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久しぶりにやるか


 朝。


 白兎の庭はいつものように森へ向かっていた。


 薬草採取。


 重い依頼ではない。


 今はそれでいい。


 木々の間を歩く。


 風が葉を揺らす。


 ここちゃんはレインの近く。


 むぎは胸ポケットから顔を出していた。


 しばらく進んだところで。


 カインが足を止める。


「レイン」


 声は小さい。


 だが真剣だった。


「魔物です」


 全員が動く。


 アクセルの手が剣へ伸びる。


 次の瞬間。


 草むらから魔物が飛び出した。


 アクセルが前へ出る。


 一閃。


 魔物はそのまま地面へ転がった。


 だが。


 横からもう一体。


 飛び出した瞬間。


 矢が飛ぶ。


 テラの矢だった。


 魔物の首元へ突き刺さる。


 倒れる。


 さらに奥。


 茂みの向こう。


 ノアが一歩前へ出た。


 アクセルの頭上を飛び越える。


 氷槍。


 一直線。


 最後の一体を貫いた。


 静寂。


 風だけが残る。


 レインが肩をすくめた。


「完璧な連携だな」


「ああ」


 アクセルが剣を収める。


「問題ない」


 ノアが短く言う。


 テラは弓を下ろした。


 そしてカインを見る。


「見事な察知だ」


 カインは少し困ったように笑った。


「昔、少し斥候の経験が」


 レインが吹き出した。


「少しなあ」


 アクセルも頷く。


「ああ」


 ノアも続いた。


「罠の除去は正確だった」


「索敵も」


 テラの視線がカインへ向く。


「少しとは」


 カインは本気で不思議そうだった。


「私の感覚では少しなんですが」


「信用ならないな」


 レインが即答する。


 森に笑い声が広がった。



 その後も薬草を摘む。


 木の実を集める。


 ここちゃんは草を食べ。


 むぎは胸ポケットから周囲を見ている。


 依頼分はすぐに集まった。


 帰り道。


 サイファの門が見えてくる。


「おーい!」


 市場の商人だった。


「そろそろ月例市だぞ!」


 レインが足を止める。


 月例市。


 そういえばそんな時期だった。


 以前。


 カインと月例市で串焼きを出した。


また店を出して欲しいと言われてはいた。


 商人が笑う。


「今度は出るんだろ?」


「知らん」


 レインは肩をすくめる。


 そして。


 隣を歩くカインを見る。


「久しぶりにやるか?」


 カインが目を瞬く。


 少しだけ驚いた顔。


 だが。


 すぐに笑った。


「ええ」


「そうしましょうか」


 その返事に。


 レインも少し笑う。


「決まりだな」


 アクセルが言う。


「串か」


「悪くない」


 ノアも頷く。


 テラも小さく笑った。


「楽しみだな」


 風が吹く。


 サイファの街が見える。


 カインがまだ客として一緒に立ってた場所。


 そして。


 今度は仲間として立つ場所。


 白兎の庭はゆっくりと街へ戻っていった。


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