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王都の買い物


 王都へ着いたのは昼前だった。


 相変わらず人が多い。


 荷馬車。


 冒険者。


 商人。


 街道とは比べものにならない賑わいだった。


「まずは市場だな」


 レインが言う。


 アクセルが頷く。


「ドライフルーツか」


「ドライフルーツだ」


 ここちゃんが、きゅる、と鳴く。


 むぎもキュと続いた。


 本人達は何の話か分かっていない。


 だが原因なのは間違いなかった。



 目的の店はすぐ見つかった。


 王都へ来る度に立ち寄る店だ。


 棚を見る。


 相変わらず種類が多い。


 サイファでは見かけない物も並んでいる。


 以前見た砂糖漬けのドライフルーツもあった。


 値札を見る。


「相変わらず高いな」


 貴族向けだろう。


 レインは普通のドライフルーツを選び始めた。


 ここちゃん用。


 むぎ用。


 自分用。


 気付けば袋が一つ増えていた。


「買いすぎだろ」


 アクセルが言う。


「すく食べちゃうだろ」


 レインは即答した。


 実際消える。


 ここちゃんもむぎも好きだ。


 レインも食べる。


 足りなくなる未来しか見えなかった。



 市場を歩く。


 ふと。


 レインの足が止まった。


 雑貨屋だった。


 王都らしく品数が多い。


 棚には様々な瓶や陶器が並んでいる。


 保存用の瓶。


 香辛料入れ。


 蓋付きの容器。


 装飾の凝ったものまである。


「どうした」


 アクセルが聞く。


「ちょっと見る」


 レインは店内へ入った。



 棚を見る。


 種類が多い。


 サイファでは見かけない物ばかりだった。


 ガラス瓶。


 木製の容器。


 陶器。


 大きさも様々。


「おお」


 思わず声が出た。


 保存用に丁度良さそうな瓶が並んでいる。


 乾燥ポルチーニにも使える。


 香草にも使える。


 ドライフルーツにも使える。


 良い。


 非常に良い。



 そして。


 さらに目に留まる物があった。


 小さな容器。


 蓋付き。


 塩用だった。


「どうした」


 今度はテラが聞く。


 レインは容器を持ち上げる。


「塩入れだ」


「塩入れだな」


 アクセルが頷く。


 見れば分かる。


 だが問題はそこではない。



「気付けば増えてた」


 レインは指を折る。


「トリュフ塩」


「レンネ塩」


「ズーラ塩」


「ジグレ塩」


「香草塩」


 テラが少し驚いた顔をした。


「多いな」


「多い」


 レインも認める。


 だが。


 どれも使う。


 どれも必要だ。



 今までは小瓶に入れていた。


 コルク栓の普通の瓶だ。


 不便ではない。


 だが。


 専用容器があるなら話は別だった。


「買うか」


 レインは迷わず言った。


 塩の数だけ。


 それと予備も。


 ついでに保存瓶も追加する。


 乾燥ポルチーニ用。


 香草用。


 ドライフルーツ用。


 使い道はいくらでもあった。



「また増えたな」


 アクセルが荷物を見る。


「必要だ」


 レインは即答した。


 王都は良い。


 物が多い。


 種類も多い。


 見ているだけで楽しくなる。


 気付けば袋がさらに増えていた。


 だが後悔はない。


 たぶんない。



 買い物を終える。


 市場を出る。


 目的は果たした。


 アクセルも武器屋で手入れ用品を買った。


 荷物は増えた。


 満足だった。


 その時。


「そういや」


 レインが呟く。


「どうした」


 アクセルが聞く。


「レオンハルトいたな」


 王都へ来るのも久しぶりだ。


 ギルドに顔くらいは出しておいても良いだろう。


「久しぶりに会いに行くか」


 そう言って。


 レインはギルドの方角を見た。


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