐに賑やかになった。
肉が焼ける。
酒が空く。
パンが減る。
鍛冶屋は上機嫌だった。
「うまいな!」
「だろ」
レインが返す。
「特にこの肉だ!」
「肉ばっかりだな」
「肉だからな!」
どこかで聞いたような返事だった。
アクセルが頷いている。
似た者同士かもしれない。
⸻
大工は酒を片手に庭を眺めていた。
「いい場所だな」
「そうか?」
「ああ」
短い返事。
だが本心らしかった。
家具屋も頷く。
「落ち着きますね」
パン屋の娘は焼いてきたパンを配っている。
「これもどうぞ!」
「おう!」
鍛冶屋が受け取る。
肉を挟む。
豪快にかじる。
「うまい!」
「それ私のおすすめです!」
パン屋の娘が嬉しそうに笑った。
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その時。
庭の門が開いた。
「やってるな」
ドランだった。
隣にはミア。
「こんにちは!」
予想通りだった。
レインはエールを一口飲む。
「やっぱり来たか」
「呼ばれてませんけどね!」
ミアが笑う。
否定できない。
そして。
二人の後ろにもう一人いた。
「なんでいる」
レインは即座に言った。
見覚えのある顔。
神輿冒険者だった。
「そんな冷たいこと言うなよ」
冒険者が笑う。
「俺たちの仲だろ、神輿」
「知らん」
即答だった。
ドランは気にせず席へ向かう。
ミアも当然のように続く。
神輿冒険者も続いた。
誰も止めなかった。
⸻
席が増える。
肉も減る。
酒も減る。
笑い声はさらに増えた。
鍛冶屋と大工が言い合いを始める。
家具屋が苦笑する。
パン屋の娘が笑う。
ミアも笑う。
ドランは酒を飲んでいる。
神輿冒険者は肉を食べながら上機嫌だった。
カインは途中から考えるのをやめたらしい。
普通に酒を渡していた。
それが正しい気もした。
⸻
気付けば夕方だった。
空が赤く染まり始める。
「じゃあな!」
鍛冶屋が立ち上がる。
「世話になった」
大工も続く。
家具屋は穏やかに頭を下げた。
「ありがとうございました」
パン屋の娘も手を振る。
「ごちそうさまでした!」
ミアも元気だった。
「楽しかったです!」
ドランは笑う。
「悪くなかったな」
全員が門へ向かう。
最後。
神輿冒険者が振り返る。
「またな、神輿!」
レインはため息を吐いた。
「だから神輿じゃない」
冒険者は笑う。
全く聞いていなかった。
そのまま手を振りながら去っていく。
最後まで変わらなかった。
庭には炭の匂いが残っている。
空になった皿。
飲み終わった酒瓶。
木箱の席。
賑やかだった証拠だけが残っていた。
レインは小さく息を吐く。
悪くない一日だった。




