ようやく揃った
ギルドの扉を開く。
中はいつも通りだった。
依頼を探す冒険者。
受付へ並ぶ者。
朝の賑わい。
その奥で。
ドランが顔を上げた。
そして。
カインを見る。
一瞬。
それだけだった。
「ようやく揃ったか」
短い言葉。
だが。
カインは少しだけ笑った。
「はい」
ドランもそれ以上は聞かない。
戻った。
それで十分らしい。
横からミアが顔を出した。
「あっ!」
ぱっと表情が明るくなる。
「カインさん!」
「お久しぶりです!」
「お久しぶりです」
カインが頭を下げる。
ミアは嬉しそうに何度も頷いた。
「良かったです!」
「本当に!」
レインは少し笑う。
相変わらずだ。
「登録頼む」
ドランが眉を上げた。
「今さらだな」
「だな」
レインも認める。
事実だった。
カインも苦笑している。
ドランは一枚の書類を取り出した。
「名前」
「カインです」
さらさらと書かれていく。
「職業」
そこで手が止まった。
ドラン。
カイン。
レイン。
少しだけ沈黙。
「……商人か?」
「商人ですね」
カインが答える。
「だな」
レインも頷いた。
ドランが書き込む。
そのまま手続きは進む。
あっという間だった。
やがて。
ミアがギルドカードを差し出す。
「これで完了です!」
カインが受け取る。
少しだけ手が止まった。
だが。
すぐに懐へしまう。
「ありがとうございます」
穏やかな声だった。
「これからもよろしくお願いしますね!」
「ああ」
レインが頷く。
ドランが腕を組んだ。
「また面倒事を持ち込むなよ」
「善処する」
「信用ならん」
即答だった。
周囲から笑い声が漏れる。
レインも肩をすくめた。
否定はできない。
ギルドを出る。
外はもう昼前だった。
隣を歩くカインを見る。
どこか肩の力が抜けているように見えた。
「これで終わりだな」
レインが言う。
カインは少し考えて。
それから頷いた。
「そうですね」
短い返事だった。
だが。
どこか嬉しそうだった。
サイファの通りを風が抜ける。
前を歩くアクセル。
その隣のノア。
肩にむぎを乗せたテラ。
そしてカイン。
白兎の庭はいつものように拠点へ向かっていた。




