感謝会①
安息日。
朝から拠点は少し慌ただしかった。
庭ではアクセルが炭を組んでいる。
テラは野菜を切り分けていた。
カインは酒を並べている。
ノアは皿とコップを確認していた。
人数分。
足りている。
たぶん。
レインは肉の下準備を進める。
香草。
塩。
スパイス。
今日の主役は職人三人衆だ。
少し多めに準備しておく。
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そんな中。
ここちゃんはソファで寝ていた。
完全に寝ている。
伸びている。
平和だった。
むぎは窓辺に置かれた木箱の上。
外を眺めている。
キュ。
特に手伝う気はないらしい。
⸻
庭の準備も整い始めた頃。
扉が叩かれた。
早かった。
レインは思わず空を見る。
まだ昼前だ。
扉を開ける。
予想通りだった。
「来たぞ!」
鍛冶屋だった。
「早い」
「酒があるからな!」
理由になっていない。
だが本人は満足そうだった。
レインは苦笑する。
「まだ始まってないぞ」
「待つ」
待つ気はあるらしい。
入っていった。
⸻
しばらくして。
今度は大工が来る。
「よう」
「早いな」
「鍛冶屋が急かした」
理由が分かりやすかった。
大工も庭へ向かう。
鍛冶屋を見つける。
「本当に来てやがる」
「当然だ」
当然らしい。
⸻
最後に家具屋が来た。
「こんにちは」
いつも通り穏やかだった。
庭へ案内する。
鍛冶屋。
大工。
家具屋。
三人が揃う。
改めて見ると不思議な光景だった。
その時。
外から慌ただしい足音が聞こえた。
「待ってくださーい!」
扉が開く。
パン屋の娘だった。
両手には大きな籠。
「間に合いました!」
「来たのか」
「呼ばれましたから!」
当たり前みたいに言う。
そして籠を持ち上げた。
「パンです!」
鍛冶屋の目が輝いた。
「おお!」
大工も頷く。
「いいな」
家具屋が覗き込む。
「焼きたてですか?」
「焼きたてです!」
パン屋の娘は満足そうだった。
籠の中には様々なパンが並んでいる。
香ばしい匂いが広がった。
「ありがとう」
レインが受け取る。
「ちょうどよかった」
肉だけでは少し寂しいと思っていた。
パン屋の娘は嬉しそうに笑った。
⸻
鍛冶屋が庭を見回す。
「おお」
「思ったより広いな」
大工も頷く。
「手入れされてる」
家具屋は笑った。
「落ち着く場所ですね」
そのまま。
三人の視線が同じ方向へ向く。
寝台だった。
「おお」
鍛冶屋。
「ほう」
大工。
「綺麗に使ってますね」
家具屋。
始まった。
「今日は休みだぞ」
レインが言う。
三人とも何事もなかったような顔をした。
絶対見ていた。
⸻
庭へ出る。
屋台で使った台。
木箱。
即席の席。
炭焼台。
準備は終わっている。
鍛冶屋が笑う。
「いいな」
「こういうのは好きだ」
「酒もあるしな」
結局そこだった。
レインはエールを渡す。
鍛冶屋。
大工。
家具屋。
パン屋の娘。
全員が受け取った。
レインも一本開ける。
「じゃあ」
少しだけ考える。
寝台。
枠。
家具。
何度助けられたか分からない。
だから。
「いつもありがとな」
鍛冶屋が鼻を鳴らす。
「気にするな」
大工も頷く。
「仕事だ」
家具屋は穏やかに笑った。
「ですが嬉しいですよ」
パン屋の娘も元気よく頷く。
「私もです!」
少しだけ照れくさかった。
レインはエールを掲げる。
「乾杯」
「おう!」
声が重なる。
白兎の庭の感謝会が始まった。




