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新しい味の試作


 夕方。


 庭に炭焼台が並ぶ。


 アクセルとテラが準備を進めていた。


 炭が組まれる。


 火が入る。


 やがて。


 じわりと赤く色づき始める。


 レインとカインはその間に肉を切っていた。


 一口大。


 食べやすい大きさ。


 同じ大きさへ揃えていく。


「三種類だな」


 レインが言う。


 カインが頷く。


「比較した方が分かりやすいですね」


 まずは塩。


 そしてはちみつ。


 レンネを絞る。


 刻んだフィルニルも加える。


 肉へ揉み込む。


 ひとつはフィルニル多め。


 ひとつはレンネ多め。


 最後ははちみつ多め。


 それぞれ分けて置いておく。


 炭の様子を見る。


 ちょうど良い。


 赤く熱を帯びている。


「よし」


 レインはフィルニル多めの肉を持ち上げた。


 串を打つ。


 隣へテラが座った。


「手伝おう」


「ああ」


 二人で串を打つ。


 手際は早い。


 レインがちらりと見る。


「うまいな」


「そうか?」


「ああ」


 レインは頷いた。


「さすが弓使いだ」


 テラが吹き出す。


「弓は関係ないだろ」


 確かにそうだった。


 レインも笑う。


 串が並ぶ。


 炭焼台へ乗せる。


 ジュウ。


 音が鳴る。


 脂が落ちる。


 煙が上がる。


 フィルニルの香り。


 肉の香り。


 少し焦げたはちみつの甘い匂い。


 混ざる。


 庭へ広がる。


 アクセルが炭焼台の前へ来た。


 明らかに近い。


「まだだ」


「分かってる」


 分かっているらしい。


 だが離れない。


 レインは笑った。


 焼き上がる。


 皿へ並べる。


「ほら」


 全員へ配る。


 席へ着く。


 一口。


 噛む。


 アクセルが即答した。


「これだ」


 早い。


 レインが笑う。


「まだ一種類目だぞ」


「これだ」


 変わらない。


 カインも食べる。


 少し考える。


「これは子供も食べやすそうですね」


「ああ」


 レインも同意した。


 テラが続く。


「うまい」


「だが」


 もう一口。


「少し酸味があってもいい」


 ノアも頷いた。


「フィルニルは少し多い」


「香りが残る」


 レインはメモする。


 なるほど。


 悪くない。


 だが改善はできそうだ。



 二回目。


 レンネ多め。


 焼く。


 食べる。


 今度は酸味が先に来た。


 肉はさっぱりしている。


 テラは頷く。


「私はこれだな」


 アクセルは首を傾げた。


「さっきのだ」


「聞いてない」


 レインが即答する。


 カインは笑っていた。


 ノアは考える。


「夏ならこちら」


「子供向けなら前だ」


 意見が分かれる。



 三回目。


 はちみつ多め。


 焼く。


 香りは良い。


 だが。


 一口食べた瞬間。


 全員の反応が揃った。


「甘いな」


 レインが言う。


「ああ」


 アクセルも頷く。


 テラも苦笑した。


「少し多い」


 カインも笑う。


「これは甘すぎますね」


 失敗ではない。


 だが違う。


 レインは頷いた。


 方向性は見えた。


 フィルニルを少し減らす。


 レンネは少し増やす。


 はちみつは今より控えめ。


 それが良さそうだった。


 炭焼台の上では。


 まだ炭が赤く光っている。


 レインは立ち上がった。


「もう一回だな」


 アクセルが頷く。


「ああ」


 今度は全員一致を目指すらしい。


 試作はまだ続きそうだった。


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