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遺跡の調査報告


 王都へ到着したのは門が閉まる直前だった。


 衛兵に急かされながら中へ入る。


「間に合ったな」


 アクセルが言う。


「危なかったな」


 俺も頷いた。


 閉め出されるのは御免だった。


 そのまま宿へ戻る。


 部屋へ荷物を置く。


 そして一階の食堂へ降りた。


 夕食を頼む。


 肉。


 スープ。


 パン。


 旅人向けの普通の食事だった。


「しかし」


 俺はスープを飲む。


「不気味な遺跡だったな」


「ああ」


 テラが頷く。


「妙だった」


 アクセルも同意する。


 だが。


 ノアは違った。


 考え込んでいる。


 ずっとだ。


 食事中も。


 何かを考えている。


「まだ考えてるのか」


 俺が聞く。


「ああ」


 ノアは短く答えた。


 それ以上は続かない。


 分からないのだろう。


 なら仕方ない。


 俺も分からない。


 考えても分からない。


 なら今は置いておく。


 レオンハルトへの報告も。


 魔法陣があった。


 文字があった。


 それだけで十分だろう。


 ノアの考察まで話す必要はない。


 そう判断した。



 翌日。


 白兎の庭は王都冒険者ギルドを訪れていた。


 レオンハルトが顔を上げる。


「戻ったか」


「ああ」


 俺は頷いた。


「報告に来た」


 レオンハルトは腕を組む。


「聞こう」


 俺は遺跡で見たことを話した。


 隠し階段。


 起動した位置。


 地下の部屋。


 壁画。


 魔法陣。


 古い文字。


 ノアが写した記録も見せる。


 レオンハルトは途中で口を挟まない。


 最後まで聞いた。


 そして。


「十分だ」


 短く言った。


「十分か?」


「ああ」


 レオンハルトが頷く。


「何年も成果がなかった依頼だ」


「隠し階段が見つかっただけでも大きい」


 さらに。


「その下の部屋もな」


 机を指で叩く。


「依頼主に報告すればまた調査団が出るだろう」


 学者達も喜ぶはずだ。


「助かった」


 レオンハルトが言う。


「進展を持ち帰ったのはお前達が初めてだ」


 少しだけ誇らしい。


 だが。


 俺達は顔を見合わせた。


 結局。


 何だったのかは分かっていない。


 それでも成果らしい。


 学者というのはよく分からなかった。


「依頼完了だ」


 レオンハルトが告げる。


 これで終わりだった。



 ギルドを出る。


 王都の空を見る。


 買い物も終わった。


 依頼も終わった。


 やることはない。


「帰るか」


 誰からともなく言った。


 反対する者はいない。


 白兎の庭は王都を後にした。


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